明 細 書 赤外線カメラの赤外線光学系 技術分野
この発明は、 赤外線カメラに用いられ、 被写体の像を結ぶ赤外線光学系に関す るものである。 背景技術
一般に、 赤外線カメラに用いられる赤外線光学系には、 撮像すべき被写体の像 を検出器上に結像する機能が求められている。 しかし、 赤外線光学系の収差が大 きいと、 カメラで得られる被写体の像がぼやけ、 画質が著しく劣化してしまう。 このため、 赤外線カメラの赤外線光学系には、 収差の小さいものが必要とされて いる。
このように、 収差の小さい赤外線光学系を実現する方法の 1つに、 構成部品で あるレンズの枚数を増やす方法が挙げられる。 即ち、 レンズ枚数を増やすことで、 レンズ面、 レンズ厚、 レンズ間隔などの自由度が高くなり、 赤外線光学系の収差 補正能力が向上する。 しかし、 レンズ枚数が増加すると、 レンズの材料費、 加工 費、 組立費など、 赤外線光学系のコストが高くなつてしまう。 また、 コストに加 えて、 重量及び寸法の増大、 組立調整の複雑化などの問題も生じてくるので、 こ のような観点から見ると、 レンズ枚数は少ない方が望ましい。
図 1 4は例えば 「Applied optics誌」 1 9 9 6年 1 2月 1日号第 6 8 3 3 〜6 8 3 4頁に掲載されたマックスの文献 「Design Example for the use of Hybrid Optical Elements in the infraredj に示された従来の赤 外線光学系の断面図である。
この赤外線光学系は、 波長 8 ~ 1 2〃m帯の赤外線領域で使用されるものであ り、 2枚のゲルマニウムレンズにより非常に小さい収差を得ている。 以下では、 レンズの面について、 被写体側 (図の左側) を表面、 像側 (図の右側) を裏面と 称する。
図において、 保持部材 1には、 非球面回折レンズ 2及び球面レンズ 3が互いに 間隔をおいて保持されている。 非球面回折レンズ 2は、 表面 2 aが球面形状、 裏 面 2 bが非球面上に回折面を設けた特殊な形状になっている。 非球面回折レンズ 2の像側に配置されている球面レンズ 3は、 表面 3 a及び裏面 3 bのいずれもが 球面形状で構成されている。
非球面回折レンズ 2及び球面レンズ 3により得られた被写体の像は、 球面レン ズ 3の裏面 3 bに対向する検出器 4により電気信号に変換される。 検出器 4から 出力された電気信号は、 信号処理手段 (図示せず) により映像信号に変換され、 表示手段 (図示せず) により赤外線画像として表示される。
このような赤外線光学系では、 レンズの枚数を増やすことで赤外線光学系の持 つ自由度を高くするのではなく、 非球面回折レンズ 2を用いることで、 裏面 2 b の非球面による効果及び回折面の効果の 2つの効果で赤外線光学系の自由度を高 めている。 その自由度を赤外線光学系の収差補正に用いることにより、 赤外線光 学系の収差が小さくなり、 像の画質の劣化が低減されている。
上記のような赤外線光学系では、 収差を補正するために回折面を用いているが、 この回折面は、 波としての光の性質を利用して光路を曲げるものである。 即ち、 波は常に波面の揃う向きに進むので、 波面を制御することによって波の進行方向 を制御するものである。 このとき、 当然ながら、 波長以下の精度で波面を制御す る必要があるので、 回折面を作るには、 光の波長以下の精度を持つ面加工が必要 となる。 例えば、 波長 1 0 m程度の赤外線を撮像するカメラに用いる赤外線光 学系では、 少なくとも 1 0 m以下の精度を持つ微細な面加工が必要である。 こ のように、 回折面を作るには高度な加工技術を必要であるため、 コストが高くな るとともに、 大量生産も難しかった。 発明の開示
この発明は、 上記のような問題点を解決することを課題としてなされたもので あり、 レンズ枚数を増加させることなく、 かつ微細加工を用いずに収差を小さく することができる赤外線カメラの赤外線光学系を得ることを目的とする。
