WO2003006867A1

WO2003006867A1 - Joint pour filetage

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Publication number: WO2003006867A1
Application number: PCT/JP2002/007053
Authority: WO
Inventors: Jun Maeda
Original assignee: Sumitomo Metal Industries, Ltd.
Priority date: 2001-07-13
Filing date: 2002-07-11
Publication date: 2003-01-23
Also published as: CN1245585C; CA2452426A1; US6957834B2; ES2277619T3; BR0211131B1; US20040217592A1; PL367111A1; BR0211131A; MY129407A; JP3876656B2; DE60217119D1; MXPA04000356A; CN1527917A; ATE349645T1; EP1408269A1; CA2452426C; RU2258171C2; DE60217119T2; RO121534B1; EP1408269A4

Description

明細書管用ねじ継手技術分野

本発明は、例えば石油、天然ガスの開発、生産、輸送に用いられる油井管に用いられる、金属面接触シール部を有する管用ねじ継手に関する。背景技術

石油や天然ガスの開発や生産に用いられる油井管を接続する継手は、油井ゃガス井が深くなることによって使用条件が苛酷化しており、強度や気密性（以下、「シール性」ともいう）に関して、より高い性能が求められている。

そのような井戸では、従来より使用されているバットレス継手やラウンドねじ継手といった、 A P I規格ねじの螺合だけで締結するねじ継手では、強度とシーレ性のいずれの面でも対応できない。

そのため、十分な継手強度を有し、かつ気密性にも優れた、金属面接触シール (metal to metal seal) 部を有する特殊継手が提案され、実際に使用されるようになってきた。

例えば、米国特許第 4 7 3 2 4 1 6号には、金属面接触シール部を曲面と曲面が接する形状とすることにより、応力集中を避けることができる管継手が提案されている。

米国特許第 4 6 2 3 1 7 3号には、金属面接触シール部の雄ねじ側のシール面を曲率半径 1 0 O mm以上の凸曲面に、雌ねじ側のシール面を 1 . 0〜4 . 7 ° のテ一パ角をもった斜面（円錐面）と規定し、かつ、シール面の金属面接触部分 (以下、単に「接触部分」ともいう）に加わる面圧 Pを、 (ねじ継手に加わる内圧） < P < (ねじ継手材料の降伏強さ）と規定した管継手が提案されている。米国特許第 5 1 3 7 3 1 0号及び第 5 4 2 3 5 7 9号には、金属面接触シール部を円錐面と円錐面とが接する形状とした管継手が提案されている。

一方、特開昭 6 1 - 1 2 4 7 9 2号には、金属面接触シール部の一方のシール面の表面粗さ（R y ) を 5〜 2 5 / m R m a Xと規定した管継手が提案されている。

特開平 6— 1 0 1 5 4号には、金属面接触シール部を表面処理する際に、その表面処理被膜の膜厚と、その下地の表面粗さ（R y ) ( 5〜 2 0 mの範囲内）とが一定の関係を満足するようにした管継手が提案されている。

特開平 7— 2 1 7 7 7 7号には、金属面接触シール部に形成した表面処理被膜の厚みを、その下地の表面粗さ R m a X ( R y ) より大きくすることによって耐焼き付き性の改善を図ったねじ継手が提案されている。

特開平 8— 1 4 5 2 4 8号には、 C rを 1 0質量％以上含有する高 C r鋼において、金属面接触シール部の一方のシール面の表面硬度を他方のシール面のそれより少なくとも 1 O H v以上大きくし、その硬度を大きくした側の表面平均粗さを 0 . 2 5〜 1 . 0 0 mの範囲にしたねじ継手が提案されている。

しカヽし、上述したような金属面接触シール部を有する特殊継手であっても、シ —ル面の表面粗さが大きいと容易に漏れが生じる。特に、ガス井のように流体がガスの場合には漏れが発生し易くなる。そのため、表面粗さが大きい場合は漏れの防止のためにシール面の接触部分に加えなければならない面圧が高くなるが、シール面の接触状態や負荷される荷重条件によっては十分な面圧を加えることができず、所期のシール性を発揮できないことがある。

