明細書 試料配布装置、 塗布部製造方法及び試料配布方法、 並びに基体活'『生化装置 技術分野
本発明は、 試料配布装置、 塗布部製造方法おょぴ試料配布方法、 並びに基体 活性化装置に係り、 詳細には、 多数の種々の試料の抽出および移送を可能にす る試料配布装置、 塗布部製造方法および試料配布方法、 並びに基体活性化装置 に関する。 本発明は、 例えば、 核酸、 タンパク質を配列したアレイを作成する ために使用し、 もしくは、 コンビナトリアルケミストリーを実行する為の多数 の異なる試料の混合、 またはマルチ—ゥエルプレート形式で、 標準的免疫検査 の実行を行うこと等の種々の分野で用いられる。 背景技術
従来、 ハイスループットのスクリーユングおよび遺伝子やタンパク質等のァ レイの使用についての爆発的な増加は、 多数の種々の試料の操作の必要性をも たらしている。 特に、 アレイの場合には、 数千の異なる遺伝子検体が支持体上 に配列されることが多い。 この作業は、 例えば、 該検体が懸濁する流動体を収 容する容器から、 少量の流動体を拾い上げて、 その流動体を表面に接触させる こと、 または、 その流動体を他の液収容部内に分散させて混合することである。 このような技術として、 支持体上に生物学的試料からなるミクロアレイを形 成する方法および装置がある (特表平 1 0— 5 0 3 8 4 1号公報、 米国特許 5 8 0 7 5 2 2 )。 この方法は、 既知量の試薬を、 規定量の液体を支持体上に導入 するのに効果的な条件下で、 毛管分配装置を支持体に打ち付けることによって、 選択された配列位置に分配する方法である。 この方法は、 選択された試薬を互 レヽに離れて同一方向に広がる細長!/、部材によつて形成され、 一定量の試薬溶液 を保持することができ、 前記毛管流路中の水溶液がメニスカスを形成する先端 領域を有する、 細長い毛管流路を有する試薬分配装置に充填し、 前記分配装置 の先端を表面上の規定位置で支持体に対して軽く打ち付け、 毛管流路中のメニ
差替え用紙(規則 26)
スカスを壊すように衝撃を与え、 選択された量、 0.002〜2 / 1の溶液を表面上 に付着させ、 アレイが形成されるまで繰り返すものである。
また、 サーマル ·ィンクジヱット法による検体液の配布を使用したァレイに 基づいたハイプリダイゼイシヨン検査を形成するものがあった (特開平 1 1一 1 8 7 9 0 0号公報、 米国特許 6 2 2 1 6 5 3 )。 または、 ピンまたはリング若 しくは先端に細長レヽ孔を有するピンを用いたものがあった。
ところで、 従来の方法では、 アレイの生成を可能とするけれども、 それらは、 厳しい条件によって妨げられている。
すなわち、 異なる試薬へ適用する場合に、 それらを再使用可能とするには、 洗浄が必要である。 試薬のセットが変更される際に必要となる洗浄工程は、 ァ レイを生成する際に、 処理を遅らせるので、 処理量を減少させるという問題点 を有していた。 加えて、 もし、 洗浄工程が完全でない場合には、 同一チップの 再使用の際、 クロスコンタミネーションの可能性があるという問題点を有して いた。
さらに、 試薬として異なるタンパク質を扱う場合には、 洗浄を行っても、 タ ンパク質を完全に除去することができず、 再使用ができないという問題点を有 していた。
また、 ピンおよび噴射要素は、 それらをアレイ状に配列して組み立てる間、 加圧滅菌されていないという問題点を有していた。
そこで、 本発明は、 以上の問題点を解決するためになされたものであり、 そ の第 1の目的は、 多数の試料を、 効率的かつ迅速に取り扱うことができる試料 配布装置、 塗布部製造方法および試料配布方法、 並びに基体活性化装置を提供 することである。
第 2の目的は、 製造が容易で、 製造コストが低く使い捨て可能であって、 洗 浄を必要とせず、 コンタミネーシヨンまたは物質の持ち越しの心配がない試料 配布装置、 塗布部製造方法および試料配布方法、 並びに基体活性化装置を提供 することである。
第 3の目的は、 該装置製造の際に、 滅菌状態で製造することができる信頼性 の高い試料配布装置、 塗布部製造方法おょぴ試料配布方法、 並びに基体活性化
装置を提供することである。
第 4の目的は、 多数の試料を配列したアレイを、 効率的かつ迅速に製造する ことができる試料配布装置、 塗布部製造方法および試料配布方法、 並びに基体 活性化装置を提供することである。 発明の開示
以上の技術的課題を解決するために、 第 1の発明は、 基体または収容部に配 布すべき所定試料を含有する流動体を収容可能な複数の収容部からなる 1以上 の収容部の組と、 前記各収容部に収容された前記各流動体に浸すことによって 少量の前記流動体を保持可能な 2以上の保持端が、 前記収容部の配列に応じて 配列された塗布部を有する試料供給部と、 前記基体およぴ前記収容部と前記塗 布部との間を、 相対的に移動する移動部とを有する試料配布装置である。
ここで、 「所定試料」 には、 例えば、 核酸、 タンパク質、 糖等の生体低分子ま たは生体高分子等の物質を含む。 「流動体」 には、 液体のみならず、 粘性を持つ た半流動体をも含む。
「保持端」 は、 少量の液体等の流動体を保持可能な機能をもつ端部である。 保持端の形状は、 対象となる基体の形状や特性に応じて定まるものである。 例 えば、 基体が糸状、 紐状等の細長形状の場合には、 略 J字状、 略 V字状、 また は略 「<」 状等のフック状が好ましい。 フック状とは、 横方向または上方向に 拡開するとともに、 基体と流動体との接触時において基体の長手方向に沿って 相対的に移動可能となるように開いている形状をいう。
該保持端が該フック状に形成されることによって、 基体と流動体との接触ま たは塗布は、 該保持端を前記基体に対して上昇させまたは横方向に移動するこ とによって行われ、 また、 基体と保持端の流動体とが接触した状態での相対的 な移動、 特に、 基体の経路に沿った走行が自由にできることになる。
また、 前記保持端は上方向または横方向に拡開するものであるため、 前記流 動体の保持能力が高く、 保持された比較的豊富な液量を用いて、 前記細長形状 の基体の全周囲と流動体とを接触させて、 該基体上の単に一方向によつて定ま るラインに対してではなく、 無数の方向によって定まる曲面に沿った全周囲に
おいて 3次元的に塗布することができる。
一方、 基体が平坦な平面状の場合には、 例えば、 孔またはスリットをもつ略 L字状が好ましい。 保持端がこれらの形状をもつことによって、 その加工を容 易化する。
「収容部の糸且」は、 例えば、 2以上のゥエルを有するマイクロプレートである。 「多数」 とは、 好ましくは、 例えば、 48個、 96個、 384個、 1536個等である。 これらのウエノレが、 各々 6行 X 8歹、 8行 X 12歹! J、 16行 X 24列、 32行 X 48歹 IJ 等のマトリクス状に配列されたものが好ましい。
