明 細 書
送信電力制御方法及び装置
技術分野
本発明は送信電力制御方法及び装置に係わり、特に、 W-CDMA 通信システムな どにおいて、 受信側で受信デ一夕のエラ一レートと目標エラーレートを比較して 目標とする希望波/干渉波比率(SIR)を制御し、測定 SIRが該目標 SIRに一致する ように送信側に送信電力制御を行わせる送信電力制御方法及び装置に関する。 背景技術
W— CDMA移動通信では、 拡散コードによってチャネルを区別するため、 複数 のチャネルが一つの周波数帯域を共有することができる。 しかし、 実際の移動通 信環境においては、 マルチパスフェージングによる遅延波や他セルからの電波に より、 受信信号は自チャネル及び他チャネルから干渉を受け、 該干渉がチャネル 分離に悪影響を与える。 また、 マルチパスフエ一ジングによる受信電力の瞬時変 動や、 同時に通話しているユーザ数の変化によって、 受信信号が受ける干渉量は 時間的に変化する。 このように、 時間的に変動する干渉を受けるような環境下で は、 基地.局に接続した移動局における受信信号の品質を、 所望の品質に安定して 保つことは困難である。
このような干渉ユーザ数の変化やマルチパスフエ一ジングによる瞬時値変動に 追従するために、 受信側で信号対干渉電力比 (SIR) を測定し、 その測定 SIR と 目標 SIR を比較することにより、 受信側の SIRが目標 SIR に近づくように制御 するインナーループ送信電力制御 (inner-loop Transmission Power Control) が 行われる。
• ィン,ナーループ送信電力制御
図 19はインナーループ送信電力制御の説明図であり、 1チャネル分のみ示して いる。基地局 1 の拡散変調部 1 a は指定されたチャネルに応じた拡散コ一ドを用 いて送信データを拡散変調し、電力増幅器 1 bは、 拡散変調後に直交変調、周波数 変換などの処理を施されて入力した信号を増幅してアンテナより移動局 2に向け て送信する。移動局の受信部の逆拡散部 2 aは受信信号に逆拡散処理を施し、復調 部 2 bは受信データを復調する。 SIR 測定部 2 c は受信信号と干渉信号との電力
比を測定する。比較部 2 dは目標 SIR と測定 SIR を比較し、測定 SIRが目標 SIR より大きければ TPC(Transmission Power Control)ビッ トで送信電力を下げるコ マンドを作成し、測定 SIRが目標 SIRより小さければ TPCビッ トで送信電力をあ げるコマンドを作成する。目標 SIRは例えば、 10-3(1000回に 1 回の割合でエラ一 発生)を得るために必要な SIR値であり、 目標 SIR設定部 2 eより比較部 2 dに入 力される。拡散変調部 2 f は送信データ及び TPCビッ トを拡散変調する。拡散変調 後、移動局 2は DA変換、直交変調、周波数変換、電力増幅などの処理を施してアン テナより基地局 1 に向けて送信する。基地局側の逆拡散部 1 cは、移動局 2から受 信した信号に逆拡散処理を施し、復調部 1 dは受信データ、 TPC ビッ トを復調し、 該 TPC ビッ トで指示されたコマンドにしたがって電力増幅器 1 の送信電力を制 御する。
図 20は 3rd Generation Partnership Project (以下 3GPP と称す) で標準化さ れている上り リ ンク (uplink) の個別物理チャネル DPCH(DedicatedPhysical Channel)フレームの構成図で、 送信データのみが送信される DPDCH チャネル (Dedicated Physical Data Channel)と、 Pilotや図 19で説明した TPC ビッ ト情 報等の制御データが多重さ れて送信さ れる DPCCH チャ ネル(Dedicated Physical Control Channel)を有し、 それぞれ直交符号により拡散されたあと、 実 数軸および虚数軸にマッピングされて多重される。 上り リ ンクの 1 フレームは 10msecで、 15スロッ ト (slot#0〜 slot#14)で構成されている。 DPDCHチャネル は QPSK 変調の直交する I チャンネルにマッピングされ、 DPCCH チャネルは QPSK変調の直交する Qチャンネルにマッピングされる。 DPDCHチャネルの各 スロッ トは nピッ トで構成され、 nはシンポル速度に応じて変化する。 制御デー 夕を送信する DPCCH チャネルの各スロッ トは 10 ビッ トで構成され、 シンポル 速度は 15ksps—定であり、 パイロッ ト PILOT, 送信電力制御データ TPC、 トラ ンスポート 'フォーマツ ト 'コンビネーショ ン 'インジケータ TFCI、 フィードバッ ク情報 FBIを送信する。
• アウターループ送信電力制御
ところで、 通信中の移動速度の変化や移動による伝搬環境の変化により、 所望 の品質 (ブロックエラ一レート =BLER: Block Error Rate) を得るために必要
な SIRは一定ではない。 なお、 BLER とは一定期間における トランスポ一卜プロ ック(TrBk )の総数と CRC エラ一となった TrBk 数の比率である。
これらの変化に対応するために、 BLERを観測し、 観測値が目標 BLERより も 悪ければ目標 SIRを増加させ、 良ければ目標 SIRを減少させる制御が行われる。 このように所望品質を実現するために目標 SIRを適応的に変更する制御は、 ァゥ タール一プ送信電力制御 (outer-loop TPC) として周知である。
図 21は周知のアウターループ制御のブロック図である。この方式では、 基地局 3から送信された信号は復調器 4 aで復調されたあと、 誤り訂正復号器 4 bで復 号される。 そのあと CRC検出器 4 c において、 トランスポートブロック TrBkに 分割された後、 各 TrBk毎に CRC誤り検出が行われる。 各トランスポートプロッ ク TrBkの誤り検出結果は目標 SIR制御部 4 dへ伝えられる。
現在標準化が行われている W-CDMAでは送信側において図 22に示すように符 号化を行っている。すなわち、 単位伝送時間 (Transmission Time Interval: TTI) 内に トランスポートブロック TrBkが複数個 (N個) 存在すれば、 送信側の CRC 付加回路はトランスポートブロック TrBk毎に CRC ( Cyclic Redundancy Code) 誤り検出符号を生成して送信データに付加し、 符号器は N個の CRC付きの トラ ンスポー トブロック TrBk を結合して畳み込み符号やターボ符号などの誤り訂正 符号により符号化する。 受信側では、 誤り訂正復号器 4 bが受信データに誤り訂 正復号化処理を施して復号結果を CRC検出器 4 c に入力する。 CRC検出器 4 cは、 復号結果を構成する トランスポ一トプロック TrBk毎に CRC誤り検出を行って誤 り検出結果を目標 SIR制御部 4dに入力する。
目標 SIR制御部 4 dには、 個別チャネル DCH (DedicatedCH)呼が張られて直 後、 上位アプリケ一ショ ンから、 音声、 パケッ ト、 非制限デジタルなどの DCH の サービス種別によって各サービスでの所要 BLER が指定される。 この所要 BLER を BLERquality 、: BLER を測定する TrBk 数を Tmax、BLER 測定後、測定 BLER が所要 BLER より悪い場合に目標 SIR を上げる更新量を Sinc(dB)、 測定 BLER が所要 : BLER よりよい場合に目標 SIR を下げる更新量を Sdec(dB)とした場合、 Tmaの BLER 測定期間において CRC NG(CRCエラ一)が 1 つでもあれば、 目標 SIR の更新を Sine で行い、 全て CRC OK ならば目標 SIR の更新を Sdec で行
ない、 トータルで見た場合に目標 SIR が一定のレベルにおちつく ことを基本概念 とし、 下式