この発明による赤外線カメラの赤外線光学系は、 保持部材、 この保持部材に保
持され、 赤外線を透過する低分散材料からなる凸レンズ、 この凸レンズの被写体 側に設けられ、 凸レンズに入射する光を制限する絞り、 及びこの絞りの近傍に配 置され、 かつ赤外線を透過する材料からなり、 球面収差を減少させる収差補正板 を備えたものである。 図面の簡単な説明
図 1はこの発明の実施の形態 1による赤外線力メラの赤外線光学系の断面図、 図 2はこの発明の実施の形態 2による赤外線カメラの赤外線光学系の断面図、 図 3はこの発明の実施の形態 3による像面平坦化板の断面図、
図 4は図 3の像面平坦化板の変形例を示す断面図、
図 5はこの発明の実施の形態 4による像面平坦化板の断面図、
図 6は図 5の像面平坦化板の変形例を示す断面図、
図 7は図 5の像面平坦化板の他の変形例を示す断面図、
図 8はこの発明の実施の形態 5による赤外線光学系の要部を示す断面図、 図 9はこの発明の実施の形態 6による赤外線光学系の要部を示す断面図、 図 1 0はこの発明の実施の形態 7による赤外線光学系の要部を示す断面図、 図 1 1はこの発明の実施の形態 8による赤外線光学系の要部を示す断面図、 図 1 2はこの発明の実施の形態 9による赤外線光学系の要部を示す断面図、 図 1 3はこの発明の実施の形態 1 0による赤外線光学系の要部を示す断面図、 図 1 4は従来の赤外線光学系の一例を示す断面図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態 1 .
図 1はこの発明の実施の形態 1による赤外線カメラの赤外線光学系の断面図で あり、 赤外線の波長を 「大気の窓」 に相当する (大気に吸収されない) 8〜 1 2 z mとしている。 図において、 円筒状の保持部材 1 1には、 ゲルマニウム (G e ) を材料とした凸レンズ 1 2が保持されている。 凸レンズ 1 2の表面 1 2 a及 び裏面 1 2 bはいずれも球面、 若しくは片面が球面で残りの片面が平面である。
保持部材 1 1の凸レンズ 1 2よりも被写体側 (図の左側) には、 凸レンズ 1 2 に入射する光を制限する絞り 1 3が保持されている。 保持部材 1 1の絞り 1 3近 傍には、 被写体による像の収差を減少させるゲルマニウム製の収差補正板 1 4が 保持されている。 この収差補正板 1 4の表面 1 4 aは平面である。 また、 収差補 正板 1 4の裏面 1 4 bは、 非球面形状となっているが、 その凹凸は小さいので、 厚さは薄くできる。 凸レンズ 1 2の裏面 1 2 bには、 凸レンズ 1 2により得られ た被写体の像を電気信号に変換する検出器 1 5が対向している。
上記のような赤外線光学系において、 像の画質を劣化させる主な収差は、 色収 差、 球面収差、 コマ収差、 非点収差、 像面湾曲である。 色収差は、 レンズ材料の 分散特性とレンズの屈折力とによって決まる。 上記の赤外線光学系の屈折力は、 凸レンズ 1 2によって決まるので、 色収差も凸レンズ 1 2によって決まる。 これに対して、 凸レンズ 1 2及び収差補正板 1 4を構成するゲルマニウムは、 上記波長帯の赤外線に対して透過率が高いので、 凸レンズ 1 2による赤外線の吸 収が小さく、 明るい像が得られる。 また、 ゲルマニウムは、 上記波長帯の赤外線 に対して分散 (波長に対する屈折率の変化) も小さい。 従って、 凸レンズ 1 2で 発生する色収差は小さく、 赤外線光学系全体における色収差も小さくなり、 色収 差による画質の劣化は無視できる。