「少量」とは、 例えば、 約 0.01 zリットルから約 100 μリットル、 好ましくは 約 1 μリツトルのオーダーである。 前記保持端が保持できる液体量、 すなわち、 基体に塗布されるべき溶液の量は、 該保持端の形状および大きさによって定ま る。 例えば、 基体が細長形状の場合に用いるフック状の保持端では、 基体に沿 つた保持端の幅とその保持端の高さまたは深さにより定まる。 保持端の高さま たは深さは、 前記基体の径を超える大きさが好ましい。 また、 孔ゃスリットが 設けられた保持端では、 該保持端を構成するシート状物質の厚さおよび前記孔 ゃスリツトの面積によって決定することができる。
「試料の配布」 は、 基体のみならず、 収容部に対しても行うことができる。 配布は、 塗布部の保持端に保持されている試料と基体または各収容部若しくは 該収容部に収容されている液体とを接触させることによって行う。 塗布は静止 した状態または移動する状態での前記保持端との接触に相当する。 また、 接触 時間は、 瞬間的の場合または有限の場合がある。 接触の移動距離、 接触時間を 調整することによって、 配布量および配布面積を調整することができる。 静止 した状態で行う塗布は斑点状に付けるスポッティングに相当する。
また、 流動体が、 前記保持端以外の、 保持端に隣接する領域に付着すること を防止するために、 高分子コーティング、 特にテフロンまたはシリコンで表面 を被覆して疎水性の性質を加えるのが好まし!/、。
前記保持端が設けられた塗布部は、 薄板状またはシート状の素材を加工する ことによって形成するのが好ましい。 このような素材としては、 例えば、 ポリ カーポネイト (透明で熱可塑 1生の物質)、 ポリビニールアセテート、 ポリエチレ
ン、 ポリプロピレン、 ポリサルフォン、 ポリビ-リデン 2フッ化物、 テフロン のようなプラスチック、 金属、 セル口シックスで作られた厚さが 1〜1 0 3 μ πι ( 0 . 0 0 0 1〜0 . 1ィンチ) のオーダー、 好ましくは、 約 1 0〜: L 0 2 μ m ( 0 . 0 0 1〜0 . 0 1インチ) のオーダーの厚さであり、 典型的には、 1 2 . 7 πι ( 0 . 0 0 5インチ) の厚さである。 薄板状の素材を用いるのは、 使い捨 て可能とするためである。 すなわち、 低コストで、 打ち抜き、 切断および折り 曲げ工程による塗布部を大量生産に使用できるので、 薄いシート状の物質が好 ましいからである。
「基体」は、 前記試料を含有する流動体を塗布して配布する対象物の 1つであ つて、 プレート状のチップ、 紐、 糸状の細長形状のもの、 多数のゥヱルが設け られたマイクロプレート、 または、 1組の収容部であっても良い。 配布された 流動体に含有する試料が配列されるためには、 該基体自体が、 試料を保持する 性質、 例えば、 多孔質、 凹凸性、 発泡性等の浸潤性等の性質または容器のよう な液体保持性をもつ必要がある。 また、 該基体は、 前記保持端の配列に応じて 塗布可能に配置されている必要がある。 前記試料とその配布位置とを対応付け るようにして、 各種の検査を行うことが可能である。 該基体には、 生物学的に 活性化された分子がその多孔層等に配布または固定されているのが好ましい。 前記細長形状の基体としては、 例えば、 ナイロンミシン糸、 または、 細径の鈞 り用のスポーツの分野で使用される緩りのないモノフィラメントのライン等の 繊維状物質である。
第 1の発明によれば、 保持端を、 配布すべき試料を含有する流動体を収容し ている収容部に浸すだけで、 保持端に前記流動体を保持させ、 該保持端にある 該流動体に基体を接触させることによって基体上に試料を含有する流動体を配 布することができる。 したがって、 簡単な構造おょぴ簡単な制御で安価に D N Aチップ等のような、 試料を効率的に多数配列したァレイを大量に製造するこ とができる。
第 2の発明では、 前記塗布部は、 前記試料供給部に対して着脱自在に設けら れた試料配布装置である。
第 2 の発明によれば、 塗布部を着脱自在に取り付けるようにして、 使用済み
の塗布部を順次新し!/、塗布部と入れ替えることができるようにしているので、 クロスコンタミネーションを防止しながら、 多数の試料の配布を行うことがで きる。 なお、 塗布部は安価に製造可能なので、 処理コストを削減することがで きる。
第 3の発明は、 前記基体が糸状、 紐状等の細長形状に形成されている場合に は、 該基体を前記保持端に保持されている流動体と接触可能となるように、 前 記保持端の配列に応じて定まる経路に沿つて張力を加えて配置する基体供給部 を有し、 前記移動部は、 前記保持端を前記基体に対して相対的に移動する塗布 移動部とを有する試料配布装置である。
ここで、 前記「基体供給部」は、 細長形状の基体を配置するものである。
細長形状の基体に対して塗布を行う場合には、 配布位置の近傍にある該基体 の全周が保持端に保持されている流動体に漬かるように接触するのが好ましい。 したがって、 保持端の形状は、 フック状に拡開するのが好ましい。 そのための 液量は、 基体の径によって定められる。
「相対的に移動」 であるから、 基体を固定させ、 保持端のみを基体に沿って 移動する場合、 基体を移動させ、 保持端は基体に沿っては移動しない場合、 基 体と保持端との双方を移動させる場合がある。 基体を固定させ、 保持端のみを 基体に沿って移動させる場合は、 基体供給装置の構造が簡単になるという利点 がある。 基体を移動させて保持端を基体に沿っては移動しない場合には、 塗布 部の構造が簡単化させることができる。 基体と保持端の双方を移動させる場合 については、 第 4の発明に相当する。
第 3の発明によれば、 細長形状に形成された基体に対して、 一斉に接触可能 となるように、 前記塗布部の配列に応じて定まる経路に沿って張着し、 該経路 に沿って保持端を前記基体に対して相対的に移動させることによって、 容易か つ効率的に試料の配布を行うことができる。
第 4の発明は、 前記基体供給部は、 前記基体が前記経路に沿って走行可能で あるように張力を加えて該基体を配置し、 前記移動部は、 該基体を該経路に沿 つて走行させる走行駆動部を有する試料配布装置である。
該 「基体供給部」 は、 例えば、 上流側にある繰出しリールまたはローラから
下流側にある巻取りリールまたはローラまでの間を所定経路に沿つて、 走行可 能に張力を加えて配置する。 該リールまたはローラ間には、 さらに、 別のロー ラが前記経路に沿って所定間隔で設けられる場合がある。 また、 基体に張力を 与え、 または走行させるために、 少なくとも、 最上流側および最下流側にある 前記リールまたはローラには、 これらに回転力を与えるためのモータが設けら れている。
