O 96/16946 明 細 書
キナゾリン誘導体
[技術分野]
本発明は、 緩徐でしかも持続的に降圧作用を発現するキナゾリン誘導体及びこ れを有効成分として含有する血圧降下剤に関する。
[背景技術]
これまでに知られているキナゾリン系の血圧降下剤の例としては、 米国特許第
3 5 1 1 8 3 6号明細書に記載されていて、 一般名 「塩酸ブラゾシン」 として市 販されている下記式 [ A ] の薬剤が挙げられる。
また、 「塩酸ブラゾシン」 と同様に市販されているキナゾリン系の血圧降下剤 として、 一般名 「塩酸テラゾシン」 と称される下記式 [ B ] の薬剤も挙げること ができる。
これらの 「塩酸ブラゾシン」 や 「塩酸テラゾシン」 などのような従来のキナゾ リ ン誘導体系血圧降下剤は、 血中半減期が短く、 血圧降下作用が急速に発現する ί頃向があり、 薬剤の投与開始後すぐに起立性低血圧、 勖饽、 頻脈等の初回投与現
O 96/16946 象 (First dose phenomenon)と呼ばれる副作用が多くみられるため、 高血圧治療 の初期治療薬としては、 あまり用いられることがなかった。 これに対して、 血中 半減期が長く、 塩酸ブラゾシンに比べて血圧降下作用力緩徐に発現するキナゾリ ン誘導体であるメシル酸ドキサゾシンが最近開発された。 このメシル酸ドキサゾ シンは、 1日 1回投与で 24時間もの長い期間にわたって血圧コントロールか 能であり、 また起立性 Ml圧などの副作用の発現頻度は少ないとされている (丄 Clin. Pharm.Ther., 14:283 (1989) )。
—方、 公知の血圧降下剤であるジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗剤では、 投与後、 急激に発現する血管拡張性の随伴症状である赤面や頭痛等の副作用が問 題とされており、 緩徐で持続的な血圧降下作用を示す薬物であるアムロジピンの 有用性が指摘されている (医薬ジャーナル、 30巻、 1号、 101~106 ( 1 994年) ) 。 すなわち、 緩徐で持続的な血圧降下作用を示す血圧降下剤は、 1 日 1回の投与を可能にするだけでなく、 投与開始時に発現しやすい起立性低血圧 や血管拡張性の随伴症状等の副作用の予防にも有用である。
—方、 ドイツ特許第 245791 1号明細書には、 下記式 [C] で示されるキ ナゾリン誘導体が記載されている。
上記特許明細書には、 記載されたキナゾリン誘導体は血圧降下作用を有すると の記載があるが、 詳細な薬理データの記載はない。
更に、 特開昭 59— 172478号公報には、 下記式 [D] で示されるキナゾ リン誘導体が記載されている。
96/16946
し力 し、 上記公開公報に記載の上記キナゾリン誘導体は反応の中間体であり、 薬理データの記載はない。
以上に述べた状況を考慮すると、 血圧降下作用がより緩徐で、 しかも持続的に 発現するキナゾリン誘導体系の血圧降下剤を見いだすことができれば、 血管拡張 性の随伴症状である赤面や頭痛の他、 起立性低血圧などの副作用の発現も軽減さ れ、 有用な血圧降下剤となり得ると考えられる。
本発明の目的は、 血圧降下作用が緩徐で、 しかも持続的に発現するという特徴 を有する新規なキナゾリン誘導体を提供することにある。
[発明の開示]
本発明は、 次の一般式 [I] で表されるキナゾリン誘導体及びその薬学的に許 容し得る塩を提供するものである。
上記の一般式 [I] において、 R1 と R2 とは、 それぞれ独立に、 水素原子ま たは炭素数 1〜6のアルキル基を示すか、 あるいは R1 と R2 と力結合してェチ レン基 (一 (CH2 ) 2 —) を形成する、 R3 と R4 とは、 それぞれ独立に、 炭 素数 1〜6のアルキル基を示し、 R5 は水素、 水酸基、 炭素数 1〜6のアルキル
基及び炭素数 1〜6のアルコキシ基のいずれかを示し、 R6 と R7 とは、 それぞ れ独立に水素原子あるいは炭素数 1〜6のアルキル基を示し、 そして nは 2また は 3を示す) 。
[発明を実施するための最良の形態]
次に、 本発明のキナゾリン誘導体について詳しく説明する。