金属面接触シール部を有する継手では、シール面の表面粗さを小さくし、かつ、接触部分に付与する面圧を大きくすることで、良好なシ一ル性が得られるはずである。しかし、表面粗さを小さくするには高い加工精度が必要となり、加工時間が長くなつて作業能率やコストの面での損失が大きくなる。一方、シール部に付与する接触力を大きくした場合、接触部分の幅が狭いと面圧が高くなつて焼き付きが生じ易くなり、損傷につながる。

しかし、前述した金属面接触シール部を有する継手類は、いずれも、その表面粗さと付与する面圧及びシール性との関係については考慮されていない。

例えば、米国特許第 4 7 3 2 4 1 6号、第 4 6 2 3 1 7 3号、第 5 1 3 7 3 1 0号及び第 5 4 2 3 5 7 9号に提案された管継手は、シール面の表面粗さや付与する面圧について何も述べられていない。一方、特開昭 6 1— 1 2 4 7 9 2号、特開平 6— 1 0 1 5 4号、特開平 Ί一 2 1 7 7 7 7号、及び特開平 8— 1 4 5 24 8号に記載された管継手では、いずれも表面処理との関係において表面粗さを規定しており、表面粗さと付与する面圧及び接触部分の幅との関係、及びそれらとシール性との関係については何も述べられていない。

このように、これまで提案されてきた金属面接触シ一ル部を有する特殊ねじ継手では、焼き付きや流体の漏れなどのトラブルを確実に防止することが困難であつた。発明の開示

本発明者らは、上述した特殊ねじ継手の問題が、シール面の表面粗さと付与する面圧、及びシール面において面圧が作用している接触部分の軸方向の幅、との関係に原因があることを究明し、これらの関係を最適化することによって、金属面接触シール部を有する管継手に良好なシール性を経済的に付与することができることを見出した。

本発明は、鋼管の端部に形成された雄ねじ及びねじ無しシール面、並びにカツプリングの内面に形成された前記雄ねじと螺合する雌ねじ及び前記鋼管のシール面と当接してリング状接触部を形成するねじ無しシール面、から構成される、金属面接触シール部を備えた管用ねじ継手に関する。本発明の管用ねじ継手は、管の内面降伏圧力を Pyとして、下記（1)〜（3) のいずれかを特徴とする：

(1) 鋼管及びカップリングのねじ無しシール面の表面粗さ Ryがいずれも 2 5 wm以下であり、ねじ継手を締結した時に、前記リング状接触部の平均面圧 Pm が Pm/Py≥ 3を満足し、かつ前記リング状接触部において P s/Py≥ 1を満足する面圧 P sを受ける部分の軸方向の幅が 1 mm以上である金属面接触シール部を形成できる；

(2) ねじ継手を締結した時に、鋼管と力ップリングのいずれのねじ無しシール面についても、前記リング状接触部の平均面圧 Pmと該シール面の表面粗さ Ry

(wm)との関係が Pm/Py≥ 0. 0 0 3 2 xRy² + 1. 0を満足し、かつ前記リング状接触部において P s/Py≥ 1を満足する面圧 P sを受ける部分の軸 '方向の幅が 1 mm以上である金属面接触シール部を形成できる；

(3) 鋼管及び力ップリングのねじ無しシール面の表面粗さ R yがいずれも 3 0 m以下であり、ねじ継手を締結した時に、前記リング状接触部の平均面圧 Pm が PmZPy^ 3を満足し、かつ前記リング状接触部において P s/Py≥ 1を満足する面圧 P sを受ける部分の軸方向の幅が 2 mm以上である金属面接触シ一ル部を形成できる。

好ましくは、前記鋼管が端面にショルダー部を有し、対応して前記カップリングも、鋼管の端面ショルダ一部が当接するショルダ一部を有する。

本発明において、ねじ無しシール面の表面粗さ Ryは、継手を構成する鋼基材の加工表面粗さを意味する。従って、表面処理が施されたねじ継手の場合、 Ry は、シール面における表面処理被膜の粗さではなく、表面処理を施す前のシール面の表面粗さである。