静止状態の基体に張力を与えるには、 例えば、 最上流側にあるリールまたは ローラを停止して、 最下流側にあるリールまたはローラに小さな回転力を与え ることによって実現することができる。 また、 走行状態の基体に張力を与える には、 例えば、 最上流側にあるリールまたはローラに基体を走行方向に進める ような回転力を与えるとともに、 最下流側にあるリールまたはローラに前記回 転力よりもやや大きな回転力を与えることによって実現することができる。 第 4の発明によれば、 細長形状に形成された基体に対して、 一斉に接触可能 となるように、 前記塗布部の配列に応じて定まる経路に沿って張着し、 該経路 に沿って該基体を走行可能に設けている。 したがって、 基体の走行と、 塗布部 の移動とを組み合わせることによって、 確実に、 かつ、 より一層容易かつ効率 的に試料の配布を行うことができる。
第 5の発明は、 前記塗布部は、 2以上の前記保持端が所定間隔を開けて櫛状 に配列された櫛状塗布部である試料配布装置である。 好ましくは、 該櫛状塗布 部は、 薄板状またはシート状部材から一体に形成する。
ここで、 「所定間隔」 は、 使用する 1組の収容部の隣接する収容部間の間隔、 例えば、 マイクロプレートのゥエル間の間隔または基体上の隣接する試料間の 間隔を考慮して決定される。
第 5の発明によれば、 複数の保持端を一斉に基体と接触することができるの で、 試料の配布を効率的かつ迅速に行うことができる。
第 6の発明は、 前記塗布部は、 2以上の前記保持端が所定間隔を開けてマト リクス状に配列されてマトリクス状塗布部であり、 前記基体供給部は、 前記基 体を、 前記マトリタスの行方向に、 または およぴ列方向に沿って縫うように 張力を加えて配置する試料配布装置である。 ここで、 前記マトリクス状塗布部
は、 例えば、 前記櫛状塗布部を複数列に設けることによって、 複数のマトリク ス状塗布部を組み合わせることによって、 または前記塗布部を個々にマトリク ス状に配列することによって形成する。 前記基体供給部に配置された前記基体 を前記マトリクスの行方向にまたは/および列方向に沿って縫うように走行可 能とするものであっても良い。
第 6の発明によれば、 複数の保持端を一斉に基体と接触することができるの で、 試料の配布を効率的かつ迅速に行うことができる。
第 7の発明は、 前記塗布部は、 薄板状またはシート状部材で形成された 2以 上の塗布要素からなり、 各塗布要素は、 上下方向に細長形状または下方向に先 細り形状に形成されたアーム部と、 前記アーム部に対して上方向または側方向 に拡開するように前記シート状部材を折り曲げられて形成された前記保持端と を有する試料配布装置である。
第 7の発明によれば、 塗布部をシートまたは薄板を用いて容易に作成するこ とができる。 したがって、 塗布部の製造コストを引き下げ、 使い捨て可能な塗 布部を提供することができる。
第 8の発明は、 前記塗布部は、 薄板状またはシート状部材で形成された 2以 上の塗布要素からなり、 各塗布要素は、 上下方向に細長形状または下方向に先 細り形状に形成されたアーム部と、 孔またはスリットが形成された前記保持端 とを有する試料配布装置である。 ここで、 該保持端は、 孔またはスリ ッ トが形 成された部分が、 前記アーム部の軸方向に対して曲げられていても良い。
第 8の発明によれば、 塗布部をシートまたは薄板を用いて容易に作成するこ とができる。 したがって、 塗布部の製造コストを引き下げ、 使い捨て可能な塗 布部を提供することができる。
第 9の発明は、 前記塗布部は、 2以上の前記塗布要素からなり、 各塗布要素 は、 前記収容部の開口部に嵌合して該収容部を密閉可能とする蓋部と、 該蓋部 の下側に設けられ、 該蓋部によって、 前記収容部を密閉した際に、 前記各収容 部内に収容される保持端とを有するものである試料配布装置である。
第 9の発明によれば、 収容部内に予め作成した試料を収容する代わりに、 該 収容部内で試料の作成を効率的に行うことができる。 したがって、 全体として
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の処理の効率化、 迅速化または一貫性を図ることができる。 また、 蓋部によつ て、 前記収容部を密閉するようにしているので、 液体の蒸発を防止することが できる。
第 1 0の発明は、 前記基体供給部は、 該基体に配布されるべき試料の基体上 の配布位置の間隔と同一または整数倍の間隔で基体の配布位置間でのみ接触す る尖った先端をもつ複数の歯をもつ歯車状のローラを有し、 該ローラに前記基 体が掛け渡されて設けられた試料配布装置である。
第 1 0の発明によれば、 前記配置機構に、 該基体に塗布されるべき試料の基 体上の配布位置の間隔と同一の間隔で基体の配布位置間でのみ接触する尖った 先端をもつ複数の歯を有している歯車状のローラを設けている。 したがって、 直接ローラが前記配布位置と接触しないので、 クロスコンタミネーシヨンを防 止することができる。
第 1 1の発明は、 矩形状の薄板またはシートの一縁部に平行な直線に沿って 該縁部近傍を前記薄板またはシートの平面に沿つた方向または該平面の法線方 向に拡開するように折り曲げる折曲工程と、 複数の保持端およびアーム部を形 成するように、 折り曲げた前記薄板またはシートを切断する切断工程とを有す る塗布部製造方法である。
第 1 1の発明によれば、 塗布部をシートまたは薄板を用いて容易に作成する ことができる。 したがって、 塗布部の製造コストを引き下げ、 使い捨て可能な 塗布部を提供することができる。
第 1 2の発明は、 前記切断工程は、 折り曲げた前記薄板またはシートについ て、 前記保持端が完全に切り離されるように、 または、 保持端が所定間隔で櫛 状に配列されるように切断する塗布部製造方法である。
ここで、 「所定幅」 は、 基体上の配布位置の間隔および使用するマイクロプレ 一トのゥエル間の間隔を考慮して決定される。
第 1 2の発明によれば、 塗布部をシートまたは薄板を用いて容易に作成する ことができる。 したがって、 塗布部の製造コストを引き下げ、 使い捨て可能な 塗布部を提供することができる。
第 1 3の発明は、 基体または収容部に配布すべき所定試料を含有する流動体
を収容する複数の収容部からなる 1以上の収容部の組に対して、 前記収容部の 配列に応じて配列された塗布部の 2以上の該保持端を、 相対的に移動させて前 記流動体に浸すことによって、 少量の前記各流動体を前記保持端に保持させる 保持工程と、 前記保持端と前記基体または前記収容部との間を相対的に移動し て、 '前記保持端に保持されている前記流動体を、 前記基体または 1以上の収容 部の組に配布する配布工程とを有する試料配布方法である。
