明 細 書
窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法、窒化ガリウム系化合 物半導体発光素子及びそれを用いたランプ
技術分野
[0001] 本発明は窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法に関し、特に、駆動電 圧 (vf)が低い窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法、窒化ガリウム系化 合物半導体発光素子及びそれを用いたランプに関する。
本願 ίま、 2006年 3月 23曰〖こ、曰本【こ出願された特願 2006— 080882号【こ基づさ 優先権を主張し、その内容をここに援用する。
背景技術
[0002] 近年、短波長光発光素子用の半導体材料として窒化物系半導体である GaN系化 合物半導体材料が注目を集めている。 GaN系化合物半導体は、サファイア単結晶を はじめ、種々の酸ィ匕物や III— V族化合物を基板として、この基板上に有機金属気相 化学反応法 (MOCVD法)や分子線エピタキシー法 (MBE法)等によって形成され る。
[0003] 窒化ガリウム系化合物半導体素子の特性としては、横方向への電流拡散が小さい ことが挙げられる。このため、電極直下の半導体にしか電流が注入されず、発光層で 発光した光は電極に遮られて外部に取り出されない。そこで、このような発光素子で は、通常、透光性正極が用いられ、透光性正極を通して光が取り出される。
[0004] 透光性正極には、 NiZAuや ITOなどの周知の導電材料が用いられる。しかしなが ら、 NiZAu等の金属は、 p型半導体層との接触抵抗が小さいものの、光透過率が低 いという問題がある。また、 ITOなどの酸ィ匕物は、透過率が高いものの、金属に比べ て接触抵抗が大き ヽという問題がある。
[0005] ITOのような導電酸ィ匕膜の比抵抗を減少させる手段として、窒素 (N )や水素雰囲
2
気中でァニール処理を行う方法が挙げられる。このァニール処理により、導電酸化膜 中の酸素空孔が増加し、導電酸化膜のキャリア濃度が増加する。このキャリア濃度の 増加により、導電酸化膜の比抵抗が減少する。一般的に、窒素に比べて水素を使用
した方が酸ィ匕膜の還元作用が強いため、水素を含む雰囲気中にてァニール処理を 行うことで、より比抵抗が低められた導電酸ィ匕膜が得られる。
[0006] し力しながら、水素を含む雰囲気中でのァニール処理は、窒化ガリウム系化合物半 導体発光素子の P型半導体層中にドープされた Mgや Zn等と水素とが結合し、 Mgや Zn等の不純物がァクセプタとして働くのを妨げてしまう。このようなァクセプタ不純物 と水素との結合によって、 p型半導体層の比抵抗が上昇してしまうといった問題が生 じる。
特許文献 1:特開平 6— 88973号公報
特許文献 2:特許第 2540791号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、水素ァニール処理による p型半導 体層の比抵抗の増加を抑えるとともに、透光性導電酸ィ匕膜の比抵抗を減少させ、駆 動電圧 (Vf)の低 、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子が得られる製造方法、窒 化ガリウム系化合物半導体発光素子及びそれを用いたランプを提供することを目的 とする。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に関する。
[0009] [1] 窒化ガリウム系化合物半導体素子の p型半導体層上に透光性導電酸化膜を積 層する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法であって、前記透光性導 電酸化膜を、水素 (H )を含むガス雰囲気中でァニール処理する水素ァニール工程
2
が備えられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方 法。
[2] 下記 (a)〜(c)の各工程が、この順で備えられていることを特徴とする [1]に記 載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
(a)前記 p型半導体層表面の全領域に透光性導電酸化膜を成膜する成膜工程 (b) 水素を含むガス雰囲気中で、前記透光性導電酸化膜をァニール処理する水素ァニ
ール工程
(c)前記透光性導電酸ィ匕膜をエッチングによりパターユングするエッチング工程
[3] 前記水素ァニール工程は、 300°C〜900°Cの温度でァニール処理を行うことを 特徴とする [1]又は [2]に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法
[4] 下記 (d)〜(f)の各工程力 この順で備えられていることを特徴とする [1]に記 載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
(d)前記 p型半導体層表面の全領域に透光性導電酸化膜を成膜する成膜工程 (e) 前記透光性導電酸ィ匕膜をエッチングによりパターユングするエッチング工程 (f)水素 を含むガス雰囲気中で、前記透光性導電酸化膜をァニール処理する水素ァニール 工程
[5] 前記水素ァニール工程は、 600°C〜900°Cの温度でァニール処理を行うことを 特徴とする [4]に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
[6] 前記水素ァニール工程は、水素を体積%で 0. 1〜5%の範囲で含むガス雰囲 気中にお ヽてァニール処理を行うことを特徴とする [1]〜 [5]の何れかに記載の窒化 ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法。
[7] 前記水素ァニール工程の前工程に、酸素(O )を含むガス雰囲気中で 200°C
2
〜300°Cの温度でァニール処理を行なう酸素ァニール工程が備えられていることを 特徴とする [ 1]〜 [6]の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製 造方法。