リング状接触部に加わる面圧 P sは、シール面の法線方向に加わる単位面積当たりの力を意味し、面圧を受けるリング状接触部の軸方向の幅は、シール面に沿つた長さである。つまり、面圧 P sの方向とリング状接触部の軸方向は互いに直角の関係にある。

面圧 P sは鋼管とカップリングのねじを螺合させてねじ継手を締結することにより加えられる。面圧 P sの値は、予め設定された範囲に加工されたねじ及びシール面の寸法 .形状と、予め設定されたねじの螺合量により決まる。ねじの螺合量の設定は、トルクショルダーを検出することにより行うか、適当なマーキングによる位置決めにより行われるのが通例である。

P s/Pyは、接触部分の面圧 P sを Von Mises の内面降伏圧力 P yに対する割合として表したもので、無次元数である。 Pyは管に加え得る内圧の最大値とみなせることから、 P s/Py≥ lとすれば、必ず面圧が内圧以上となる。本発明に係る管用ねじ継手においては、 P s/Py≥ 1となる P sを有効面圧と規定し、金属面接触シール部を構成するリング状接触部のうち、そのような有効面圧を受けている部分の軸方向の幅を、上記のように 1 mm以上又は mm以上と規定する。

平均面圧 Pmは、リング状接触部における軸方向面圧分布の軸方向接触部分長さ（面圧分布長さ）に沿った積分値を、その接触長さで割った値であり、接触部分長さに沿って一様に面圧が作用していると想定した場合の圧力である。 Pmの値は実測により求めることも可能であろうが、継手部の実測寸法と材料の特性デ —夕とを用いて、継手部のねじ螺合後の応力分布状態を有限要素法（FEM: fi nite element method)で解析することにより求めることができる。

この F EMにより、 P s/Py≥ 1となる面圧 P sを受けている接触部分の軸方向の幅も求めることができる。図面の簡単な説明

図 1は、金属面接触シール部を有する管用ねじ継手の略式組立図である。

図 2は、上記ねじ継手の金属面接触シール部付近の部分拡大図である。

図 3は、表面粗さ Ryが 2 5 前後の管用ねじ継手における平均面圧比 Pm

/ P yと気密試験の結果を示す図である。

図 4は、表面粗さ Ryが 1 2. 5 前後の管用ねじ継手における平均面圧比

P m / P yと気密試験の結果を示す図である。

図 5は、表面粗さ Ry 30 m前後の管用ねじ継手における平均面圧比 Pm/

P yと気密試験の結果を示す図である。

図 6は、気密試験の方法を示す概要説明図である。

図 7は、気密試験の結果を平均面圧比 Pm/P yと表面粗さ Ryとの関係として表わす図である。発明の実施形態

本発明者は、ねじ継手の金属面接触シール部について、シール面の表面粗さと面圧及びその面圧を受けるリング状接触部の軸方向の幅の三者とシール性との間の関係を、下記の方法で調査した。

試験用管材として、公称外径： 88. 9 mm、公称肉厚： 6. 45 mmの、油井管用低炭素鋼（AP I規格の L一 80) 製の鋼管を準備した。この試験用管材の両端の外周面には、図 1及び 2に示すように、雄ねじ 1 bと平面対平面接触を意図したねじ無しシ一ル面 la (米国特許第 5 1 37 3 1 0号に提案されたような、円錐形のねじ無しシール面）とが機械加工により形成されており、端面にショルダ一部 1 cを有している。

試験用管材 1を締結するための上記と同じ材質のカツプリング 2は、その両側の内周面に、管材の雄ねじ 1 bに蝶合する雌ねじ 2 bと、試験用管材のシール面 1 aに当接するねじ無しシール面 2 aとが形成されており、鋼管のショルダー部 1 cが当接する内部ショルダー部 2 cを有している。

試験用管材 1 とカップリング 2のねじ無しシール面 1 a， 2 aは、いずれも表面粗さ R yが、通常のねじ継手に適用されている表面粗さ R yの上限と想定される約 2 5 mとなるように加工した。