( 1 - BLERquality) Tmax X SdeC = ( 1— ( 1 ~ BLERquality) Tmax ) SinC を満たすように、 Sine, Sdec, Tmax 値を決定する。 なお、 ( 1 一 BLERqua y) Tmax は、 T max 回連続で正しい確率を示し、 ( 1— ( 1—BLERquality) Tmax ) は、 T max 回のうちに誤りが一つでもある確率を示す。
すなわち、 Tmax 数の TrBk に対して、 BLER 測定を行い、 全ての TrBk が CRC OK の場合は、 目標 SIR を Sdecだけ更新し、 CRC NG(CECエラ一)が 1 つ でもあれば、 目標 SIR を Sineだけ更新する処理を行う。
Sine, Sdec, Tmax 値は、 各サービスの所要 BLER で一意に決まる値であ'る。従 つて、 複数トランスポートチャネル(以後、 TrCH と略)が 1 物理チャネル(以後、 PhCH と略) にマッピングされている場合、 各 TrCH に対して Sine, Sdec, Tmax 値が存在することになる。
• 3GPP における規格
3GPP TS25.101 に、 基地局からの downlink 送信について、 BLER 所要品質 BLERquality 以上の電力で送信した場合に基地局からの送信パワーを下げる制御 を行い、 BLERの所要品質 BLERquality以下の電力で送信した場合に基地局からの 送信パワーを上げる制御を行なう ことが規定されている。この際、 BLEU 所要品 質に引き込むまでの時間 T1 が規定されている。 すなわち、 T1 区間 = 500ms と 規定されている。
①規格 1
下りパヮ一コン トロール制御を開始してから T1 時間内に所要 BLER を満た すために DPCH SIRを— 3dB〜 + 4dB の範囲に引き込む必要がある(初期引き込 みという) 。 '
②規格 2
また、 T2 区間 = 500ms という規定もあり、 T1 区間後、 初期引き込みで決定 した DPCH SIR 値を 500ms の間に更に一 3dB〜十 ldB の範囲に収束させる必要 もある (定常状態とという) 。
従来の実装技術では、 目標 SIR を更新する周期が Tmax 数の : BLER 測定後と
一意に決まっている。 このため、 もし、 その測定周期が上記 T1 時間以内に入ら ないと、 初期の目標 SIR から T1 時間以上目標 SIR が更新されないために、 規 格 1通りの初期引き込みができない可能性がある。
逆に目標 SIR を更新する周期が短すぎる場合は、 目標 SIR の更新頻度が高い ために、 定常状態での引き込みが規定範囲をはずれてオーバシュート、 アンダー シュートを発生する可能性がある。
③規格 3
また、 3GPP TS25.101 に、 測定 BLER を所要 BLER の ± 30%範囲に収める旨 の規格の記載がある。
• 解決しょう とする問題点
①問題点 1
従来の実装技術では、 目標 SIR の更新周期、 目標 SIR の更新値がサービス毎 に指定される所要 BLER 毎に一意に決定されるために、 あるサービス接続中、 そ れらの値は一定である。
しかし、 実際には、 移動局の置かれている環境により、 伝播環境は刻々と変化 する。 このため、 例えば、 非常に伝播環境の悪い走行状態など BLER が非常に劣 化する環境においては、 測定 BLER が所要 BLER の規格 3 に追従できない可能 性がある。
②問題点 2
さらに、 装置全体で考えると、 アンテナ部特性、 高周波信号をベースバンド信 号にダウンコンパ一トさせる受信部特性、 ベースバンド信号に対して逆拡散処理 を施す復調部特性、 さらに'逆拡散されたシンポル信号に対して誤り訂正を施す復 号部の各部の特性は装置仕様等によって異なることがある。 このため、 ある装置 での特性と別仕様の装置では特性が異なる。 すなわち、 BLER対 SCR特性が装置 仕様等によって異なる。 例えば、 ANT 形状的にホイ ップアンテナの有無によつ て受信感度が変わり、 あるいは誤り訂正部の軟判定ピッ ト幅の相違で復号特性が 変わり、 ホイ ップアンテナの有無ゃ軟判定ビッ ト幅の相違により BLER 対 SCR 特性が異なってしまう。 以上から所定の BLER対 SCR特性に基づいて目標 SIR を制御する従来方法では、装置によっては所要 BLER を満足できない事態が発生
する。
③問題点 3
さらに、複数 TrCH を 1物理チャネル上にマツビングする場合、例えば TrCH l,2 の 2つの TrCHを多重する場合、 各 TrCH の所要 BLER に対する SIR(BLER対 SIR特性) が図 23 ( A:)、 ( B )に示すように違う。すなわち、 TrCH l の所要 BLER を満たす SIR は A、 TrCH2 の所要 BLER を満たす SIR は Bである。このため、 そのまま TrCH 多重した場合、 両方の TrCH の所要品質を同時に満たすことが できない。
そこで、 かかる問題点を解決するための 3GPP 規格がある。 この 3GPP 規格 は、 各 TrCH の所要品質を満たすよう、 レートマッチングァトリ ピュートパラメ —タ(RM )に重みずけを行い、 品質の良い特性をもつ TrCH と品質の悪い TrCH の特性を互いに近づけることである。 レートマッチングア トリ ビュートの重みず け方法を図 23の(Α), (Β) の 2つの特性を重ね合わせた図 24(A)を参照して説明す る。 TrCHl の所要 BLER を満たす SIR が A(dB)、 TrCH2 の所要 BLER を満た す SIR が B(dB)とおき、 その 2つの TrCH多重時の所要 BLER を満たす SIR を (dB)とおく。 TrCH l の所要 BLER に対する SIR A(dB)と 2つの TrCH多重時 の所要 BLER を満たす SIR a (dB)との差分は α — A(dB)である。 同様に、 TrCH2 の所要 BLER に対する SIR B (dB)と 2つの TrCH多重時の所要 BLER を満たす SIR ひ(dB)との差分は B — Q; (dB)である。
これらの差分値の dB 換算をはずした値は、 新しいレ一卜マッチングァトリ ビ ユート RM1 ' 、 RM2 ' と重み付け前のレートマッチングア トリ ビュート RM1、 RM2 との比率に相当するため次式
RM 1 ' I RM 1 = i o ( a— A)/IO
腹 2 ' I RM2 = 10 - a )'io
が成り立つ。 上式を満たすように、 TrCH l, 2 の新しいレートマッチングァ トリ ビ ユート RM1 ' 、 RM2 ' を決定し、 該レートマッチングア トリ ビュートにより重み ずけを行なう ことにより、 異なる所要 BLER をそれぞれ有する複数の TrCH を 多重したときの所要 BLERを満足させることができる。 すなわち、 複数 TrCH を 1物理チャネル にマツビングした場合、 上記のレートマッチングァ トリ ピュート
の重み付けで各 TrCH の SIR 対 BLER 特性が図 24 ( B) に示すように変化す る。 この図 24 (B) より多重時の各 TrCHl,TrCH2 の所要 BLER を BLERx と すれば、 該 BLERx に対する SIR ( = 0; ) を目標 SIR とすることにより、 各 TrCH の所要 BLER ( - BLERx) を満足することができる。
しかし、 各 TrCH のサービスに対して一意に決められているパラメータ αを所 要 BLERに対する目標 SIR とする従来技術では、低品質 TrCH単独でデータ送信 する場合、 該 TrCHの所要 BLERを満足することができなくなる。 すなわち、 低 品質 TrCH2単独で送信する場合, a < B となって低品質 TrCHの所要 BLERを満 足することができなくなる。なお、 α〉 A であるため、 TrCHl については所要 BLERを満たすことはできる。
④問題点 4