第 1 3の発明によれば、 保持端を、 配布すべき試料を含有する流動体を収容 している収容部に浸すだけで、 保持端に前記流動体を保持させ、 該保持端にあ る該流動体に基体を接触させることによって基体上に試料を含有する流動体を 配布することができる。 したがって、 簡単な構造および簡単な制御で安価に D N Aチップ等の試料を、 効率的に多数配列したァレイを大量に製造することが できる。
第 1 4の発明は、 前記方法は、 使用した前記塗布部を除去して、 新しい塗布 部と入れ替えて用いる再生工程を有する試料配布方法である。
第 1 4の発明によれば、 塗布部を着脱自在に取り付けるようにして、 使用済 みの塗布部を順次新し 、塗布部と入れ替えることができるようにしているので、 クロスコンタミネーションを防止しながら、 多数の試料の配布を行うことがで きる。 なお、 塗布部は安価に製造可能なので、 処理コストを削減することがで さる。
第 1 5の発明は、 前記塗布工程は、 前記基体が糸状、 紐状等の細長形状であ る場合には、 前記保持端に保持されている流動体と接触可能となるように前記 保持端の配列に応じて定まる経路に沿って張力を加えて配置された基体に沿つ て相対的に前記保持端を移動させる移動工程を有する試料配布方法である。 「基体に沿って相対的に移動」 であるから、 基体を固定させ、 保持端のみを基 体に沿って移動する場合、 基体を移動させ、 保持端は基体に沿っては移動しな い場合、 基体と保持端との双方を移動させる場合がある。 基体を固定させ、 保 持端のみを基体に沿って移動させる場合は、 基体供給装置の構造が簡単になる という利点がある。 基体を移動させて保持端を基体に沿っては移動しない場合 には、 塗布部の構造が簡単化させることができる。 基体と保持端の双方を移動
させる場合については、 第 1 6の発明に相当する。
第 1 5の発明によれば、 細長形状に形成された基体に対して、 一斉に接触可 能となるように、 前記塗布部の配列に応じて定まる経路に沿って張着し、 該経 路に沿って前記保持端を該基体に沿って相対的に移動させるようにしている。 したがって、 容易かつ効率的に試料の配布を行うことができる。
第 1 6の発明は、 前記移動工程は、 前記基体に張力を加えて前記経路に沿つ て走行させる走行工程を有する試料配布方法である。
第 1 6の発明によれば、 細長形状に形成された基体に対して、 一斉に接触可 能となるように、 前記塗布部の配列に応じて定まる経路に沿って張着し、 該経 路に沿って該基体を走行可能に設けている。 したがって、 基体の走行と、 塗布 部の移動とを組み合わせることによって、 確実に、 かつより一層容易かつ効率 的に試料の配布を行うことができる。
第 1 7の発明は、 前記走行工程は、 前記塗布部が 2以上の前記保持端を所定 間隔を開けて櫛状に配列されているものである場合には、 前記基体は、 該配列 方向に沿った経路に沿って走行する試料配布方法である。
第 1 7の発明によれば、 複数の保持端を一斉に基体と接触することができる ので、 試料の配布を効率的かつ迅速に行うことができる。
第 1 8の発明は、 前記走行工程において、 前記塗布部が、 2以上の保持端が 所定間隔を開けてマトリタス状に配列されたものである場合には、 前記基体は、 相当する前記マトリクスの行方向または列方向に沿って、 行間または列間を縫 うようにして走行する試料配布方法である。
第 1 8の発明によれば、 複数の保持端を一斉に基体と接触することができる ので、 試料の配布を効率的かつ迅速に行うことができる。
第 1 9の発明は、 前記保持工程の後、 前記保持端を他の 1以上の収容部の組 に相対的に移動させて、 前記各収容部に収容されている流動体に浸すことによ つて、 前記保持端に保持されている流動体を、 他の流動体と混合し、 希釈ィ匕し、 または変更する工程を有する試料配布方法である。
第 1 9の発明によると、 前記保持端による塗布が開始される前に、 該保持端 に保持されている流動体を、 他の流動体と混合し、 または希釈化し、 または、
変更することができる。 したがって、 活性化化学において、 固定化前に、 試薬 の 「最後の瞬間の」 追加からの利益を受けることができる。 特に、 細胞やバタ テリアの内容を固定化しようとする場合には、 基体へ塗布する前に溶解するこ とができる。
第 2 0の発明は、 1種または 2種以上の各種試料が配布された糸状、 紐状等 の細長形状の基体が内部を走行可能に貫通する管と、 該管の形状によって定ま る基体の経路に沿って、 走行可能に張力を加えて配置する基体供給部と、 該基 体供給部を駆動して前記管を通つて前記基体を走行させる走行駆動部とを有す るとともに、 該管はその内部に活性化用溶液が収容可能となるように該管の両 端部が上方向に湾曲して形成された基体活性化装置である。
第 2 0の発明によれば、 前記管は、 活性化用溶液を収容する一種の容器のよ うに形成されている。 そのため、 基体が通過する際に前記活性化用溶液と接触 することができる。 したがって、 本装置によれば、 前記基体の活性化が可能で あり、 長い時間、 基体を前記容器に浸すことができる。 また、 前記配置機構に より該基体に張力を加え、 該基体の鏈れを防止しながら走行させることができ る。 したがって、 簡単な機構で、 基体を確実に活性ィヒすることができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の第 1の実施の形態に係る試料配布装置の全体斜視図であ る。
図 2は、 本発明の第 1の実施の形態に係る試料配布装置の全体斜視図であ る。
図 3は、 本発明の第 1の実施の形態に係る塗布部を示す分解斜視図である。 図 4は、 本発明の第 1の実施の形態に係る櫛状塗布部の例を示す図である。 図 5は、 本発明の第 1の実施の形態に係る塗布部の動作説明図である。 図 6は、 本発明の第 2の実施の形態に係るマトリタス状塗布部およぴ基体 供給装置を示す図である。
図 7は、 本発明の第 3の実施の形態に係るマトリタス状塗布部を示す図で あ
図 8は、 本発明の第 4の実施の形態に係るマトリタス状塗布部およびマイ クロプレートを示す図である。
図 9は、 本発明の第 5の実施の形態に係る基体活性ィ匕装置を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態に係る試料配布装置、 塗布部製造方法およぴ試料配布方 法並びに基体活性化装置について、 図面に基づいて説明する。 本実施の形態の 説明は、 特に指定のない限り、 本発明を制限するものと解釈してはならない。 図 1は、 第 1の実施の形態に係る試料配布装置 1の略全体を示す