金属面接触シール部を備えた試験用ねじ継手（以下、「試験材」ともいう）を、図 1に示すように、カップリング 2の両側に各 1本ずつの試験用管材 1 をねじ込んで締付けることにより作成した。本調査では、金属面接触シール部を形成するリング状接触部（以下、「接触部分」という）の平均面圧 P mと管の内面降伏圧力 P yとの比（以下、「平均面圧比」という） P m/ P yの値が 1 . 0〜4 . 5の範囲内で約 0 . 5間隔で変化するように、シール部の干渉量をそれぞれの面圧に応じて設定した、 8体の試験材 A 1〜A 8を作成した。これらの試験材を気密試験に供し、シール性を調査した。なお、ねじ部の干渉は、シール部への影響を無くすために無し（零）とし、ねじ込みは、ショルダー 1 cが当接した時点で停止した（即ち、トルクショルダーの検出によりねじ螺合量を設定した）。実測した継手部の各部寸法値と材料特性データから F E M解析により求めた平均面圧比 P m/ P yの値を、シール面の表面粗さ、気密試験の結果、及び接触幅と共に、表 1及び図 3に示す。

気密試験は、図 6に示すようにして、試験用ねじ継手の内部に、所定の内圧力 (Capped End Yie l d Pressure : Von Mi sesの内面降伏圧 P y ) の窒素ガスを 1時間保持することにより実施した。試験中の.ねじ継手からの漏れを検出するため、図示のように、カップリング 2の両側のねじ部端部にカラー 3を設け、漏れたガスをカラー 3から導管 4を介して水 5の中に導き、水中での気泡発生の有無により漏れの有無を確認した。 ·

表 1中の気密試験の結果において、〇印は 1時間の試験中に漏れが発生しなかつたもの、 X印は漏れが発生したものを示す。同様に、図 3では、暴印が漏れ発生なし、 X印が漏れ発生あり、を示す。図 1に示すように、カップリングの両側につのねじ継手ができるが、いずれか一方のみから漏れが発生した場合も Xと評価した。

表 1及び図 3に示した試験材の表面粗さ Ryは、いずれも表面粗さ Ryが 2 5 〃 mとなるように加工された管材とカップリングのシール面の表面粗さの実測値 (測定長さ： 0. 5 mm、カップリングの両側の 2つのねじ継手の管材および力ップリングの合計 4箇所のシール面の平均値）である。

表 1の接触幅は、接触部分における P s/P y≥ 1 となる部分の軸方向の幅であり、平均面圧 Pmと一緒に F EMにより求めた。 ' 表 2、 3、 5及び図 4〜 5でも、上記と同様の評価方法及び測定方法を採用した。表 1

接触部分における P s /P y≥ 1の部分の軸方向の幅表 1及び図 3より、ねじ継手のシール面の表面粗さ Ryが 2 5 mの場合、平均面圧比 Pm/P yが 3以上であれば、漏れが発生しないといえる。試験材 A— 7で漏れが発生しなかったのは、たまたま表面粗さが最も小さかったためと考えられる。当然ながら、平均面圧比 Pm/P yが 3以上で、かつ表面粗さ Ryが 2 5〃m未満の場合にも、漏れは発生しないと推定できる。従って、平均面圧比 Pm/Pyが 3以上で、かつシール面の表面粗さ R yが 2 5〃m以下の場合に漏れは発生しないと結論づけることができる。同じく F EM による解析結果より、接触部分における面圧 P sが内面降伏圧力 Py以上となる部分の軸方向の幅（表 1の接触幅）は、表 1に示す通り、概ね 1. 0 mm以上の場合に漏れが発生しない。

以上より、本発明の第 1の態様によると、接触部分における平均面圧比 Pm/ Pyが 3以上で、 P s/Py≥ 1である部分の軸方向の幅が 1 mm以上で、双方のシール面の表面粗さ Ryを 2 5 以下とすることにより、金属面接触シール部において確実なシール性を確保することができる。