上記一般式 [I] において、 R' と R2 は、 それぞれ同一または異なって、 水 素原子、 あるいはメチル、 ェチル、 n—プロピル、 イソブロビル、 n-ブチル、 イソプチル、 t-ブチルのような炭素数 1〜6のアルキル基を意味する。 あるい は R1 と R2 とは互いに結合してエチレン基を形成してもよく、 このエチレン基 の形成が好ましい。 R3 と R4 は、 メチル、 ェチル、 n—プロビル、 イソプロビ ル、 n—プチル、 イソプチル、 t一ブチルのような炭素数 1〜6のアルキル基を 意味し、 R3 と とは互いに同一のアルキル基であってもよく、 また互いに相 違するアルキル基であってもよい。 Rs は、 水素原子、 水酸基、 またはメチル、 ェチル、 n-ブロビル、 イソブロビルのような炭素数 1〜6のアルキル基、 もし くはメトキシ、 エトキシ、 n—プロボキシ、 イソプロボキジのような炭素数 1〜 6のアルコキシ基を意味し、 好ましくは水酸基が挙げられる。 R6 と R7 とは、 それぞれ同一または異なって、 水素原子、 あるいはメチル、 ェチル、 n—プロピ ル、 イソプロビル、 n—ブチル、 イソプチル、 t一ブチルのような炭素数 1〜6 のアルキル基を意味する。 好ましくはメチルである。 nは 2または 3を示し、 好 ましくは 2である。
本発明の一般式 [I] で表されるキナゾリン誘導体の薬学的に許容し得る塩と しては、 無機酸塩として、 塩酸塩、 硫酸塩、 硝酸塩など力 s挙げられ、 有機酸塩と しては、 フマル酸塩、 メシル酸塩、 トシル酸塩、 シユウ酸塩、 クェン酸塩などが 挙げられる。
本発明の一般式 [ I ] で表されるキナゾリン誘導体は、 例えば、 丄 Med.Chem., 1986,29,19-25 に記載されている合成法と同様な方法で、 下記の反応式の従う合 成方法により合成することができる。
(2)
(1)
[I]
(式中、 Xは塩素、 臭素などのハロゲンを示し、 そして R' 、 R2 、 R3 、 R4 、 R5 、 R6、 R7 、 そして nは前記と同じ意味を有する) 。
上記の反応は、 2—ハロー 4一アミノー 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン ( 1 ) と化合物 (2) とを、 例えばベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの芳香族炭化水 素類、 ェチルエーテル、 テトラヒドロフラン、 ジォキサンなどのエーテル類、 メ 夕ノール、 エタノール、 プロパノール、 ブタノールなどのアルコール類、 酢酸メ チル、 酢酸ェチルなどの脂肪酸エステル類、 ジメチルホルムアミド、 ジメチルァ セトアミドなどの脂^] ジメチルアミド類またはジメチルスルホキシドなどのよ な反応に関与しない溶媒中で反応させることにより行われる。 反応温度は 40〜 200 、 好ましくは 50〜: I 50°Cであり、 反応時間は反応温度によって異な るが、 1ないし 24時間である。
また、 本発明の一般式 [I] で表されるキナゾリン誘導体は、 以下に示す経路 でも合成することができる。
[I]
(式中、 Yは塩素、 臭素などのハロゲンを示し、 そして R1 、 R2 、 R3 、 R4 、 R5 、 R6 、 R7 、 そして ηは前記と同じ意味を有する) 。
上記反応は、 化合物 (3) と化合物 (4) とを、 例えばベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの芳香族炭化水素類、 ェチルエーテル、 テトラヒドロフラン、 ジォ キサンなどのエーテル類、 メタノール、 エタノール、 ブロパノール、 ブタノール などのアルコール類、 酢酸メチル、 齚酸ェチルなどの脂肪酸エステル類、 ジメチ ルホルムアミド、 ジメチルァセトアミドなどの脂肪族ジメチルアミド類またはジ メチルスルホキシドなどのような反応に関与しない溶媒中で反応させることによ り行われる。 反応温度は- 10〜200 、 好ましくは一 10〜150 であつ て、 反応時間は反応温度によって異なるが、 1ないし 40時間である。 なお、 Υ が水酸基の場合には、 反応に際して、 1一 (3—ジメチルアミノブ口ビル) 一 3 一ェチルカルボジィミドなどの縮合剤を用いても良い。
尚、 R6 、 R7 が水酸基の場合は、 上記の (1) 、 (3) の代わりに、 水酸基 をべンジル等で保護したものを反応させ、 反応後脱保護することが好ましい。 本発明の前記一般式 [ I ] で示される代表化合物の例を以下に示す。
( 1) Ν— [2- [ (4一アミノー 6, 7—ジメトキシー 2—キナゾリニル) ァミノ] ェチル] 一 3, 5—ジメチルベンゼンカルボキサミド