該試料配布装置 1は、 多重試料を同時に扱う為に用いるものであって、 所定 試料、 例えば、 多数の抽出された D N Aを含有する液体を収容する多数のゥェ ルがマトリクス状 (2 4 X 1 6 ) に配列された複数の (この例では 4個の) マ イク口プレート 2い 2 2、 2 3、 2 4と、 前記マイクロプレート 2い 2 2、 2 3、 2 4のゥエルに収容された前記液体に浸すことによって少量の前記液体を保持 可能な 2以上の保持端であるフック 3が、 前記ゥエルの配列に応じて、 所定の 間隔を開けてマトリクス状に配列されたマトリタス状塗布部 4を有する試料供 給部 5とを有している。
さらに、 該試料配布装置 1は、 前記所定試料を配布すべき紐状基体 6を前記 フック 3に保持されている液体と接触可能となるように、 前記フック 3の配列 に応じて定まる経路に沿って走行可能に張力を加えて配置する基体供給部 7を 有している。
前記紐状基体 6は、 多孔性表面層をもった紐であって、 生物学的に活性化さ れた分子がストリングの多孔層に固定されている。 該材料成分は、 多孔性層に 機械的強度を提供する。 該紐状基体 6としては、 例えば、 ナイロンミシン糸の ラインが使用されている。
前記基体供給部 7は、 支持柱 8によって支えられた基体用テーブル 9と、 該 基体用テ一プル 9に回転可能に取り付けられた 1 5個の小径ローラ 1 0および 2個の大径ローラ 1 1とを有している。 前記紐状基体 6は、 これらの 1 7個の ローラ 1 0、 1 1によって、 前記マトリクス状塗布部 4の全フック 3と接触可
能となるように、 前記マトリクスの行方向 (または列方向) に沿って、 縫うよ うに走行可能に掛け渡されている。
したがって、 前記小径ローラ 1 0の径は、 前記マイクロプレート 2い 2 2、 2 3、 2 4の隣接するゥエル間の間隔または前記フック 3間の間隔に応じて定め られている。 また、 前記各ローラ 1 0、 1 1は、 先端が尖った複数の歯がロー ラの外周に沿って設けられた歯付ローラであって、 該歯の先端は、 前記紐状基 体 6の前記試料の配布位置の間隔と同一またはその整数倍の間隔で該紐状基体 6と接触するように設けられるとともに、 前記基体 6の配布位置間でのみ接触 するように、 前記基体 6が該ローラに掛け渡されているのが好ましい。
該基体用テーブル 9の上流側には、 前記紐状基体 6を供給する繰出しリール 1 2と、 プレート 1 4に平行に設けた該繰出しリーノレ 1 2の水平軸 1 3と、 該 繰出しリール 1 2を軸支する固定支持部 1 5と、 可動支持部 1 6とを有してい る。 これによつて張力の制御を容易にしている。 また、 該繰出しリール 1 2と、 前記大径ローラ 1 1との間には、 フィードローラ機構 1 7が設けられている。 該フィードローラ機構 1 7は、 フィードモータ 1 8と、 該フィードモータ 1 8 によって駆動される回転軸 1 9と、 該回転軸 1 9に圧設させたローラ 2 0と、 該ローラ 2 0を回転可能に保持し、 それ自身回転可能に保持されているアーム 2 1と、 前記ローラ 2 0と前記回転軸 1 9との間の圧力を調節することによつ て、 該ローラ 2 0と回転軸 1 9に挟まれて走行する紐状基体 6の張力御調整す るロッド状部材 2 2とを有している。
刖 β基体用テーブル 9の下流側には、 前記紐状基体 6を卷き取る卷取りリー ル 2 3と、 該卷取りリール 2 3を回転駆動させる卷取り用モータ 2 4と、 押え 部 2 5が必ず同心となる機構をもつチャック 2 6と、 卷取り案内機構 2 7とを 有する。 該卷取り案内機構 2 7は、 巻取り案内用リニアモータ 2 8と、 該モー タ 2 8によって、 上下方向に駆動されるァクチユエータ 2 9と、 該紐状基体 6 を切断するためのカッター 3 0とを有している。
さらに、 本試料配布装置 1は、 前記塗布部 4を前記紐状基体 6が配置された 前記テーブル 9に対して、 上下方向および水平方向に移動可能とする図示しな い塗布移動部を有し、 前記フィードモータ 1 8および前記巻取り用モータ 2 4
は、 前記走行駆動部に相当し、 該塗布移動部おょぴ走行駆動部は、 前記移動部 に相当する。 前記塗布移動部としては、 例えば、 該塗布部 4を把持して移動す るロボットアームが好ましい。
図 2は、 前記塗布部 4を下方に移動させて、 前記紐状基体 6と、 前記フック 3に保持されている液体とを接触させた状態を表す。
図 3は、 前記マトリタス状塗布部 4を詳細に示すものである。
該マトリクス状塗布部 4は、 全体としてシート状部材で形成され、 前記フッ ク 3およびアーム部 3 2が設けられた塗布要素 3 0が多数、 この例では、 1 6 本が櫛状に配列された櫛状塗布部 3 1力 全部で 2 4枚配列され、 全体として 該塗布要素 3 0が 1 6行 X 2 4列のマトリタス状に配列されている。 前記シー ト状部材としては、 例えば、 透明なプラスチック等で形成するのが好ましい。 前記塗布要素 3 0は、 下方向に先細り形状に形成されたアーム部 3 2と、 該 アーム部 3 2の下端に、 該アーム部 3 2に対して上方向に拡開するように前記 シート状部材を折り曲げて形成されたフック 3とを有するものである。
前記櫛状塗布部 3 1は、 該アーム部 3 2の上側で、 取付用スぺーサ 3 3に接 着剤によって取り付けられている。 前記アーム部 3 2の形状、 長さ等は、 (1 ) 前記ロボットアームの能力 (ergonomics)、 (2 ) 検体が'塗布される基体、 およ ぴ (3 ) 分配されるべき物質を保持するフック 3と適合するように選ばれる。 前記フック 3は、 特定の保持機能を遂行し、 かつ分注されるべき液体の特定 の量を保持するように設計される。 この例では、 前記塗布要素 3 0は、 ポリ力 一ボネィト等の厚さが約 2 0 0ミクロンのプラスチックの薄板状部材で形成さ れ、 前記アーム部 3 2は、 下方向に先細り形状または逆三角形状に一体的に形 成され、 前記フック 3は、 例えば、 略 V字状に上方向に拡開するように折り曲 げられている。 そのため、 該塗布要素 3 0は、 全体として、 側方から見れば略 J字状に形成されている。
各櫛状塗布部 3 1は、 所定の厚さをもつ 2 4枚の細い薄板状の取付用スぺー サ 3 3、 3 4に接着剤または二重粘着テープ等で取り付けられている。 該取付 用スぺーサ 3 3、 3 4は、 その両端近傍に貫通孔 3 5、 3 6が設けられている。 該各貫通孔 3 5、 3 6を貫いて肩ボルト 3 7、 3 8が設けられている。 前記櫛