次に、管材とカップリングのねじ無しシール面の表面粗さ Ryが 1 2. 5 um となるように加工した以外は、上記と同じ試験材を用いて、平均面圧比 Pm/P yが 0. 5〜 3の範囲内で約 0. 5間隔で変化するようにシール部の干渉量をそれぞれの面圧に応じて設定した、 8体の試験材 B— 1〜B— 8を作成し、上記と同様の気密試験に供した。実測した継手部の各部寸法値と材料特性データから F EM解析により求めた平均面圧比 Pm/Pyの値を、気密試験の結果、表面粗さ、接触幅と共に、表 2及び図 4に示す。表 2

妾触部分における P s/Py≥ 1の部分の軸方向の幅表 2及び図 4より、シール面の表面粗さ Ryが 1 2. 5 前後の場合、平均面圧比 Pm/P yが 1. 5を超える値であれば漏れが発生していないと言える。もちろん、表面粗さ Ryが 1 2. 5 m未満の場合も、平均面圧比 Pm/Pyが 1. 5を超える値であれば漏れは発生しないと推定できる。

表面粗さ Ryが限りなく零に近づく、つまり鏡面のようになると、シール面は完全に密封されていることになるから、極めてわずかな面圧が確保されていれば、漏れは発生しない。つまり、表面粗さ Ryが零の極限に近づくにつれて、シ一ル部における漏れ防止に必要な平均面圧比 Pm/Pyの値も限りなく 1に近づくことになる。

表 1及び表に示す実験結果と上記の R yの極限点から得られた 3つの境界点、 (Pm/P = 3 , Ry = 2 5 um) 、- (Pm/P y = 1. 5， Ry = 1 2. 5 um) 及び（PmZPy= 1. 0， Ry= 0 ) より、平均面圧比 Pm/Pyと表面粗さ Ry (^m) を用いて漏れの有無の境界を示す式を 2次式で示すと、 P m/P y = 0. 0 0 3 2 XRy ² + 1. 0となる。

本発明の第 2の態様によると、 Pm/Py≥ 0. 0 0 3 2 xRy² + 1. 0であれば、シール性を確保できる。但し、この態様でも、接触幅（接触部分における P s/Py≥ 1の部分の軸方向の幅）は 1. Omm以上とする。

上記条件式において、平均面圧比 Pm/Pyを指標として用いたのは、平均面圧 P mが単位長さ又は単位面積当りのシール面押し付け力を表しており、表面粗さのある面を互いに押し付ける力が大きくなると、その接触面間の表面粗さに起因して発生する隙間は押し潰されて減少し、シール面のシール性は向上すると考えられるからである。

次に、ねじ無しシール面の表面粗さ Ryがより大きな値（約 3 0 um) となるように加工した以外は上記と同じ試験材を用いて、平均面圧比 P m/ P yが 1. 0〜4. 5の範囲内で約 0. 5間隔で変化するようにシール部の干渉量をそれぞれの面圧に応じて設定した、 8体の試験材 C— 1〜C一 8を作成し、上記と同様の気密試験に供した。実測した継手部の各部寸法値と材料特性データから F EM 解析により求めた平均面圧比 Pm/Pyの値を、気密試験の結果、表面粗さ、接触幅と共に、を表 3及び図 5に示す。表面粗さ平均面圧比メ験接触幅 *

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C一 4 30.5 2.4 X 2.07

C一 5 30.1 2.9 〇 2.11

C一 6 29.6 3.6 〇 2.13

C- 7 30.7 3.8 X 1.27

C- 8 29.5 4.2 〇 2.21 接触部分における P s/P y≥ 1の部分の軸方向の幅表 3及び図 5より、シール面の表面粗さ Ryが 3 0 mまでの場合には、本発明の第 3の態様に従って、内面降伏圧力 Py以上の面圧 P sを受ける（P s/P y≥ 1である）部分の接触部分の軸方向の幅が 2 mm以上であり、平均面圧比 P m/P yが 3以上であれば、シ.ール性が確保できることがわかる。