また、 コマ収差と非点収差とについては、 絞り 1 3を凸レンズ 1 2の被写体側 焦点距離近傍の、 絞り 1 3の中心を通る光線が凸レンズ 1 2の裏面 1 2 bをほぼ 垂直に出射する位置に配置することで小さくすることができる。 さらに、 像面湾 曲は、 像高 (光軸からの変位) の 2乗に比例する収差である。 上記の構成では、 像面湾曲を除去することはできないが、 像高が小さければ、 像面湾曲も問題とな らない程度に小さくなる。
さらにまた、 凸レンズ 1 2と絞り 1 3とだけで構成された赤外線光学系では、 球面収差が大きく現れ、 これにより被写体の像の画質が著しく劣化する恐れがあ るため、 その対策として、 絞り 1 3の近傍に配置された収差補正板 1 4は、 球面 収差を除くように設計されている。 即ち、 図 1に示すように、 凸レンズ 1 2及び 絞り 1 3に収差補正板 1 4を加えて赤外線光学系を構成することにより、 収差補 正板 1 4が主に球面収差を減少させるように働き、 収差の少ない被写体の像が得
られる。 このように、 実施の形態 1の構成によれば、 レンズ枚数を増加させるこ となく、 かつ微細加工を用いずに収差を小さくすることができる。
なお、 実施の形態 1では凸レンズ 1 2及び収差補正板 1 4の材料としてゲルマ 二ゥムを示したが、 赤外線の透過率が高く、 分散の小さい材料であれば、 他の材 料であってもよい。 例えば、 シリコン (S i ) はこの条件を満たしているため、 凸レンズ 1 2及び収差補正板 1 4の少なくともいずれか一方にシリコンを用いる ことにより、 収差の小さい赤外線光学系を得ることができる。
また、 凸レンズ 1 2や収差補正板 1 4は、 研磨加工、 精密旋盤を用いた研削加 ェ、 又は成形加工により製造することができる。 さらに、 ゲルマニウム又はシリ コンを材料とした場合、 フォトエッチング法やホログラフィック法などの半導体 製造技術を用いても製造することができる。
さらにまた、 実施の形態 1では、 収差補正板 1 4の材料として、 赤外線の透過 率が高く、 分散の小さい材料を選択した。 しかし、 収差補正板 1 4は球面収差の 補正を目的としており、 光を曲げる屈折作用は小さいので、 分散がある程度大き い材料であっても収差補正板 1 4で発生する色収差は小さい。 従って、 収差補正 板 1 4の材料は、 赤外線に対して透明であれば、 分散が十分に小さくなくてもよ い。
例えば、 硫化亜鉛 (Z n S ) 、 セレン化亜鉛 (Z n S e ) 、 及びガリウム砒素 ( G a A s ) などの材料は分散は大きいが、 赤外線を透過するので、 収差補正板 1 4の材料として用いることができる。 また、 プラスチック材料も赤外線を透過 する材料であるため、 収差補正板 1 4の材料として用いることができる。 実施の形態 2 .
次に、 図 2はこの発明の実施の形態 2による赤外線力メラの赤外線光学系の断 面図である。 図において、 ゲルマニウム製の像面平坦化板 1 6は、 凸レンズ 1 2 の像側で保持部材 1 1に保持されている。 この像面平坦化板 1 6は、 像に残る像 面湾曲を打ち消す機能を有している。 他の構成は、 実施の形態 1と同様である。 ここで、 上記実施の形態 1の赤外線光学系では、 像面湾曲が除去されていない ( このことは、 小さな検出器 1 5を用いる場合には問題にならないが、 大きな検出
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器 1 5を用いる場合には、 画面の中央部と周辺部との間で画質の違いが大きくな るため問題となる。 これに対し、 この実施の形態 2では、 像面平坦化板 1 6を用 いたことにより、 像面湾曲が補正され、 より広い視野で収差の少ない像を得るこ とができる。
具体的には、 像面湾曲は像高の 2乗に比例し、 像面湾曲が残っていると像面が 球面状に形成される。 つまり、 光軸上の像面位置に対して像高が大きいほど像面 が物体側に湾曲していく。 従って、 像面平坦化板 1 6の厚さを、 像高が大きくな るほど厚くするような曲面形状で構成することにより、 湾曲した像面を平坦化す ることができる。