(2) Ν— [3— [ (4一アミノー 6, 7—ジメ卜キシー 2—キナゾリニル) ァミノ] プロピル] 一 3, 5—ジメチルベンゼンカルボキサミド
(3) Ν— [2— [ (4一アミノー 6, 7—ジメ卜キシー 2—キナゾリニル) メチルァミノ] ェチル] 一 3, 5—ジメチルベンゼンカルボキサミド
(4) Ν—メチルー Ν- [3— [ (4-アミノー 6, 7-ジメ卜キシ一2—キ ナゾリニル) ァミノ] プロビル] 一 3, 5—ジメチルベンゼンカルボキサミド
(5) Ν—メチルー Ν— [2— [ (4一アミノー 6, 7—ジメ卜キシー 2—キ ナゾリニル) (メチル) ァミノ] ェチル〗 ー3, 5—ジメチルー 4ーヒドロキシ ベンゼンカルボキサミド
(6) Ν-メチルー Ν- [2— [ (4一アミノー 6, 7-ジメトキシ一2—キ ナゾリニル) (メチル) ァミノ] ェチル】 一 3, 4, 5—卜リメチルベンゼン力 ルポキサミド
(7) N—メチルー N— [3— [ (4一アミノー 6, 7—ジメ卜キシー 2—キ ナゾリニル) (ェチル) ァミノ] プロビル] 一 3, 5—ジェチルー 4ーメトキシ ベンゼンカルボキサミド
(8) N—ェチルー N— [2— [ (4一アミノー 6, 7—ジメトキシー 2-キ ナゾリニル) (ェチル) ァミノ] ェチル] 一 3, 5—ジー n—ブロピル一 4ーヒ ドロキシベンゼンカルボキサミド
(9) N— [3— [ (4一アミノー 6, 7—ジメトキシー 2—キナゾリニル) (n—プロビル) ァミノ] ブロビル] 一 3, 5—ジェチルベンゼンカルボキサミ
(10) N— n—プチルー N— [2— [ (4一アミノー 6, 7-ジメトキシー 2—キナゾリニル) (メチル) ァミノ] ェチル] 一 3, 5—ジェチルー 4ーヒド ロキシベンゼンカルボキサミド
( 1 1) N—メチルー N— [3— [ (4一アミノー 6, 7—ジメトキシ -2- キナゾリニル) (t一プチル) ァミノ] プロビル〗 一 3, 5—ジー t一プチルー 4ーヒドロキシベンゼンカルボキサミド
(12) N—イソブチルー N— [3— [ (4一アミノー 6, 7—ジメ卜キシー 2—キナゾリニル) (ェチル) ァミノ] プロピル] 一 3, 5—ジ—イソプロビル 一 4一エトキシベンゼンカルボキサミド
(13) N— n—ブロピル一 N- [3— [ (4一アミノー 6, 7—ジメトキシ 一 2—キナゾリニル) (η—プロピル) ァミノ] プロビル] 一 3, 5—ジメチル 一 4ーヒドロキシベンゼンカルボキサミド
( 14) 4一アミノー 2— [4一 (3, 5—ジメチルペンゾィル) 一 1ーピぺ ラジニル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン
(15) 4—アミノー 2— [4一 (3, 5—ジメチルー 4ーヒドロキシベンゾ ィル) 一 1ーピペラジニル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン
( 16) 4一アミノー 2— [4一 (3, 5—ジェチルー 4ーヒドロキシベンゾ ィル) 一 1—ピペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
( 17) 4—アミノー 2— [4一 (3, 5—ジェチルー 4ーメトキシベンゾィ ル) 一 1ーピペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(18) 4—アミノー 2— [4一 (3, 5—ジーイソプロピル一 4一メチルベ ンゾィル) 一 1ービペラジニル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン
(19) 4-アミノー 2— [4一 (3, 5—ジ一イソプロビル一 4ーヒドロキ シベンゾィル) 一 1ービペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(20) 4—アミノー 2— [4一 (3, 5—ジー n—プチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィル) 一 1ービペラジニル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン
(21) 4-アミノー 2— [4- (3, 5—ジー n—プチルー 4一エトキシべ ンゾィル) 一 1ービベラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(22) 4一アミノー 2— [4一 (3, 5—ジ一" t一ブチルベンゾィル) 一 1 ービペラジニル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン
(23) 4一アミノー 2— [4- (3, 5—ジー t一プチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィル) 一 1ービベラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(24) 4一アミノー 2— [4一 (3, 5—ジメチルー 4ーヒドロキシベンゾ ィル) 一 1一ホモピペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(25) 4一アミノー 2— [4一 (3, 5—ジメチルー 4ーメトキシベンゾィ ル) 一 1一ホモビべラジュル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(26) 4-アミノー 2- [4— (3, 5-ジー n—プロピル一 4ーヒドロキ シベンゾィル) 一 1一ホモビペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(27) 4一アミノー 2— [4一 (3, 5—ジー n—プロビル一 4一ェチルベ ンゾィル) 一 1一ホモビベラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(28) 4—アミノー 2— [4- (3, 5—ジー t一ブチルベンゾィル) 一 1 一ホモビペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(29) 4一アミノー 2— [4- (3, 5—ジ一t—プチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィル) 一 1一ホモビペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン
(30) 4一アミノー 2— [4- (3, 5—ジー t一プチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィル) 一 1ーピペラジニル] 一 6—ヒドロキシー 7—メ卜キシキナゾリン
(31) 4一アミノー 2— [4- (3, 5—ジー t一プチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィル) 一 1ービぺラジュル〗 一 7—ヒドロキシー 6—メトキシキナゾリン 本発明の一般式 [I] のキナゾリン誘導体は、 経口、 非経口のどちらの経路で
も投与可能であるが、 経口投与が好ましい。 また、 本発明のキナゾリン誘導体は
、 一般的な製剤技術を用いて錠剤、 細粒剤、 カブセル剤、 mu 注射剤などとし て製剤し、 投与することができるが、 その中でも!^力 ましい。
本発明の一般式 [ I ] のキナゾリン誘導体の好ましい投与量は、 成人一人につ き 1日当たり 0. 1ミリグラムから 1グラムの範囲であり、 これを 1日 1回ない し 2回に分けて投与すること力好ましい。
次に、 本発明の一般式 [ I ] のキナゾリン誘導体および比較化合物について行 なつた薬理実験について記載する。
[薬理実験 1 ]
本実験は、 1 5週齢以上、 体重 3 0 0〜4 0 0 gの雄性高血圧自然発症ラ 卜 ( S H R ) を用いて行った。 ハロセン麻酔下に大腿動脈にボリエチレン力ニュー レを挿入し、 力ニューレを illLE測定装置に接続後、 動物をボールマン型ケージに 入れた。 1時間 iiLh静置し、 血圧カ 定していることを確認した上で、 覚醒下に 被験化合物を経口投与し、 投与前の血圧に対する変化を経時的に観察した。 被験 化合物は、 1 %メチルセルロース水溶液に懸濁あるいは溶解し、 体重 1 0 0 g当 り 0. 2 m Lの容量で投与した。 結果を表 1に示す。
O 96/16946 表 1 化合物 投与量 N l£t (mtnH
(mg/kg) 1時間 3時間 6時間 9時間 12時間 つ」、ノ k r ni一ノ itレノ π U 2 -2 6 -4 塩酸ブラゾ 1 2 -35 一 41 -42 一 41 -38 ノノ 2 -57 -69 -65 -61 -60 メシル酸ドキ 1 1 一 19 -21 一 19