状塗布部 3 1が前記取付用スぺーサ 3 3、 3 4に対して着脱自在に取り付けら れるように、 前記接着剤は、 取付後も接着剤が容易に除去可能となるものが好 ましい。
さらに、 これらの各取付用スぺーサ 3 3、 3 4を束ねて、 図示しない塗布移 動部に連結して前記塗布部 4を移動可能とするアダプター 3 9が設けられてい る。 該アダプター 3 9は、 全体が略 「コ」 の字状に形成され 2つの側部 4 0と、 中央部 4 1とからなっている。 該側部 4 0には、 前記取付用スぺーサ 3 3、 3 4を載置するために、 その側部の下側で内側に向かってやや突出するように縁 部 4 2が設けられている。 また、 前記中央部 4 1には、 前記肩ボルト 3 7、 3 8と螺合して、 前記取付用スぺーサ 3 3、 3 4を固定する螺子孔 4 3、 4 4を 有している。 また、 符号 4 5は、 前記櫛状塗布部 3 1の浮き上がりを防止する ための押え部である。
図 4 ( a ) は、 他の例に係る櫛状塗布部 4 6を示すものである。 該櫛状塗布 部 4 6は、 '8個の塗布要素 4 7をもち、 該塗布要素 4 7は、 逆三角形ではなく、 細長いアーム部 4 8と、 該アーム部 4 8の下端に設けられた略 「v」 字状のフ ック 4 9を有する。
図 4 ( b ) は、 さらに他の例に係る櫛状塗布部 5 0を示すものである。 該櫛 状塗布部 5 0は、 8個の塗布要素 5 1をもち、 該塗布要素 5 1は、 細長いァー ム部 5 2と、 該アーム部 5 2の下端に設けた保持端としての略 「>」 状のフッ ク 5 3をもつものである。
図 4 ( c ) は、 さらに他の例に係る櫛状塗布部 5 4を示すものである。 該櫛 状塗布部 5 4は、 紐状基体 6ではなく、 図示しない平面状の基体に、 試料を配 布するために用いるものであって、 8個の塗布要素 5 5をもち、 該塗布要素 5 5は、 下方向に先細りに、 曲線状に形成されたアーム部 5 6と、 該アーム部 5 6の下端に設けた略 L字状に曲げられた保持端 5 7とを有している。 該保持端 5 7には、 スリット 5 8が設けられている。
続いて、 図 4 ( a ) および図 4 ( b ) に示した櫛状塗布部 4 6、 5 0の製造 工程を説明する。
ポリカーボネィトでできた約 2 0 0ミクロンの厚さの長方形状のシートを卷
取り原料から切り出す。 該シートの 1縁部の近傍にあって該縁部に平行な直線 に沿って該シートを折り曲げる。 金属の定規がこのようなまっすぐな折り曲げ を作るのに適している。 また、 「箱折り」 と呼ばれるシートを折り曲げるための 道具が役に立つ。
定規を用いて折り曲げたプラスチック上を押すことによって、 堅いフックを 形成することができる。 このやり方によれば、 全ての塗布要素は、 同時折り曲 げによって、 容易に配布を達成することができる。 前記塗布要素を大きく形成 する場合には、 「C」 締め金が役に立つ。
次に、 前記薄板を切断して、 アーム部およびフックからなる略 「J」 字状の 各塗布要素を作成する。 その際、 曲がった部分が下を向くように、シートを横た えるのが好ましい。 |½利なかみそりの歯と金属定規を使用して、切断を案内させ、 前記フック側から開始する。 一気に切断するのは難しいので、 該塗布要素がプ ラスチック薄板から離れるまでかみそりの歯で数回切断するのが良い。 なお、 図 4 ( c ) に示すような曲線を持つ場合には、 手で切断するのは困難なので、 型を用いて作成するのが容易である。
図 4 ( b ) に示すように、 「>」 状のフックをもつ塗布要素を形成するには、 金属定規を「J」状の前記塗布要素のフックの上に置いて,持ち上げて作成する。 前記塗布部を作成する際に、 型によって、 プラスチックの薄板から打ち抜くこ とによって作成することも可能である。 型を用いずに行うには、 種々の形状に レーザカッターを用いて切断することによって行うことも可能である。 金属板 上の 「V」 形状の溝および金属スタンプによって 「>」 形状の保持端を作るこ とができる。 その該塗布要素の整列のためには、 例えば、 前記定規を全塗布要 素の上に置き、 その塗布要素の頂点を揃えて、 適合する整列を得るために逆方 向に曲げ、 全塗布要素を一様な形状にする。
続いて、 図 5 ( a ) に基づいて、 前記紐状基体 6に、 本実施の形態に係る前 記試料配布装置 1の略 「 J」 字状に形成された前記塗布要素 3 0のフック 3を 用いて試料を配布する動作について説明する。
プラスチックで形成したフック 3について最も興味のあることは、 前記マイ クロプレート 2の各ゥエルに収容された試料が懸濁する液に浸潤させることに
よって適当な量の液体、約 1 /zリットルを掬い上げることができる点である。 そ のためには前記フック 3が浸潤させた場合に潜水するように十分な液体を必要 とする。 もし、 ペトリ皿またはパラフィルムが前記フック 3の横に押し付けら れれば、ペトリ皿またはパラフィルムから 0.5 μリットルの小滴をフックが掬い 上げることができる。
図示しない塗布移動部によって、 前記マイクロプレート 2 に移動して、 各ゥ エルに浸すことによって、 液体を前記各フック 3に保持させる。 該マトリクス 状塗布部 4は、 図 2に示すように、 前記基体テーブル 9に配置された前記紐状 基体 6の近傍に前記各塗布要素 3 0が接近するまで下降させておく。 なお、 前 記フック 3は、 処理の必要に応じて他の図示しないマイクロプレートへの移動 することもある。
次に、 図 5 ( b ) に示すように、 ステップ S 1で、 前記基体用テーブル 9上 で、 前記ローラ 1 0、 1 1に掛け渡されて張力を加えて配置された紐状基体 6 力 前記フック 3のやや上にくる状態に一斉に位置するように、 前記フック 3 を紐状基体 6に水平方向に移動接近させる。 ステップ S 2で、 フック 3が紐状 基体 6に出合うまで持ち上げられる。 すると、 ステップ S 3で、 該フック 3に 保持されている液体が前記紐状基体 6の外面を浸すように接触する。 その接触 した状態を図 5 ( a ) に示している。 その際、 前記フック 3は、 前記紐状基体 6に対し静止した状態で塗布している。
また、 該塗布要素 3 0の前記フック 3が前記紐状基体 6に接触した状態で、 該紐状基体 6の長手方向に沿って、 前記塗布要素 3 0を微小距離移動させて、 用途に応じて塗布面積を広げることもできる。 なお、 静止した状態は、 配布す べき試料の種類、 反応、 用途等に応じて、 所定時間、 例えば、 2〜3分間、 持 続させるようにしても良い。