図 2の像面平坦化板 1 6では、 表面 1 6 aを凹面形状、 裏面 1 6 bを平面とす ることにより、 像高に従って厚さを変化させている。 これにより、 像面が平坦化 され、 大きな検出器 1 5を用いた場合でも、 収差の小さな赤外線光学系を得るこ とができ、 画質の良い赤外線画像を得ることができる。 即ち、 レンズ枚数を増加 させることなく、 かつ微細加工を用いずに収差を小さくすることができる。
なお、 実施の形態 1では像面平坦化板 1 6の表面 1 6 aを曲面としたが、 裏面 1 6 bを曲面としても、 また表面 1 6 a及び裏面 1 6 bの両面を曲面にしてもよ レヽ o
また、 像面平坦化板 1 6は、 収差補正板 1 4と同様に、 赤外線に対して透明で あれば分散が十分に小さくなくてもよく、 例えばシリコン、 硫化亜鉛、 セレン化 亜鉛又はガリウム砒素などの化合物や、 プラスチック材料などにより構成しても よい。
さらに、 像面平坦化板 1 6は、 収差補正板 1 4と同様に、 研磨加工、 研削加工、 成形加工、 フォトエツチング法又はホログラフィック法などの加工法により製造 することができる。 実施の形態 3 .
さらにまた、 実施の形態 2では、 像面湾曲を打ち消す曲面を持つ像面平坦化板
1 6を示したが、 像面湾曲による収差を十分に補正することができれば、 像面平 坦化板 1 6の厚さを、 曲線的ではなく、 直線近似して変化させてもよい。 その例
として、 例えば図 3に示すように階段状に厚さを変化させたもの、 図 4に示すよ うに三角形状に変化させたものなどであってもよい。 このような構成により、 製 造時に加工を容易に行うことができる。 勿論、 これらの階段状又は三角形状の変 化は、 裏面 1 6 bに設けても両面に設けてもよい。 また、 図 3の階段形状を構成 している全ての線分の長さは同じでなくてもよく、 全ての段のエッジの角度も任 意の角度でよい。 実施の形態 4 .
また、 像面平坦化板 1 6は、 例えば図 5〜図 7に示すように、 中央部に孔 1 6 cの開いたものであってもよい。 図 5は図 2の形状の像面平坦化板 1 6に孔 1 6 cを開けたもの、 図 6は図 3の形状に孔 1 6 cを開けたもの、 図 7は図 4の形状 に孔 1 6 cを開けたものをそれそれ示している。 勿論、 図 5〜図 7の形状変化を 裏面 1 6 b、 又は両面に設けることは可能である。 また、 他の形状の像面平坦化 板 1 6について、 中央部に孔 1 6 cを開けてもよい。
ここで、 像面平坦化板 1 6による像面湾曲の補正は、 中央部の像位置を基準と して、 その周縁部に対して中央部と一致するように行われる。 従って、 像面平坦 化板 1 6は、 その中央部では殆ど補正効果を持たないことになり、 中央部に孔 1 6 cを開けることが可能となる。 また、 像面平坦化板 1 6の中央部に孔 1 6 cを 開けることにより、 その部分では像面平坦化板 1 6による赤外線の吸収や波長に 対する分散といった影響を受けず、 像の画質の劣化を低減することができる。 実施の形態 5 .
次に、 図 8はこの発明の実施の形態 5による赤外線光学系の要部を示す断面図 である。 この例では、 保持部材 1 1及び像面平坦化板 1 6が共に赤外線に対して 透明なプラスチック材で構成され一体成形されている。 他の構成は、 実施の形態 2と同様である。
このような構成によれば、 保持部材 1 1及び像面平坦化板 1 6が一体化されて いるため、 部品点数を削減することができ、 部品の製造工程及び組立工程を減少 させることができる。 また、 一体化した部品間では組立時に生じる公差がないた
め、 赤外線光学系全体の組立が容易になる。 実施の形態 6 .