さらに、 複数 TrCHを多重する場合、所要 BLER の ± 30%範囲という規格(規格 3)を満たせなくなる場合がある。例えば、あるサ一ビスの TrCH の所要 BLER が 5 X 10— 3 の場合、 その TrCH の規格は 3.5 X 10- 3 〜6.5 X 10— 3 となり、 もう一方 のサービスの TrCH の所要 BLER が 5 X 10— 2の場合、 その TrCH の規格範囲は 3.5 X 10- 2 - 6.5 X 10- 2 となり、 両者の規格幅が重ならない。 かかる場合には規 格 3を満足できなくなる。
ところで、移動通信システムにおける送信電力制御の従来技術がある(特許文献 1)。この従来技術では,受信信号の受信誤り率を検出し >該受信誤り率と予め設定 された目標受信誤り率とを比較し、比較結果に基づいて目標とする目標受信信号 電力対干渉電力比(SIR)又は目標とする目標受信電力値を補正し、該補正された SIR又目標受信電力値に基づいて、送信側の送信電力を制御する。
又、別の送信電力制御の従来技術がある(特許文献 2 )。この従来技術では、 目標 SIR を受信信号の誤り率を測定し、 この誤り率により 目標 SIR を変更するもので ある。受信信号の誤り率は、 CRC 信号を用いてフレーム単位で検出し、あるいは、 一定周期で挿入されている既知のパイロッ ト信号の誤りを検出することで取得す る。
しかし、 これら従来技術は、特性の異なる各装置の所要 BLER を満足するよう に目標 SIR を制御できない。又、 これら従来技術は、伝搬環境が変化しても、 伝搬
環境に応じて目標 SIRを更新したり、 更新周期を制御できず、 結局、 伝搬環境変 動時に所要 BLER を満足することができない。さらに、 これら従来技術は、 rCH 単独で使用する場合でも、複数 TrCH を多重する場合にも所要の : BLER を満足で きるように目標 SIRを更新することができない。 また、 規格を満足するように目 標 SIRを制御することもできない。
特許文献 1 特開平 2002— 16545号
特許文献 2 WO97/50197
本発明の目的は,伝搬環境が変化しても、 伝搬環境に応じて目標 SIR を更新し たり、 目標 SIRの更新周期を制御して伝搬環境変動時に所要 BLERを満足できる ようにすることである。
本発明の別の目的は、装置に関係なく所要 BLER を満足できるように目標 SIH を設定することである。
本発明の別の目的は、 TrCH単独で使用する場合でも、又、複数 TrCHを多重する 場合にも所要の BLERを満足できるように目標 SIRを更新できるようにすること である。
本発明の別の目的は、規格を満足するように目標 SIRを制御することである。 本発明の別の目的は、各 TrCH が同時に規格 3 を満足できなければ、 少なくて も 1 つの TrCH の所要 BLER を満足できるようにすることである。 発明の開示
本発明は、受信側で受信データのエラ一レートと目標エラ一レートを比較して 目標とする希望波/干渉波比率(SIR)を制御し、測定 SIRが目標 SII こ一致するよ うに送信側に送信電力制御を行わせる送信電力制御方法である。
本発明の第 1の態様では、予めエラ一レ一ト(BLER)と SIRの対応特性を測定し て保存しておき、 目標エラーレートに対する第 1の SIR と測定されたエラーレ一 トに対する第 2の SIRを前記特性より求め、前記第 1の SIRと第 2の SIRとの差 分で前記目標 SIRを増減して該目標 SIRを更新する。第 1の態様によれば、 BLER 対 SIR特性を測定しておく ことにより、装置特性に関係なく所要の BLERを満足 する目檩 SIRを設定することができる。 また、 サービス品質に応じて前記特性を
保存しておき、サービス品質に応じた特性を用いて前記目標 SIRを更新する。この ようにすれば、任意のサービスであっても所要 BLERを満足することができる。 本発明の第 2の態様では、複数トランスポートチャネルを多重して送信する場 合のエラーレートと SIR の対応特性を、各トランスポートチャネル毎に、 予め測 定して保存しておき、 複数トランスポートチャネルを多重して送信する場合、 各 トランスポー トチャネルにおける目標エラ一レートに対する第 1の SIRと測定さ れたエラーレートに対する第 2の SIRを該特性より求め、 トランスポ一トチヤネ ル毎に、 前記第 1 の SIR と第 2 の SIR との差分で前記目標 SIRを増減して該目 標 SIRを更新する。第 2の態様によれば、複数 TrCHの多重送信時の BLER対 SIR 特性を測定しておく ことにより、多重送信時にも所要の BLER を満足する目標 SIRを設定することができる。
第 2 の態様において、各トランスポートチャネルにおける所要エラ一レート範 囲が重ならない場合、 より高い品質が要求される トランスポートチャネルの所要 エラ一レート値を満たすように目標 SIR を更新する。 このようにすれば、所要ェ ラーレート範囲が重ならない場合であっても両方の TrCHで所要 BLERを満足す ることができる。
又,第 2の態様において、各トランスポ一トチャネルにおける所要エラ一レート 範囲が重ならない場合、 より低い品質が要求される トランスポートチャネルの所 要エラーレート値を満たすように目標 SIR を更新する。 このようにすれば、所要 エラ一レート範囲が重ならない場合であっても少なく とも一方の TrCH で所要 BLERを満足することができ、 しかも、他方の TrCHで目標 SIRを低いレベルに設 定でき、基地局からのダウンリ ンク電力を最も低く制御することができる。
本発明の第 3の態様では、第 1の規定時間 T 1内にエラーレートを所要エラ一レ —トの規定範囲内に引き込むために、 第 1の周期 t lで前記目標 SIRを更新し、引 き込み後、第 2の規定時間 T2内にエラーレートを前記規定範囲内に収束させるた めに、 第 1周期より長い第 2の周期 t2で前記目標 SIRを更新する。
具体的には、所要エラ一レ一 トと比較するための測定エラ一レートを取得する ために要する時間と前記第 1の規定時間 T1を比較して前記第 1の周期 t lを決定 し、 この第 1の周期 t lで引き込み時に目標 SIRを更新する。又、第 2の時間 t2 (〉
tl)、 あるいは、 t2= a · tl としたときの a ( > 1 ) を予め保存しておき、引き込 み後にこの第 2の周期 t2 で目標 SIR を更新する。 なお、 所要エラ一レートと比 較するための前記測定エラーレートを取得するために要する時間が前記第 1の規 定時間 T1より大きい場合には、初期設定の目標 SIRを所要のエラーレー 卜を満足 するに足るほど高く設定し、前記第 1の周期 tlをエラ一有無判定周期とし、 該周 期でエラ一発生を調べ、エラーが発生しなければ目標 SIRを所定量減少し、エラ一 が発生した時引き込み完了と判定する。
第 3の態様によれば、規格を満足するように目標 SIRを更新することができる。 本発明の第 4の態様において、 予め静的な環境における第 2周期 t2の SIRの 変動幅を保存しておき、実際の SIR の変動幅が前記保存されている変動幅より設 定値以上であれば、 前記第 2周期を短くする。
また、 本発明の第 5の態様において、 前記第 2 周期 t2 より長いエラ一レ一卜 測定期間を設け、その期間のエラ一レートが所要エラ一レートょり設定値以上劣 化している場合には目標 SIRを所定量増加し、 所要エラーレートより設定値以上 良好の場合には目標 SIRを所定量減少する。
第 4、第 5 の態様によれば、伝搬環境が悪化しても伝搬環境の変化に追従して目 標 SIRを制御して所要の SIRを満足することができる。 図面の簡単な説明
図 1は第 1実施例の移動局における送信電力制御装置の構成図ある。
図 2 は BLERquality を ldB ステップ刻みで可変した時の該エラ一レー ト
BLERqualityを達成できる SIRを実験的に取得してテーブル化した例である。
図 3 は各サー ビ ス毎 に所要エ ラ ー レー ト BLERquality を達成で き る