ステップ S 3 . 5で、 該塗布要素 3 0を、 水平方向に前記紐状基体 6から離間 するように微小距離分移動させた後、 ステップ S 4で、 前記塗布要素 3 0と前 記紐状基体 6との間を離間した状態で、 前記塗布要素 3 0を下降する。 本実施 の形態によれば、 各塗布要素 3 0と、 既に塗布がされた前記紐状基体 6との間 を離間した状態で、 該塗布要素 3 0を前記基体 6から下降させるようにしてい
るので、 相互の接触の可能性を低減しクロスコンタミネーションを確実に防止 することができる。 ステップ S 5で、 該塗布要素 3 0、 したがって、 前記マト リタス状塗布部 4を、 前記紐状基体 6力 ら遠ざける。
一方、 図 4 ( b ) に示すような略 「く」 形状をもった前記フック 5 3を有す る塗布要素 5 1を使用するためには、 前記紐状基体 6が前記フック 5 3のやや 上にくる状態に、 該フック 5 3を移動させる (「J」 フックの場合も同じ)。 前記塗布要素 5 1を紐状基体 6の方に向かってもってくると、 そのアーム部 5 2が曲がるにつれて、 前記フック 5 3が適所ではじかれ前記紐状基体 6と接 触する。 あまりはじかれないように注意して、 該フック 5 3を前記紐状基体 6 に接近させておく。 この方法では、 紐状基体 6と前記フック 5 3との間での精 密な整列を必要としない。 また、前記フック 5 3を適所で傾けることができるよ うに、 前記紐状基体 6と接触した後に櫛状のフック 5 3を上昇させることがで きる。 この場合には、 プラスチック ·シートの厚さが重要である。 厚さが厚い と曲げにくくなるが、 剛性は高くなる。 したがって、 下側のアーム部 5 2およ ぴフック 5 3は、 薄いプラスチックを用い、 上側のアーム部 5 2等は厚いプラ スチックが良い。
なお、 塗布部の配列や前記保持端の形状が異なると、 異なる動作が必要とな る。
前記マトリクス状塗布部 4の移動による、 前記 2 4 X 1 6 = 3 8 4箇所での 塗布が終了すると、 前記基体用テーブル 9上に配置された塗布された長さ分の 前記紐状基体 6は、 前記走行駆動部である卷取り用モータ 2 4およびフィード モータ 1 8を回転駆動させて、 該経路に沿って走行し、 前記巻取りリール 2 3 に巻き取られる。 すると、 塗布されていない紐状基体 6が繰出しリール 1 2か ら前記基体用テーブル 9に新たに供給され、 前述した処理工程により、 新たに 3 8 4箇所の塗布が行われることになる。
その際、 前記塗布部 4は、 新たな塗布要素 3 0を有するものと置き換えられ る。 該塗布要素 3 0は、 次のマイクロプレート 2 2に収容されている試料が懸濁 する液に浸され該液を保持して、 前述した処理が行われることになる。 以下、 同様にして、 マイクロプレート 2。、 2 4について処理が順次行われることにな
る。
なお、 前記基体 6に張力を加えるには、 前記卷取りリール 2 3を駆動する巻 取りモータ 2 4の回転力を、 前記フィードモータ 1 8の回転力よりもやや大き くなるように制御することによつても実現することができる。
図 6は、 第 2の実施の形態に係る試料配布装置 6 0を示すものである。 該試 料配布装置 6 0は、 基体供給部 6 1と、 塗布要素 3 0が 3 2行 X 4 8列 (= 1 5 3 6個) のマトリクス状に各々配列された 2台のマトリクス状塗布部 6 2を 有する試料供給部 6 3とを有し、 一度に 3 0 7 2箇所で、 塗布が可能なもので ある。
図 6に示すように、 前記基体供給部 6 1は、 繰出しリール 6 4と、 卷取りリ ール 6 5と、 該リール間に前記紐状基体 6の経路に沿つて一定間隔で設けた 3 2個のローラ 6 6と、 図示しない前記繰出しリール 6 4およぴ巻取りリール 6 5を各々回転駆動するモータとを有するものである。 該基体供給部 6 1では、 3 2個の前記ローラ 6 6を用いることによって、 紐状基体 6を実質的に 3 2個 の列を形成するように配置したものである。
該紐状基体 6は、 繰出し用リール 6 4から卷取り用リール 6 5にまで走行可 能に掛け渡されており、 前述したように、 前記モータによって糸が鏈れないよ うに張力が加えられている。 また、 該モータによって、 前記紐状基体 6の走行 が可能である。 また、 前記マトリクス状塗布部 6 2の移動は、 図示しない移動 部としてのモータ等によって行われる。
前記基体供給部 6 1の紐状基体 6の 3 2列の各列間の間隔、 従つて前記口一 ラ 6 6の径は、 該マトリタス状塗布部 6 2の列間の間隔と、 前記基体 6の各列 の長さは、 4 8行の前記塗布部 6 2間の長さと各々一致しまたは関連付けるよ うに形成されている。
本実施の形態に係る試料配布装置によれば、 前記紐状基体 6に対して、 一度 に 3 0 7 2箇所で試料の配布を行うことができるので、 一層効率が高い。
図 7 ( a ) は、 第 3の実施の形態に係る試料配布装置を示すものである。 該試料配布装置は、 アーム部 6 7および保持端 6 8を有する塗布要素 6 9を 2行ずつ支持した櫛状支持部 7 0を有する、 2行 X 4 8列のマトリタス状塗布
部 7 1を有するものである。 該マトリタス状塗布部 7 1を 1 6個分平行に配列 することによって、 3 2列 X 8行のマトリクス状塗布部に相当することにな る。
図 7 ( b ) および図 7 ( c ) に示すように、 隣接するマトリクス状塗布部 7 1間が、 紐状基体 6を配置する基体供給部 7 2の隣接するローラ 7 3および紐 状基体 6の間の間隙に、 前記櫛状支持部 7 0が通過可能な間隔をもつように、 前記マトリタス状塗布部 7 1を配列する。 また、 1個の前記塗布要素 6 9の保 持端 6 8間の間隔は、 対応する紐状基体 6の隣接する列間の間隔したがって、 マイクロプレートの隣接するゥエル 7 4間の距離である。
本試料酉己布装置によれば、 マイクロプレートの各ゥヱル 7 4に揷入した前記 保持端 6 8を上方向に移動して、 ゥエル 7 4上に引き抜き、 前記アーム部 6 7 の上端が前記基体 6のレベルを超えない高さまで保持端 6 8を引き上げる。 次 に、 該マトリクス状塗布部を前記基体 6の各列間に、 該列に沿って水平方向に 移動して、 該列間に挿入させる。 次に、 該マトリクス状塗布部を上方向に移動 させて、 前記保持端 6 8を前記紐状基体 6に接触させることによって、 一度に 試料の塗布を行う。