但し、本発明の上記いずれの態様に係る管用ねじ継手であっても、平均面圧比 Pm/Pyが過大になると焼き付きが生じ易くなる。焼き付きが発生しない Pm /Pyの上限は材質や前処理の有無によっても異なるが、 Pm/Pyの値は一般に 5以下とすることが好ましく、より好ましくは 4.5 以下である。焼き付き防止には、平均面圧比 Pm/Pyを、本発明で規定する下限の近傍に設定することが有利であり、こうすれば、焼き付きが起こり易い材質又は条件でも、確実に焼き付きを防止できる可能性が高くなる。

いずれの場合も、面圧 P sに関しては、耐焼き付き性の点より、面圧 P sが材料の降伏点 Y sを越えないこと（P s/Y sく 1 ) が望ましい。

ねじ継手の材質や締結条件によっては、耐焼き付き性を克服する為、ねじ部とねじ無しシール面の両方に適切な表面処理を施すことができる。このような表面処理としては、リン酸塩処理、固体潤滑処理、めっき、投射亜鉛系めつき等が挙げられる。この表面処理は、鋼管とカップリングのいずれか一方又は両方のねじ 1 I 部及びねじ無しシール面に施すことができる。ねじ継手の締結前に適当なグリ一ス又は油を塗布するのが常であるが、表面処理によっては塗布が不要となることもある。

本発明に係る管用ねじ継手の金属面接触シール部の形状は、'鋼管の端部と力ップリングに形成されたシール面がいずれも円錐面である形状、一方が曲面で、他方が円錐面である形状、双方が曲面である形状等のいずれでもよい。但し、シール部の螺合による管の端部又はカツプリングの変形をも考慮に入れて、接触部分の P s / P y≥ 1 となる部分の軸方向の幅が前述した条件を満たす必要がある。実施例

先に説明したのと同様の寸法、材質の試験用管材及びカツプリングを用いて、種々の試験用ねじ継手（試験材）を作成し、先に説明したものと同様の気密試験によりシール性を調査した。

各試験材は平均面圧比 P m/ P y及び試験用管材とカップリングのねじ無しシ —ル面 l a , 2 aの表面粗さ R yが表 4に示す値となるように作成した。ねじ部の干渉は、シール部への影響を無くすために無し（零）とし、ねじ込みは、ショルダ一 1 cが当接した時点で停止した。

各試験材は、図 1に示すように、雌ねじ 2 bとねじ無しシール面 2 aを両側内周面に形成した 1個のカップリング 2の両側に、その端部外周面に雄ねじ 1 とねじ無しシ一ル面 1 aを形成した 2個の試験用管材 1を配したものである。従つて、各試験材は 2つのねじ継手部を有し、それら 2つの呼称番号を、例えば 1一 A及び 1一 B (それぞれ試験材 N o . 1の A側及び B側のねじ継手）とする。表 4に示すように、一部の試験材では、同じ試験材の A、 B 2つのねじ継手のシール面の表面粗さ R yを互いに異なるようにした。但し、 1つのねじ継手部の管材とカップリングのシ一ル面の表面粗さ R yの加工値は同じである。管材と力ップリングの表面粗さ R yの実測値の平均値を表 5に示す。

製作した試験材に、上記調査と同様に、内圧力（Capped End Yield Pressure : Von Mi ses の内面降伏圧力 P y ) を 1時間保持する気密試験を行い、そのシール性を確認した。その結果を試験用管材の加工結果と共に表 5及び図 7に示す。表 5及び図 7中、 *を付したものは、気密試験後に締め戻した場合に焼き付きが発生したものである。表 5中の「対応する態様番号」は、前述した本発明の態様の番号を意味する。

図 7は、縦軸に平均面圧比 Pm/P y、横軸にシール面の表面粗さ R yをプロッ卜したグラフである。図中の破線で示した曲線は、 Pm/P y= 0. 0 0 3 2 X Ry² + 1 . 0を示す。表 4 表面粗さ平均面圧比試験材表面粗さ平均面圧比