Γ 、
ノ ノ 1 -35 -32 -29
10 1 -37 -50 -35 ― ―
Ί U口寸タ J 丄 1 2 -36 一 31 -39
[C] 3 2 -64 -64 -61 ― ― 化合物 1 2 2 一 3 一 6
[D] 3 2 -5 -6 一 8 本発明 1 2 一 4 -25 -41 一 44 -39 化合物 3 2 - 29 一 60 -75 -64 -60 化合物 [C] : 4-アミノー 2— (4一べンゾィルー 1 -ピペラジニル) 一 6、 7—ジメ卜キシキナゾリン塩酸塩
化合物 [D] : 4—アミノー 2— [4- (4-ヒドロキシベンゾィル) 一 1 ーピペラジニル) 一 6、 7—ジメ卜キシキナゾリン塩酸塩
本発明化合物: 4一アミノー 2— [4- (3, 5—ジ - t一ブチル -4ーヒ ドロキシベンゾィル) 一 1-ビぺラジュル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン塩
PC /
O 96/16946 酸塩 [前記化合物例 (23) に相当]
表 1から明らかなように、 塩酸ブラゾシン及び化合物 [C]力 ^投与 1時間後に は、 ほぼ最大の血圧降下に達しているのに対し、 本発明化合物は投与後に 6時間 かけて緩徐に、 同程度の血圧降下作用を発現している。 一方、 メシル酸ドキサゾ シンと比較しても、 本発明化合物の方が緩徐に血圧降下作用を発現しているのが わかる。 また化合物 [D] は、 本発明化合物と類似の構造をもつにも係わらず血 圧降下作用力 s非常に弱いことが明らかになった。 これらのこと力 >ら、 本発明化合 物は、 緩徐で持続的な Jfllffi降下作用を発現し、 血圧降下剤として有用であるとい える。
[薬理実験 2]
本実験は、 被験動物として、 15週齢 liLL 体重 300〜400 gの雄性 DO C A食塩高 JUSラッ卜 (DO CAR:非絶食) を用い、 上記の薬理実験 1と同じ 方法によつて血圧を測定することにより実施した。 結果を表 2に示す。
なお、 本発明化合物は、 薬理実験 1で用いたものと同じである。
表 2 化合物 投与量 N IftlFF (mm
(mg/kg) 1時間 3時間 6時間 9時間 12時間 コントロール 0 3 一 1 + 4 - 5 0 + 6 塩酸ブラゾシン 3 3 一 81 -62 -69 -50 -36 本発明化合物 3 3 一 15 -42 -62 -49 -37
[薬理実験 3]
本実験は、 被験動物として、 15週齢以上、 体重 300〜400 gの雄性 D a h 1食塩感受性ラット (D a h 1 S R:非絶食) を用い、 上記の薬理実験 1と同 じ方法によって測定して実施した。 結果を表 3に示す。 なお、 本発明化合物も、
O 96/16946 薬理実験 1で用いたものと同じである <
表 3
1し口 ¾!) T5L-T . 血圧 (mm
(mg kg) 1時間 3時間 6時間 9時間 12時間 コントロール 0 3 + 3 + 4 一 8 -20 -28 塩酸ブラゾシン 3 3 -48 一 41 -43 -40 -36 本発明化合物 3 3 一 1 1 -25 一 49 -50 -52 表 2および表 3の結果から明らかなように、 塩酸ブラゾシンカ 与 1〜 2時間 後には、 ほぽ最大の Ifilff降下に達しているのに対し、 本発明化合物は投与後 6時 間かけて緩徐に、 同程度の血圧降下作用を発現している。 この結果からも、 本発 明化合物は、 緩徐で持続的な血圧降下作用を発現し、 血圧降下剤として有用であ るといえる。
[薬理実験 4]
本実験は、 被験動物として、 15週齢 liLh、 体重 300〜400 gの正常血圧 雄性ウィスター系ラット (非絶食) を用い、 上記の薬理実験 1と同じ方法によつ て血圧を測定して実施した。 結果を表 4に示す。 なお、 本発明化合物も、 薬理実 験 1で用いたものと同じである。
P
O 96/16946 表 4 化合物 投与量 N 血圧 (mm
(mg/kg) 1時間 3時っ 6時間 9時間 12時間 コン卜ロール 0 4 0 一 1 一 12 一 1 1 一 15 塩酸ブラゾシン 1 4 -27 一 21 -23 -23 -24
3 2 一 44 -40 -33 -33 -43 メシル酸ドキ