SIR(SIR-AMR,SIR-UDI,SIR-PKT) を実験的に取得してテ一プル化した例である。 図 4は BLER対 SIR特性を取得するための構成図である。
図 5は直線近似の説明図である。
図 6は 2 種類のサービス例である。
図 7は第 1実施例の目標 SIR更新処理フローである。
図 8は第 1実施例の第 2の目標 SIR更新処理フローである。
図 9は第 2実施例の送信電力制御装置の構成図である。
図 1 0 は第 2実施例の処理フローである。
図 1 1 は 2つの TrCHを多重して送信する場合における第 3実施例の第 1の説 明図である。
図 1 2は 2つの TrCHを多重して送信する場合における第 3実施例の第 2の説 明図である。
図 1 3は 2つの TrCHを多重して送信する場合における第 3実施例の第 3の説 明図である。
図 1 4は 2つの TrCHを多重して送信する場合における第 3実施例の第 4の説 明図である。
図 1 5は 2つの TrCHを多重して送信する場合における第 3実施例の第 5の説 明図である。
図 1 6は第 6実施例に適用する場合の非制限デジタルデータの規格説明図であ る。
図 1 7は第 4実施例の送信電力制御装置の構成図である。
図 1 8は第 4実施例の処理フローである。
図 1 9は従来のィンナ一ループ送信電力制御の説明図である。
図 2 0は上り リ ンクの個別物理チャネル DPCHフレームの構成図である。 図 2 1 は周知のアウターループ制御のプロック図である。
図 2 2は符号化説明図である。
図 2 3は各 TrCH の所要 BLER に対する SIR特性(BLER対 SIR特性)である。 図 2 4は 2つの特性を重ね合わせた場合の BLER対 SIR特性である。 発明を実施するための最良の形態
( A ) 第 1実施例
図 1は第 1実施例の移動局における送信電力制御装置の構成図である。
移動局の無線部 1 1は基地局からの信号を受信し、周波数変換、直交検波してベ ースパン ド信号にして復調部 12 に入力する。復調部 12 の逆拡散部は受信信号に 逆拡散処理を施して拡散を解き、シンポルデータにする。 SIR 測定部 13 は、 逆拡
散を行った受信信号の希望波電力レベルとその時の干渉波電力レベルの比率 (SIR)を測定する。比較部 1 4は目標 SIR ( = SIRTGT) と測定 SIR を比較し、 TP C ピッ ト生成部 15は測定 SIRが目標 SIRより大きければ TPCピッ トで送信電力を 下げるコマン ドを作成し、測定 SIRが目標 SIRより小さければ TPCビッ 卜で送信 電力をあげるコマンドを作成する。変調部 1 6の拡散変調部は、符号部 1 7で符号 化された送信データ(音声, UDI,バケツ トデータなど)及び TPC ビッ トを拡散変調 する。無線部 18は拡散変調された信号に直交変調、周波数変換、電力増幅などの処 理を施してアンテナより基地局に向けて送信する。基地局は、移動局 2から受信し た信号に逆拡散処理を施し、受信データ、 TPCピッ トを復調し、該 TPCビッ トで指 示されたコマンドにしたがって送信電力増幅器の送信電力を制御する。以上はィ ンナ一制御である。
インナー制御と並行して、 復号部 21は、 復調データ(軟判定ピッ ト幅を有する シンポルデータ)にディン夕リーブ処理、 ビタビ復号もしくはターボ復号による誤 り訂正復号化処理を施し、 さらにレートマッチング処理により レビテシヨ ンもし くはパンクチユアされているピッ トを元に戻し、 復号結果を CRC チェッカー ( CRC検出器) 22に入力する。
CRC検出器 22は、復号結果を構成する トランスポートブロック TrBk毎に CRC 誤り検出を行って誤り検出結果を BLER測定部 23 に入力する。 BLER測定部 23 は所定時間内におけるエラ一レ一 ト(測定 BLER-誤りブロック数ノ総ブロック 数)を測定して目標 SIR更新制御部 24に入 する。目標 SIR更新制御部 24は所要 BLERに対する SIR(=SIR2)と測定 BLERに対する SIR(=SIR1)を ROM 25に予め 登録されている BLER対 SIR特性より求め、 これら SIR2 と SIR 1 との差分 Δ SIR で目標
SIRTGT + Δ SIR)、 該目標 SIRを比較部 1 4に設定する。 なお、規格では所要 BLER の ± 30 %に入れば良いので、測定 BLER が所要 BLER の ± 30 %に入っていれば目標
を増減しないよ うに制御することもできる。
• BLER対 SIR特性の保存
ROM 25 には、予め移動端末装置の所要エラ一レ一 ト BLERquaiityと該エラーレ ―ト BLERqUaiityを達成できる SIRの対応特性(BLER対 SIR)が測定されて保存さ
れている。 図 2 は、 BLERquaiuyを ldB ステップ刻みで可変した時の該エラーレ ―ト BLERqua yを達成できる SIRを実験的に取得してテーブル化した例である。 実際には、サービスとして AMR 音声サービス、 UDI サービス、パケッ トサ一ビス があり、 それぞれのサービスに対する BLER対 SIRが異なるため、図 3 に示すよ う に 各 サ ー ビ ス 毎 に 所 要 エ ラ 一 レ ー ト BLERquality を 達 成 で き る
SIR(SIR-AMR, SIR-UDI, SIE-PKT) を実験的に取得してテーブル化して保存す る。
また、 複数 TrCH が 1物理チャネル (PhCH) に多重されている場合、 サ一ビ スが異なる各 Ti'CHの所要 BLERを同時に満足させるためにレートマッチングァ トリ ビュートの重みずけ処理が行なわれる。 この処理のために、 各サービスの BLER 対 SIR 特性が単独時と複数 TrCH 多重時とで異なる。 そこで、 予め複数 のサービスの組み合わせ毎の BLER 対目標 SIR 特性を測定し、 テーブル化して ROM 25に保存する(図 3の SIR-Multi参照)。現在、音声データとバケツ トを多重 して伝送するサ一ビスが行われているから、音声 TrChとバケツ ト TrCHを多重す る場合について所要エラ一レート BLERqua yを達成できる SII SIR— Multi) を実 験的に取得してテーブル化して保存する。なお、前記重み付け処理した多重時にお ける音声 TrChとバケツ ト TrCHの特性が異なる塲合には、それぞれの TrChの特 性を保存する。
以上より、 目標 SIR 更新制御部 24 は、 別途上位レイヤアプリケーショ ン 26 より入力されているサ一ビス種別に応じた BLER 対 SIR 特性を用いて所要 BLER に対する SIR(=SIR2)と測定 BLER に対する SIR(=SIR1)を求め、 これら SIR2 と SIR1 との差分△ SIR ( = SIR2— SIR1) で目標
を増減して 該目標 SIRを更新して比較部 1 4に設定する。
• BLEE対 SIR特性の取得法
図 4は BLER対 SIR特性を取得するための構成図であり、 51は干渉波発生器、 52 は基地局シミュレータ(BTS)、 53 は移動局(MS)、 54はパソコン(PC)、 55、 56 は ァッテネー夕(レベル調整器)、 57は合成器である。 基地局シミユレ一夕 52 と移動 局 53 間の上り/下り信号リンクを、 他システムからの干渉を防ぐために有線で接 続し、基地局シミュレータ 52 から移動局 53への下り信号リ ンクにはアツテネ一
タ 56 を接続して希望波信号レベルを調整可能な構成にする。 また、 干渉波発生 器 51 からの出力にアツテネ一タ 5 を接続して干渉波信号レベルを調整可能な構 成にし、 合成器 57で希望波と干渉波を合成して下り信号として移動局 53に入力 する構成にする。 更に、移動局 53 は下り信号の BLEH 測定値、 SIR 測定値をそ れぞれパソコン 53に出力し、 パソコン 側でその値をモニタ可能な構成とする。