さらに、 図 7 ( d ) は、 前記アーム部 6 7および保持端 6 8を有する塗布要 素 6 9を、 6行ずつ、 櫛状支持部 7 0によって支持させて、 例えば、 6行 X 4 8列のマトリタス状に配列させたマトリクス状塗布部を示す。 これらのマトリ タス状塗布部を組み合わせて使用することにより、 紐状基体 6への塗布作業を 効率化することができる。 なお、 この場合には、 前記紐状基体 6の上側から一 旦下降した後に上昇させて該紐状基体 6と前記液体とを接触させることになる。 図 8に、 第 4の実施の形態に係る試料配布装置を示す。
該試料配布装置は、 8歹 U X 1 2行のマトリクス状に複数の塗布要素 7 5が配 列されたマトリクス状塗布部 7 6を有するものである。 該塗布要素 7 5は、 ァ ーム部 7 7および保持端 7 8を有し、 各々蓋部 7 9を介してプレート状の支持 部 8 0に設けられている。 前記マトリタス状塗布部 7 6に設けられた前記各蓋 部 7 9は、 別体に設けられたマイク口プレート 8 1の基部 8 2に穿設された 8 列 X 1 2行のマトリクス状に配列された各ゥヱル 8 3に一斉に嵌合して、 該マ
PC蘭讓 18
イク口プレート 8 1の各ゥヱル 8 3を密閉可能とするように設けられている。 該蓋部 7 9を前記各ゥエル 8 3の開口部に嵌合させて各ゥヱル 8 3を密閉し た場合、 該蓋部 7 9の下側に設けられている各塗布要素 7 5の保持端 7 8は、 該ゥエル 8 3の底部に接近するが接触しない状態となるように設けられている。 したがって、 該マイクロプレート 8 1の各ゥエル 8 3に溶液を収容した状態 であれば、 前記保持端 7 8は、 該マイクロプレート 8 1内の液体に浸された状 態となる。
該実施の形態に係るマトリクス状塗布部 7 6を使用するには、 例えば、 予め、 各種の D N Aからなる検体を含有する懸濁液を、 前記マイクロプレート 8 1の 各ゥヱル 8 3に所定量ずつ収容しておく。 次に、 前記マトリクス状塗布部 7 6 の各保持端 7 8に、 予め、 例えば、 P C R法に必要な試薬、 例えば、 D NAポ リメラーゼ等を保持した状態で、 該マトリタス状塗布部 7 6を、 各塗布要素 7 5が各ゥエル 8 3内に嵌合して密閉されるように前記マイクロプレート 8 1上 に載置する。
この状態で、 P C R法により、 前記マイクロプレート 8 1を所定温度での恒 温状態に保つことによって、 D N Aの増幅を行う。 D N Aの増幅が終了した段 階で、 前記マトリタス状塗布部 7 6を前記マイクロプレート 8 1から脱着し、 前述したような方法で、 細長形状の基体に対して、 該各 D N Aを配布する処理 を行うことができる。
本実施の形態によれば、 前記各塗布部への D N A等の試料の配布を、 効率的、 迅速、 かつ高い信頼性で行うことができる。 また、 前記各蓋部で、 前記マイク 口プレートの各ゥヱルを密閉することができるので、 各ゥエル内にある液体の 蒸発を防止することができる。
第 5の実施の形態に係る基体活性化装置 8 4について図 9に基づいて説明す る。
該基体活性化装置 8 4は、 前記基体を活性化して、 該基体に固定化されるベ き各試料の反応を促進するものである。
図 9に示すように、 該基体活性化装置 8 4は、 1種または 2種以上の各種 試料が配布された紐状基体 8 6が内部を走行可能に貫通するガラス管 8 5と、
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該紐状基体 8 6の経路に沿って、 走行可能に張力を加えて配置する図示しない 基体供給部と、 該基体供給部を駆動して前記管を通って前記基体を走行させる 図示しない走行駆動部とを有する。
前記ガラス管 8 5はその内部に活性ィ匕用溶液が収容可能となるように該ガラ ス管 8 5の両端部 8 7, 8 8が上方向に湾曲して形成されている。 したがって、 前記基体 8 6が前記基体供給装置の 1つのリール 8 9から他のリール 9 0を通 過する際に、 ある程度の張力を加えることによって、紐状基体 8 6の鏈れを防止 することができる。 長い時間、 基体 8 6を前記容器に浸すことができる。 また、 該活性化装置 8 4を前記卷取りリール 2 3の手前に設置することによって、 活 性化させた紐状基体 8 6を提供することができる。
本装置 8 4は、 前記基体 8 6の表面に存在するカルボキシル基 (COOH-)また はその誘導基と、 核酸が有するァミノ基とを反応させる際に、 力ルポキシル基 またはその誘導基を活性化させるものである。 このような活性化用試薬として E D A C ( 1 -ェチル -3-(3-ジメチルァミノプロピル) -カルボジィミド(l-ethyl-3- (3-dimethylaminopropyl) carbodiimide)) 等のカルポジィミド類、 ヒドロキシ ィミド類等、 塩化物等の水溶性の脱水縮合剤を用いて活性ィヒが可能である。 該ガラス管 8 5の長さは、 例えば、 120 c mであり、 前記基体 8 6を前記溶液 E D A Cに 5分間滞在させて、 カルボキシル基またはその誘導基を活性ィ匕させ る。 その後、 水または緩衝液 (例えば、 重炭酸ナトリウム緩衝液 (Ph8.4) ) を 加えて 1 5分間程度処理し、 活性ィ匕カルボキシル基と、 固定化すべき核酸が有 するアミノ基とを反応させる。 ついで、 1 %カゼイン含有 P B S緩衝液を加え、 残存する活性ィヒカルポキシル基をプロックする。
以上説明した各実施の形態は、 本発明をより良く理解させるために具体的に 説明したものであって、 別形態を制限するものではない。 したがって、 発明の 主旨を変更しない範囲で変更可能である。 例えば、 各保持端およびアーム部か らなる塗布要素の形状は、 前述したような、 下方向に直線的に先細りの形状に 限られるものではなく、 例えば、 下方向に曲線的に先細りの形状であっても良 い。
また、 基体についても、 必ずしも細長形状のものに限定する必要はなく、 例
えば、 平面状の基体についても適用することができる。 また、 櫛状塗布部およ ぴマトリクス状塗布部の形状や、 列数おょぴ行数についても前述の説明に限ら れるものではない。
さらに、 前記基体供給装置として、 基体を走行可能に配置する装置について のみ説明したが、 該場合に限られることなぐ基体を固定して配置する装置であ つても良い。
また、 以上の各装置、 各構成要素、 部品、 物質等、 例えば、 アーム部、 保持 端、 塗布部、 基体、 基体供給置機構、 櫛状塗布部、 マトリクス状塗布部、 移動 部等は、 適当に変形しながら任意に組み合わせることができる。 例えば、 前記 各種の試料配布装置と基体活性ィ匕装置とを組み合わせることも可能である。