No. R y (um) Pm/P y No. R y ( m) Pm/P y-

1 -A 1 5 3 5 -B 5 0. 5

1一 B 2 0 3 6一 A 3 0 4

2 -A 2 5 3 6一 B 3 0 5

2一. B 3 0 3 7一 A 2 5 2. 5

3 -A 1 5 2 7 ~B 2 5 1， 5

3— B 1 5 ， 1 8—A 2 0 2

4 -A ' 1 0 2 8一 B 1 2. 5 1 . 5

4 -B 1 0 1 9一 A 7. 5 1

5一 A 5 2 9 -B 3 1 . 5

表 5

*：締め戻し時に焼き付きが発生-

¹ ：接触部分における P s/Py; 1の部分の軸方向の巾; 図 7及び表 5より、本発明の何れかの条件を満足したねじ継手試験材（表 5の比較例以外の試験材）では、良好なシール性が確保できることが確認された。一方、本発明の何れの条件をも満足しない比較例のねじ継手試験材では全て漏れが発生した。

試験材 No. 9— Bで平均面圧比 Pm/Pyが 1. 6と小さいのに焼き付きが発生しているのは、表面粗さが 3 umと非常に小さいからである。

本発明によれば、むやみにシール面の表面粗さを細かくして加工時間の延長や加工コストを上昇させたり、また、試行錯誤を繰り返してそのコストとシール性との折合点を探すというような手間をかけることなく、耐焼き付き性を考慮した面圧を付与することによって、必要最小限の表面粗さを求めることができるようになり、より合理的、かつ経済的な金属面接触のシール付きねじ継手を得ることができる。

Claims

請求の範囲

1. 鋼管の端部に形成された雄ねじ及びねじ無しシール面、並びにカップリングの内面に形成された前記雄ねじと螺合する雌ねじ及び前記鋼管のシール面と当接してリング状接触部を形成するねじ無しシール面、'から構成される、金属面接触シール部を備えた管用ねじ継手であって、

鋼管及びカツプリングのねじ無しシール面の表面粗さ Ryがいずれも 2 5 以下であり、そして

ねじ継手を締結した時に、管の内面降伏圧力を Pyとして、前記リング状接触部の平均面圧 Pmが Pm/Py≥ 3を満足し、かつ前記リング状接触部において P s/Py≥ 1を満足する面圧 P sを受ける部分の軸方向の幅が 1 mm以上である金属面接触シール部を形成できることを特徴とする、管用ねじ継手。

2. 鋼管の端部に形成された雄ねじ及びねじ無しシール面、並びにカップリングの内面に形成された前記雄ねじと螺合する雌ねじ及び前記鋼管のシール面と当接してリング状接触部を形成するねじ無しシ一ル面、から構成される、金属面接触シール部を備えた管用ねじ継手であって、

ねじ継手を締結した時に、管の内面降伏圧力を Pyとして、鋼管とカップリングのいずれのねじ無しシール面についても、前記リング状接触部の平均面圧 Pm と該シ一ル面の表面粗さ Ry ( m)との関係が Pm/Py≥ 0. 0 0 3 2 xRy 2 + 1. 0を満足'し、かつ前記リング状接触部において P s/Py≥ 1を満足する面圧 P sを受ける部分の軸方向の幅が 1 mm以上である金属面接触シール部を形成できることを特徴とする、管用ねじ継手。

3. 鋼管の端部に形成された雄ねじ及びねじ無しシール面、並びにカップリングの内面に形成された前記雄ねじと螺合する雌ねじ及び前記鋼管のシール面と当接してリング状接触部を形成するねじ無しシール面、から構成される、金属面接触シール部を備えた管用ねじ継手であって、

鋼管及びカツプリングのねじ無しシール面の表面粗さ Ryがいずれも 3 0 urn 以下であり、そして

ねじ継手を締結した時に、管の内面降伏圧力を Pyとして、前記リング状接触部の平均面圧 Pmが Pm/Py≥ 3を満足し、かつ前記リング状接触部において P s/Py≥ 1を満足する面圧 P sを受ける部分の軸方向の幅が 2 mm以上である金属面接触シール部を形成できることを特徴とする、管用ねじ継手。

4. 前記鋼管が端面にショルダー部を有し、対応して前記カップリングも、鋼管の端面ショルダ一部が当接するショルダ一部を有する、請求項 1〜 3のいずれか 1項に記載の管用ねじ継手。 .