BLER M SIR特性を取得するに際して、希望波レベルをアツテネ一タ 56で調整 し、干渉波レベルをアツテネ一夕 55で調整して SIR のレベルを調整する。また、 基地局シミュレータ 52 の設定で基地局シミュレータと移動局間で送受信するサ —ビス種別 (AMR、 UDI、 パケッ ト、 マルチコールなど) の設定を行う。 アツテ ネータ調整による SIR レベルの確定、基地局シミュレータ設定によるサービス種 別の確定後に、 基地局シミュレ一タ ·移動局間の起動を行い、 あるサービスについ てデータの送受信を行い、 パソコン 54で移動局 53 の BLER 測定値、 SIR 測定 値をモニタする。 以上により、 1 つのポイントでの SIR 測定値- BLER 測定値を 取得でき、以後、アツテネ一タ調整を段階的に行って複数ポイントでの SIR 測定 値- BLER 測定値を取得する。 これにより、所定サービスの BLER対 SIR特性が取 得できる。同様に他サービス、 マルチコールの BLER対 SIR特性を取得して図 1 の; ROM 25に設定する。
• BLER 対 SIRの直線近似
以上では, BLER 対 SIR 特性について、 例えば、 ldB ステップ毎に BLER と その時の SIRとを保存した場合であるが、簡易的に直線近似して BLER 対 SIR 特 性を保存することもできる。図 5は直線近似の説明図であり、 BLER 対 SIR 特性 上の 2点のデータのみ保持しておき、 その傾きと SIR =0 時の BLER の高さとか ら、 所要 BLER に対する目標 SIR を算出する。 例えば、 1 ポイント目の BLER 対 SIR(dB)データが al, b l(dBm), とし、 2 ポイント目のデータが a2, b2(dBm), とした場合、 傾きは
(a2 - al) I 10^2-b i) / ιο
となり、 さらに SIR =0 時の収束 BLER を c とおく と、 次式
BLER = (a2— al) / 10(b2-M) / 10 χ SIR + c
が成り立つ。 従って、上式により所要 BLERqualityから SIR 2 を算出し、また測
定 BLER から同様に SIR1 を算出し、 この差分より 目標
を更新す る。
-規格を満足するための目標 SIR更新周期 tl,t2の決定法
初期引き込み 500ms を満足するために、各サービスの BLER測定可能な TrBk 総数になった時点で、 BLER対 SCR 特性より所要 BLER と測定 BLER の SIR をそれぞれ求め、 目標 SIR 更新処理を行なう。
もし、 所要 BLER 測定可能時間が 500ms で間に合わなければ、 その際は目標 SIR の初期値を所要の BLER が満足できる(CRC OK になる)値より十分に高め に設定し、 送信時間間隔 TTI ( Transmission Time Interval)周期で CRC チエツ クを行い、 CRC エラ一を検出したら初期引き込みが終了、 定常状態に移行した とみなす。
例えば、 図 6に示す 2 種類のサービスを考える。
パケッ トの場合、 規格の下限 3.5E-02 ( = 3.5 X 10-2) を測定するために
1/3.5 Χ 10·2= 29個以上の TrBk 総数が必要である。 初期状態において、 パケッ ト は TTI=10ms であり、 1TTI 当たりの TrBk 数は 0, 1,2,4,8,12 個であるが、 最大 の 12 個で考えると、 3TTI=30ms で 29 個以上になる。 この 30msは、 引き込み の規格時間 500ms に対して十分短い。 そこで、 30msを初期引き込み時における 目標 SIR更新周期 tl とする。そして、 30ms毎に BLER を測定し、 バケツ トサ一 ビスの BLER対 SIR特性から測定 BLERに応じた SIR(=SIR 1 )と、所要 BLER 時 の SIR(=SIR2)を求め、 これらの差分△ SIR を目標 SIR ( = SIRTGT) の更新値と し、 SIRTGT = SIRTGT + Δ SIRを新目標 SIR として比較部 14(図 1)に入力する。 定常状態遷移後、 目標 SIR更新周期 t2 は 30 X a pkt とする(t2 = t l X Q! pkt)。 周期 t2 あるいは係数 Qi pkt ( > 1 ) は予め決定されて ROM に保存されている。 この係数 a pktは、 t2が 30ms〜500ms 内であり、 静的状態における通常運用時 で試験を行って 3GPP の規格時間 T2の規定が守られる値に決定されている。 更新周期 t2毎に BLER を測定し、 パケッ トサービスの BLER対 SIR特性から 測定 BLERに応じた SL (=SIR1)と、 所要 BLER 時の SIR(=SIR2)を求め、 これら の差分 Δ SIR を目標 SIR ( = SIETGT) の更新値とし、 SIRTGT = SI TGT + Δ SIR を新目標 SIR として比較部 14(図 1)に入力する。
AMR の場合、 規格の下限 3.5E— 03 ( = 3.5 Χ 10·2) を測定するために
1/3.5 Χ 10·2= 286 個以上の TrBk 総数が必要である。 初期状態において、 音声は TTI=20ms であり、 1TTI 当たりの TrBk 数は 1 個であるので、 BLER 測定時間 ¾ 286 X 20ms = 5720ms となり、 初期引き込みの規格時間 500ms 以上になる。 このため、 目標 SIR の初期値を充分高めから開始し、 目標 SIR 更新期間 tl を CRCチェック周期である 20ms とし、 20ms毎に CRC チェックを行い、 CRC ェ ラーが発生したか否かを監視し、 CRC エラーが発生しなければ、 目標 SIR を所定 量減少し, CRC エラーが発生した時点を初期引き込みが終了したと判断する (初 期状態)。
定常状態遷移後、 更新周期 t2は 20 X a amr とする(t2 = tl X a amr)。 t2 ある いは係数 a amr ( > 1 ) は予め決定されて ROM 25に保存されている。この係数 a amrは、 t2が 20ms〜 500ms 内であり、 静的状態における通常運用時で試験を こない、 CRCエラ一が発生すれば目標 SIR を +側に更新、 CRCエラ一が発生しな ければ一側に更新し、 3GPP の規格 T2 時間の規定が守られる範囲で決定する。
'第 1の処理フロ一
図 7は第 1実施例の目標 SIR更新処理フローであり、測定 BLERを取得するに 要する時間が 3 GPP規格 1の規定時間 T1以下の場合である。
目標 SIR更新制御部 24は、上位レイヤアプリケ一シヨ ン 26から入力されるサ 一ビス種別情報に基づいて TrCH多重通信であるか > TrCH単独通信であるか、単 独通信であればサービス内容を識別し、所要 BLERに応じた SIRをサービス種別 に応じた BLER対 SIR特性を用いて求め、該 SIRを目標 SIR として比較部 14に 設定する(ステップ 101)。又、 BLER測定部 23 は、 上位レイヤアプリケーショ ン 26から入力される TTI、 1TTI当りの TrBk数 (ブロック数) 及び所要 BLER に 基づいて、 BLER を測定するために必要とする測定時間を計算し、該測定時間が 3 GPP規格の引き込み規定時間 Tl(=500ms)以下であることを確認し、 該測定時間 を引き込み状態における目標 SIR更新周期 tl とする(ステップ 102)。
そして、以後、更新周期 tl毎に BLER を測定して目標 SIR更新制御部 24 に入 力する(ステップ 103)。
目標 SIR更新制御部 24は、 サービス種別に応じた BLER対 SIR特性を用いて
所要 BLERに対する SIR(=SIR2)と測定 BLERに対する SIR(=SIR 1)を求める(ス テツプ 104)。 そして、測定 BLERに対する SIR(=SIR 1)が、 3GPPの規格 1の引き 込み範囲(― 3dB〜+4dB)に入つたかチェックし(ステツプ 105)、入っていなければ、 SIR2 と SIR 1 との差分 Δ SIR を計算し、 SIRTGT = SIRTGT + Δ SIR によ り 目標 SIR (=SIRTGT)を増減して該目標 SIR を更新して比較部 1 4に設定し(ステップ 106〜108)、 ステップ 103以降の処理を繰返す。