次に、 図 9はこの発明の実施の形態 6による赤外線光学系の要部を示す断面図 である。 この例では、 保持部材 1 1及び絞り 1 3が共にプラスチック材で構成さ れ一体成形されている。 他の構成は、 実施の形態 1, 2と同様である。
このような構成によれば、 保持部材 1 1及び絞り 1 3が一体化されているため、 部品点数を削減することができ、 部品の製造工程及び組立工程を減少させること ができる。 また、 一体化した部品間では組立時に生じる公差がないため、 赤外線 光学系全体の組立が容易になる。 実施の形態 7 .
次に、 図 1 0はこの発明の実施の形態 7による赤外線光学系の要部を示す断面 図である。 この例では、 収差補正板 1 4の表面 1 4 aの周縁部に、 絞りとしての 周縁遮光部 1 7が設けられている。 周縁遮光部 1 7は、 例えば赤外線を透過しな い黒ペンキを塗布することにより形成される。
このような構成によれば、 別部品としての絞りを省略することができるので、 部品点数を削減することができ、 部品の製造工程及び組立工程を減少させること ができる。 実施の形態 8 .
次に、 図 1 1はこの発明の実施の形態 8による赤外線光学系の要部を示す断面 図である。 この例では、 保持部材 1 1及び収差補正板 1 4が共にプラスチック材 で構成され一体成形されている。 他の構成は、 実施の形態 1, 2と同様である。 このような構成によれば、 保持部材 1 1及び収差補正板 1 4が一体化さ-れてい るため、 部品点数を削減することができ、 部品の製造工程及び組立工程を減少さ 0せることができる。 また、 一体化した部品間では組立時に生じる公差がないた め、 赤外線光学系全体の組立が容易になる。
実施の形態 9 .
なお、 実施の形態 8では、 絞り 1 3を保持部材 1 1及び収差補正板 1 4と別部 材としたが、 例えば図 1 2に示すように、 保持部材 1 1及び収差補正板 1 4を一 体化し、 さらに実施の形態 7と同様の周縁遮光部 1 7を収差補正板 1 4に塗布し てもよい。 実施の形態 1 0 .
また、 実施の形態 2では、 像面平坦化板 1 6が保持部材 1 1に保持されている が、 例えば図 1 3に示すように、 保持部材 1 1とは別部品の例えば円筒形のホル ダ 1 8に像面平坦化板 1 6と赤外線カメラの検出器 1 5とが保持されていてもよ い。 この場合、 検出器 1 5に埃等が付着するのが防止され、 検出器 1 5が保護さ れる。 さらに、 ホルダ 1 8は、 保持部材 1 1の一部として構成してもよい。 即ち、 図 2において、 検出器 1 5が保持部材 1 1に保持されていてもよい。 また、 上記の例では、 凸レンズ 1 2の表面 1 2 a及び裏面 1 2 bを球面、 若し くは片面を球面とし残りの片面を平面としたが、 両面又はいずれか一方の面を非 球面としてもよい。 凸レンズ 1 2の球面を非球面とすることにより、 面の自由度 が高くなるので、 その自由度を収差補正に用いることで収差を低減することがで きる。 また、 収差補正板に要求される収差補正量を低減することができる。 さら に、 非球面を作る加工は、 回折面を作る微細加工に比べて粗い加工で済む。
さらに、 凸レンズの表面及び裏面をフレネルレンズ形状としてもよく、 これに より同じ屈折力を持つレンズでも、 レンズの厚さを薄くすることができ、 内部を 通る光の光路長を短縮できる。 従って、 凸レンズによる赤外線の吸収が減少し、 より明るい像を得ることができる。 また、 フレネルレンズを作る加工は、 回折面 を作る微細加工に比べて粗い加工で済む。
さらにまた、 上記の例では凸レンズ 1 2を 1枚としたが、 凸レンズは複数枚設 けてもよく、 これによりレンズ面、 レンズ厚、 レンズ間隔などが増え、 自由度が 高くなるので、 その自由度を収差補正に用いることで収差を低減することができ る。 また、 収差補正板に要求される収差補正量を低減することができる。
また、 上記の例では、 赤外線の波長を 8〜1 2〃mとしたが、 これ以外の赤外 線波長領域にもこの発明は適用できる。