サドシン 3 3 -24 一 19 -20 -22 -23 本発明化合物 1 4 一 4 一 1 1 一 21 -22 -23
3 4 -5 -9 一 19 一 21 一 24 表 4から明らかなように、 塩酸ブラゾシンおよびメシル酸ドキサドシンでは、 いずれも正常血圧を大きく低下させているのに対し、 本発明化合物は正常血圧に 対する影響は軽微なものである。 この結果からも、 本発明化合物は、 血圧降下剤 として有用であるといえる。
[合成例] 4-アミノー 2— [4一 (3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィル) ー 1ービペラジニル] 一 6, 7—ジメ卜キシキナゾリン塩酸塩の合 成
( 1 ) 1一べンジルー 4一 (3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾ ィル) ビぺラジンの合成
窒素雰囲気下で、 3, 5—ジー t-プチルー 4ーヒドロキシ安息香酸 (3.10 g, 12. 4ミリモル) 、 1一べンジルビペラジン (2. 00 g, 1 1. 3ミリ モル) をジクロロメタンに溶解し、 氷冷下で、 1一 (3—ジメチルアミノブロビ ル) 一 3—ェチルカルポジイミド塩酸塩 (2. 87 g, 15. 0ミリモル) を徐
々に加え、 室温で一晩攪拌した。 反応混合物を飽和重曹水、 水で順次洗浄し、 無 水硫酸ナトリウムで乾燥した。 溶媒を減圧留去し、 残渣をシリカゲルカラムクロ マトグラフィー (クロ口ホルムノメタノール =20 1 ) を用いて精製し、 ァモ ルファス体である標題ィヒ合物 (5. 08g, 収率 100%) を得た。
•H-NMR (CDC 13 ) δ :
1. 43 ( 18Η, s)
2. 3〜2. 6 (4H, m)
3. 54 (2H, s)
3. 5〜3. 7 (4H, m)
5. 37 ( 1 H, s)
7. 2〜7. 4 (7H, m)
(2) 1— (3, 5—ジ一 tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾィル) ピペラジ ンの合成
上記 ( 1 ) で得た化合物 (5. 08g, 12. 4ミリモル) をテトラヒドロフ ラン ( 1 OOmL) に溶解させ、 10%—パラジウム/炭素 (600mg) を加 え、 水素雰囲気下で攪拌した。 反応混合物をセライト墟過し、 濾液を減圧濃縮し た。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロ口ホルム Zメタノール = 30/1 ) を用いて精製し、 白色結晶である標題化合物 (1. 50g, 収率 38 %) を得た。
Ή -NMR (CDC 1 a ) δ :
1. 44 ( 18Η, s)
2. 9〜3. 2 (4 Η, m)
3. 6〜4. 1 (4 H, m)
5. 45 ( 1 H, b r s)
7. 23 (2 H, s)
(3) 4ーァミノ一 2— [4一 (3, 5—ジー t—ブチル一4ーヒドロキシべ ンゾィル) 一 1ーピペラジニル] 一 6, 7—ジメトキシキナゾリン塩酸塩 (前記 化合物 (23) ) の合成
上記 (2) で得た化合物 (500mg, 1. 57ミリモル) 及び 4一アミノー
2—クロロー 6, 7-ジメトキシキナゾリン (376mg, 1. 57ミリモル) を 1ーブタノール (30mL) に懸濁させ、 4時間加熱還流した。 反応混合物を 室温まで冷却し、 析出した結晶を滤取、 1ーブ夕ノールで洗浄し、 白色結晶性粉 末である標題化合物 (594mg, 収率 68%) を得た。
mp: 253〜254
Ή-N R (DMSO-de ) δ :
1. 41 ( 18Η, s)
3. 6〜3. 8 (4H, m)
3. 85 (3 H, s)
3. 89 (3 H, s)
3. 8〜4. 0 (4H, m)
7. 23 (2 H, s)
7. 40 ( 1 H, s)
7. 43 ( 1 H, s)
7. 73 ( 1 H, s)
8. 66 ( 1 H, b r s)
8. 88 ( 1 H, b r s)
12. 12 ( 1 H, s)
[産業上の利用可能性]
本発明で提供される前記一般式 [ I] のキナゾリン誘導体は、 高血圧症及び前 立腺肥大に伴う排尿障害の治療剤として有用である。 そして、 本発明のキナゾリ ン誘導体は、 緩徐で持続的な血圧降下作用を発現し、 しかも正常血圧に殆ど影響 を与えないため、 特に血圧降下剤として有用である。