ステップ 105において 3GPPの規格 1の引き込み範囲(一 3dB〜+4dB)に入れば、 定常状態に推移し、 BLER測定部 23は定常状態の目標 SIR更新周期 t2を次式 t2=tl X a
により計算する(ステップ 109)。なお、 ひはパケッ トサービスの場合には《pkt、 AMR 音声サービスの場合には a amr、非制限デジタルサービスの場合には a udi であり、 ROM 25に予め登録されている。
以後、 BLER測定部 23は更新周期 t2毎に BLERを測定して目標 SIR更新制御 部 24 に入力する(ステップ 110)。
目標 SIR更新制御部 24は、 サ一ビス種別に応じた BLER対 SIR特性を用いて 所要 BLERに対する SIR(=SIR2)と測定 BLERに対する SIR(=SIR 1)を求め(ステ ップ 111)、 SIR2 と SIR1 との差分 Δ SIRを計算し、 SIRTGT = SIRTGT + Δ SIRによ り 目標 SIR を更新して比較部 1 4に設定する(ステップ 112 ~ 114)。 し かる後,通信が完了したかチェックし(ステツプ 115),終了してなければステツプ 110以降の処理を繰返す。
'第 2の処理フロー
図 8は第 1実施例の第 2の目標 SIR更新処理フローであり、測定 BLERを取得 するに要する時間が 3 GPP規格 1の規定時間 T 1より大きくなる場合を考慮した 処理フローである。
目標 SIR更新制御部 24は上位レイヤアプリケーシヨ ン 26から入力されるサ一 ビス種別情報に基づいて TrCH多重通信であるか、 TrCH単独通信であるか、単独 通信であればサービス内容を識別し、所要 BLERに応じた SIRをサービス種別に 応じた BLER対 SIR特性を用いて求め、該 SIRを目標 SIR として比較部 14に設 定する(ステップ 201)。
又、 BLER測定部 23は、上位レイヤアプリケーショ ン 26から入力される TTI、 1TTI当りの TrBk数 (ブロック数) 及び所要 BLERに基づいて、 BLERを測定す るために必要とする測定時間を計算し(ステップ 202)、該測定時間が 3 GPP 規格 の引き込み規定時間 Tl(=500ms)以上であるか確認し(ステツプ 203)、測定時間が 規定時間 T1より小さければ、該測定時間を引き込み状態における目標 SIR更新周 期 t l とし、図 7のステップ 103以降の処理を実行する(ステツプ 204)。
一方、ステツプ 203において、測定時間が規定時間 T1より大きければ、 目標 SIR の初期値を充分高めから開始し、 目標 SIR更新期間 tl を CRCチェック周期(= TTI周期)とし(ステップ 205)、 該周期毎に CRC チェックを行い(ステツプ 206)、 CRC エラーが発生したか否かを監視し(ステップ 207)、 CRCエラーが発生しなけ れば、 目標 SIRを所定量減少し(ステツプ 208)、ステツプ 206に戻る。一方, CRC ェ ラーが発生すれば、 その時点を初期引き込みが終了したと判断し、以後、図 7のス テップ 109以降の処理を実行する(ステツプ 209)。
(B) 第 2実施例
移動局の移動速度が速い場合、 セル間干渉の頻度の多さ、 及び、 マルチパスフ エージングなどの伝播環境の影響のために、 SIR の変動による BLER 劣化が発 生して所要 BLERを満足できない可能性がある。 このため、 伝搬環境により SIR 変動が発生した場合、 目標 SIR更新制御により 目標 SIRを瞬時に該変動に追従さ せる必要がある。 そこで、 第 2実施例では、ある一定時間あたりの受信信号の SIR 測定結果の変動をモニターし、 SIRの変動幅が設定値以上大きければ目標 SIR の 更新周期 t2 を短く し、 逆に変動幅が小さければ目標 SIR の更新周期を長目にす る。
図 9 は第 2実施例の送信電力制御装置の構成図であり、図 1 の第 1実施例と同 一部分には同一符号を付している。異なる点は,① SIR変動測定部 31を設け、一定 時間あたりの受信信号の SIR変動を測定している点、② ROM 25に SIR変動幅の 設定値を保存している点、③測定 SIR変動と設定値の大小に基づいて SIR更新周 期 tl を可変制御している点である。
例えば、 予め静的環境におけるパケッ トサービスにおいて、 SIR 更新周期 t2 ( =30 X a pkt(ms)) で SIR 変動測定を行い、 その変動幅を Δ SIRpkt— static(dB)
とおき、 ROM 25 に値を保持しておく。 パケッ ト呼確立後、 定常状態に遷移して から、 SIR 変動測定部 31 は更新周期 t2毎に定常状態時における SIR変動幅△ SIRpkt(dB)を測定して目標 SIR更新制御部 24に入力する。
目標 SIR更新制御部 24は、静的状態における SIR変動幅 A SIRpkt— static(dB) と実際に通信中の SIR 変動幅 A SIRpkt との差を計算し、該差 ( A SIRpkt—厶 SIRpkt_static) が例えば 3dB 程度以上の差があるかチェックする。 3dB 程度 の差があれば、 実際に通信中の SIR 変動幅は静的状態より 2 倍程度大きいと判 断し、 その SIR 変動に対して目標 SIR の更新を追従するために、 更新周期 t2 を (30 X a pkt)/2 (ms) と半分にする。 これにより、 目標 SIR更新が早まり伝搬環境 の変化による SIR変動に追従することが可能となる。
尚、 変動幅が小さくなった時には元の更新期間(30 X a pkt)に戻す。又、サービス によってはパッケトサービスなどバース ト受信されて、 受信データがない状態が あるサービスがある。 かかるサービスに関しては、 受信デ一夕が無い状態では BLER 測定の TrBk 総数、 CRC エラ一 TrBk 数はカウントしないようにし、 実 質的にデータ受信がある間での BLER 測定を行い、該測定 BLERに応じた SIRを 求めて SIR変動幅を求めて上記制御を行う。
又、第 1実施例の目標 SIR の更新制御と第 2実施例の更新周期変動制御は伝播 環境変化に瞬時に追従することを目的に併用して行なうものとする。
図 10は第 2実施例の処理フローであり >第 1実施例の図 7の処理フローと同一 処理部分には同一符号を付している。第 1 の異なる点は、ステップ 111 の測定 BLERに応じた SIR(=SIR1)を求めた時、更新期間 t2における SIR変動幅を求め、 該変動幅が ROM 25 に設定されている設定範囲を超えているかチェックし(ステ ップ 301)、越えていれば更新期間 t2 を 1/2 に短縮して(ステップ 302)、ステップ 112 以降の処理を実行する点である。又、第 2 の異なる点は、ステップ 301 におい て測定 SIR変動幅が設定範囲内であれば、それまで更新期間 t2が短縮状態にあつ たかチェックし(ステップ 303)、更新期間 t2 が短縮状態になければステップ 112 以降の処理を実行し、更新期間 t2が短縮状態にあれば、更新期間 t2 を 1段階元に 戻し(ステツプ 304)、ステツプ 112以降の処理を実行する点である。
( C) 第 3実施例
複数 TrCH が 1物理チャネル(PhCH) に多重されている場合(マルチコール)、 サービスが異なる各 TrCHの所要 BLERを同時に満足させるためにレ一卜マッチ ングアトリ ビュートの重みずけ処理が行なわれる。 この処理のために、 各サ一ビ スの BLER 対 SIR 特性が単独時と複数 TrCH 多重時では異なる。 そこで、 予め 複数のサービスの組み合わせ毎の BLER対目標 SIR特性を測定し、テーブル化し て ROM 25 に保存する(図 3の SIR-Multi参照)。 .
ところで、 レートマッチングア トリ ビュートの重みずけ処理により、 多重する 2つのサービスのそれぞれの BLER 対 SIR 特性が一致する場合には一致した BLER対 SIR特性を 1つだけ保存するだけで良いが、図 11に示すように完全には 一致しないのが普通である。従って、通常はサービスの組み合せ種類毎に各サービ スの BLER対 SIR特性を別個に保存する。 第 3実施例は、異なるサービスの複数 TrCHを多重して送信する場合の送信電力制御であり、第 3実施例を実現する送信 電力制御装置の構成は図 1 と同じである。
• 多重 TrCHの所要 BLER範囲が重なる場合の制御
図 11 のようにあるサービスの TrCHl と別のサ一ビスの TrCH 2の所要 BLER 範囲 a , bが重なる場合(斜線)には、重なる範囲内の BLERi2を TrCHl,TrCH 2の 所要 BLER とする。
BLER測定部 23(図 1)は多重 TrCH (TrCHl,TrCH 2 ) 毎の測定 BLER を SIR 更新周期で目標 SIR更新制御部 24に入力する。
目標 SIR更新制御部 24は、 TrCHl の測定 BLERが入力されると、 多重時にお ける該 TrCH 1のサービスに応じた BLER対 SIR特性 A (図 11参照)から測定 BLER に応じた SIR(=SIR1)を求めると共に所要 BLER ( = BLER12)の SIR(= )を求め、 これらの差分 A SIR ( = /3 — SIR1) を用いて次式
SIRTGT = SIRTGT + Δ SIR
により新目標 SIR ( SIRTGT) を求めて比較部 14に入力する。
又、 目標 SIR更新制御部 24は、 TrCH2の測定 BLERが入力されると、多重時に おける該 TrCH2 のサービスに応じた BLER対 SIR特性 B (図 11 参照)から測定 BLER に応じた SIR(=SIR1 ' )を求めると共に所要 BLER ( = BLERi2) の SIR(= α )を求め、 これらの差分 A SIR ' ( = a - SIRl ' ) を用いて次式
SIRTGT= SIRTGT+ Δ SIR'
により新目標 SIR (SIRTGT) を求めて比較部 14に入力する。なお、 TrCHlの差分 △ SIR、 TrCH2の差分 Δ SIR' を合成した値 (A SIR+ ASIR' ) を用いて次式
SIRTGT= SIRTGT+ ( A SIR+ ASIR' )
により新目標 SIRを求めて比較部 14に入力するように構成することもできる。
- 多重 TrCHの所要 BLER範囲が重ならない場合の第 1の制御
図 12、図 13 に示すようにあるサービスの TrCHl と別のサービスの TrCH 2の 所要 BLER範囲 a, bが重ならない場合には、 Ti'CHl,TrCH2の所要 BLER のう ち小さい方(良い方)の所要 BLERを多重通信における所要 BLER とする。
① TrCHl,2 の測定 BLER が両方とも所要 BLER 規格より も悪い場合(図 12)。 TrCHl の測定 BLER と所要 BLER との差を△ BLERTVCHI TrCH2 の測定
BLER と所要 BLER との差を Δ BLERTrCH2 とする。
図 12では、 ABLER GH2> ABLERTrCHi なので、 TrCH2 を選択し、多重 TrCH の場合の TrCH 2 の BLER 対 SIR 特性データを ROM 25 から読み出し、 所要 BLER 時の SIR 値と測定: BLER 時の SIR 値との差分である、 A SIRTrcH2値を + 側の SIR更新値とする。
② TrCHl, 2 の測定 BLER が両方とも所要 BLER 規格よ り もよい場合(図 13)。 TrCHl の測定 BLER と所要 BLER との差を△ BLERTrCHi、 TrCH2 の測定
BLER と所要 BLER との差を△ BLERTrCH2 とする。
図 13では、 ABLERTrcHi> ABLERTrCH2 なので、 TrCH2 を選択し、多重 TrCH の場合の TrCH2 の BLER 対 SIR 特性デ一夕を ROM 25 から読み出し、 所要 BLER 時の SIR 値と測定 BLER 時の SIR 値との差分である、 Δ SIRTrCH2 値を 一側の SIR更新値とする。
■ 多重 TrCHの所要 BLER範囲が重ならない場合の第 2の制御
図 14、図 15 に示すようにあるサービスの TrCHlと別のサービスの TrCH 2の 所要 BLER範囲 a , bが重ならない場合には、 TrCHl, TrCH 2の所要 BLER のう ち大きい方(悪い方)の所要 BLER を多重通信における所要 BLER とする。このよ うにすれば、 1 つの TrCH の測定 BLER が所要 BLER 品質規格を満足し、 その TrCH のみ測定 BLER が所要 BLER 規格になり、他の TrCH は規格外となるが、
最も、 目標 SIR を低いレベルにすることが可能であり、 規格 4 を満足しつつ基 地局 からの downlink 電力を最も低くできる。
① TrCHl,2 の測定 BLER が両方とも所要 BLER 規格よりも悪い場合(図 14参 照)。
TrCHl の測定 BLER と所要 BLER との差を Δ BLERTrcH i、 TrCH2 の測定 BLE と所要 BLER との差を Δ BLERTrCH2 とする。
図 14では、 △ BLERTrcH2> Δ BLERTrCHi なので TrCHl を選択し、 多重 TrCH の TrCH 1 の BLER 対 SIR 特性データを ROM 25から読み出し、所要 BLER 時 の SIR 値と測定 BLER 時の SIR 値との差分である Δ SIRTrCHi 値を +側の SIR 更新値とする。
② TrCHl, 2 の測定 BLER が両方とも所要 BLER 規格より もよい場合(図 15)。 TrCH l の測定 BLER と所要 BLER との差を Δ BLERTrCH i、 TrCH2 の測定
BLER と所要 BLER との差を Δ BLERTrCH2とする。
図 15では、 A BLERTrcHi > A BLERTrCH2 なので TrCHl を選択し、 多重 TrCH の TrCH l の BLER 対 SIR 特性データを ROM 25から読み出し、所要 BLER 時 の SIR 値と測定 BLER 時の SIR 値との差分である Δ SIRTrCHi値を一側の SIR 更新値とする。
(D)第 4実施例
第 4実施例では,第 1〜第 3実施例の目標 SIR 更新制御に加えて、 目標 SIRの 更新周期 tl より長めのタイマを設け、 その間の BLER 測定を行い、 その値が規 格幅より もかけ離れている場合、 目標 SIR 更新制御を行い、 走行時等、 移動局の 高速移動時における伝播環境変化に目標 SIRが追従するように制御する。
例えば、 SIR更新周期 t2より長いある一定期間(Tconst)の間、 BLER 測定を行 い、 測定 BLER が規格値よ りオーダが 1 桁高い場合、 目標 SIR を一定量 (Sinc_COnst)上げる方向に更新し、 規格値よりオーダが 1 桁低い場合、 目標 SIR を一定量(Sdec— const)下げる方向に更新する。または、ある一定期間(Tconst)の間、 BLER 測定を行い、 測定 BLER が規格幅より も劣化している場合、 目標 SIR を 一定量(Sine— const)上げる方向に更新し、逆に規格幅よりもよい場合、 目標 SIR を 一定量(Sdec— const)下げる方向に更新する。 パラメ一夕 Tconst;、 Sinc_const、
Sdec_const は外部で容易に変更可能な構成にしておく。
あるサ一ビスの 1TTI当りの TrBk 数を Ti'Bk— n とすれば、 一定時間 Tconst当 りの トータル TrBk 数 ( = Totaし blk) は
Total— blk = (Tconst I TTI) X TrBk— n
となり、 その間め CRC エラーブロック数を crc_ng とすると、 Tconst(ms)後の BLERは次式
BLER=crc_ng/ Total一 blk
により計算される。この BLER値が、規格値よりォ一ダレベルではずれているか、 あるいは、規格幅をはずれているかどうかを判定し、判定結果に基づいて目標 SIR を制御する。
例えば非制限デジタルデータ規格が図 16の場合を考える。
この場合、一定期間 Tconst(ms)の間の測定 BLER が 1.0E -04 ( = 1.0 X 10·4) 以 上だった場合、 規格幅に対して、 オーダレベルで差が発生している。 このため、 かかる場合は Sine— const(dB)だけ目標 SIR の更新を行う。また、もし、測定 BLER が 1.0E— 05 ( = 1.0 Χ 10·5) 以下だった場合も、 オーダレベルで差が発生してい るため、 Sdec_const(dB)だけ目標 SIR の更新を行なう。
この補正処理は、 例えば、 移動機が高速走行をしている時など、 単位時間あた りの目標 SIR の変動幅が非常に大きいときなどに第 1〜第 3実施例と併用するな どして、 さらに精度よく downlink 伝播環境の変動に目標 SIR を追従させること が可能になる。
図 17は第 4実施例の送信電力制御装置の構成図であり、図 1の第 1実施例と同 一部分には同一符号を付している。第 1 実施例と異なる点は、 第 2BLER 測定部 41 BLER比較部 42、 補正部 43を設けた点である。第 2BLER測定部 41は、 第 1 実施例における目標 SIR更新期間 t2 より長いスパン Tconstで BLER 測定を行 ない、 BLER比較部 42は第 2BLER測定部 41で測定された測定 BLER と規格値 を比較し、差が設定レベル以上であるか判定し、 補正部 43は BLER比較部 42 の 比較結果に基づいて目標 SIR ( = SIRTGT)を増減する。増加量は Sine— const ( > 0 )、 減少量は Sdec_const (く 0 )である。
図 18は第 4実施例の処理フローであり、処理 401 は第 2BLER測定部 41 の処
理、処理 402は BLER比較部 42の処理、処理 403は補正部 43の処理であり、第 1 実施例〜第 3実施例の処理と並行して行われる。第 1〜第 3実施例による目標 SIR の更新量を第 1更新幅 A SIR1とし、第 4実施例による更新量を第 2更新幅 A SIR2 として説明する。
アウターループ制御開始後(ステップ 401a)、 第 2BLER測定部 41は BLER 測 定を始め、一定期間 Tconstが経過するまで BLER 測定を継続する(ステツプ 401b, 401c)。 一定期間 Tconstが経過すれば、 BLER 測定結果を BLER比較部 42 に入 力する(ステップ 401d)。
BLER比較部 42は、 BLER 測定結果を受信すれば、該 BLER測定値と上位レイ ャアプリケーショ ン 26から設定されている規定 BLER とを比較し、 BLER測定 値と規定 BLERの差が規格幅以上であるか判定し(ステツプ 402a)、差が規格幅以 内であれば第 2更新幅 A SIR2=0 とする(ステップ 402b)。 しかし、 差が規格幅以 上であれば、 BLEUが劣化しているか、良好であるか判定し(ステップ 402c), 劣化 している場合には第 2更新幅 A SIR2= Sine— const とし(ステップ 402d)、 良好の 場合には第 2更新幅 A SIR2= Sdec_const とする(ステップ 402e)。
補正部 43 は、 BLER比較部 42 より第 2更新幅 A SIR2 を受信すれば(ステップ 403a),次式
SIRTGT ^ SIRTGT + Δ SIR2
により 目標 SIR ( - SIRTGT) を補正して比較部 14に入力する(ステップ 403b)。 なお、 呼切断などによりアウターループ制御が終了する場合は、 図 18の各部の 処理は即時に終了する。
(E) 本発明の効果
本発明によれば、 初期引き込み時間の規格、 及び、 その後の初期引き込みで確 定した目標 SIRへの追従時間の規格を満足できる。 また、 本発明によれば、 各サ —ビスの所要 BLER 規格を意識して目標 SIR 更新制御を行なうため、 より精度 のよい下りパワーコントロール制御が可能となる。
又、本発明によれば、 個別 TrCH通信時でも多重 TrCH の通信時でも下りパヮ —コントロール制御を精度よく行なう ことが可能となる。
また、本発明によれば、複数 TrCH が多重されている時、各 TrCH の所要 BLER
範囲が重ならない場合、 一つの TrCH に対して BLER 測定値を BLER範囲内に 入れ、 他の TrCH に対して規格以上に BLER 測定をよい状態にできるため、 全 ての TrCH の品質を規格以上に制御可能となる。
また、本発明によれば、複数 TrCH が多重されている時、各 TrCH の所要 BLER 範囲が重ならない場合、 一つの TrCH に対して BLER 測定値を BLER範囲内に 入れ、 他の TrCH に対して規格以下の品質となるが、 目標 SIR の更新を一番低 く保てるため、 基地局からの下り電力を最も低く抑えることが可能となる。 また、 本発明によれば、 伝搬環境の変動を監視し、変動が大きい場合、 別個に並 行して目標 SIRの更新制御を行なうために、 受信伝播環境が変動する環境におい て、 より精度よく 目標 SIR 更新制御を行なう ことが可能となる。