[8] 前記水素ァニール工程後、前記透光性導電酸化膜上に保護層を積層すること を特徴とする [1]〜[7]の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の 製造方法。
[9] 窒化ガリウム系化合物半導体素子の p型半導体層上に透光性導電酸化膜が積 層されてなる窒化ガリウム系化合物半導体発光素子であって、前記透光性導電酸化 膜が、水素 (H )を含むガス雰囲気中でァニール処理されたものであることを特徴と
2
する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[10] 前記透光性導電酸化膜が、 ITO、 IZO、 IWO、 GZO、 ZnO系導電体、 TiO
系導電体の群力 選ばれる少なくとも 1種以上の材料力 なることを特徴とする [9]に 記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[11] 前記透光性導電酸化膜が、少なくとも ITOを含有していることを特徴とする [1 0]に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[12] 前記透光性導電酸ィ匕膜の厚さが 35ηπ!〜 10 mの範囲であることを特徴と する [9]〜 [ 11]の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[13] 前記透光性導電酸化膜の厚さが ΙΟΟηπ!〜 1 μ mの範囲であることを特徴と する [9]〜 [ 11]の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[14] 前記透光性導電酸化膜上に積層して保護層が形成されていることを特徴とす る [9]〜[13]の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[15] 前記保護層の厚さが 20ηπ!〜 500nmの範囲であることを特徴とする [14]に 記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
[16] 上記 [1]〜 [8]の何れかに記載の製造方法によって得られる窒化ガリウム系 化合物半導体発光素子。
[0011] [17] 上記 [9]〜[16]の何れかに記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子が 用いられて 、ることを特徴とするランプ。
発明の効果
[0012] 本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法によれば、透光性導 電酸ィ匕膜を前記 P型半導体層上に成膜した後、水素を含む雰囲気中においてァニ ール処理を行うことで、低い比抵抗の透光性導電酸ィ匕膜が得られるとともに、 p型半 導体層の比抵抗の上昇が抑制される。これにより、駆動電圧 (Vf)の低い窒化ガリウ ム系化合物半導体発光素子を得ることができる。
また、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を用いてランプを構成するこ とにより、優れた発光特性を備えたランプが得られる。
図面の簡単な説明
[0013] [図 1]本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の一例を模式的に説明する図 であり、断面構造を示す概略図である。
[図 2]本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の一例を模式的に説明する図
であり、平面視構造を示す概略図である。
[図 3]本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法の一例を説明する 図であり、窒化ガリウム系化合物半導体の積層構造体を示す断面図である。
[図 4]本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の他例を模式的に説明する図 であり、断面構造を示す概略図である。
[図 5]本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を用いて構成したランプを模 式的に説明する断面図である。
[図 6]本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を説明する図であり、実施例 における駆動電圧 (Vf)と水素ァニール処理温度との関係を示すグラフである。実施 例 1及び 2における駆動電圧 (Vf)を示した図である。
符号の説明
1…窒化ガリウム系化合物半導体発光素子、
11、 21· ··基板、
12· •·η型 GaN層(n型半導体層)、
13· ··発光層、
14· •·ρ型 GaN層(p型半導体層)、
is正極 (透光性導電酸化膜)、
le- ··正極ボンディングパッド、
17· ··負極、
18· , *fenA層^
20· "窒化ガリウム系化合物半導体、
22· ··アンドープ GaN下地層(n型半導体層)、
23· •·η型 GaNコンタクト層(n型半導体層)、
24· •·η型 AlGaNクラッド層(n型半導体層)、
25· ··発光層、
26· •·ρ型 AlGaNクラッド層(p型半導体層)、
27· •·ρ型 GaNコンタクト層(p型半導体層)、
30· "ランプ
発明を実施するための最良の形態
[0015] 以下、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 (以下、発光素子と略称す ることがある)の製造方法、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子、及びそれを用い たランプの一実施形態について、図 1〜5を適宜参照しながら説明する。
但し、本発明は以下の実施形態の各々に限定されるものではなぐ例えば、これら 実施形態の構成要素同士を適宜組み合わせても良 、。
[0016] 本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法は、窒化ガリウム系化 合物半導体素子の p型半導体層上に透光性導電酸化膜を積層する窒化ガリウム系 化合物半導体発光素子の製造方法であって、透光性導電酸化膜を p型半導体層上 に成膜した後、水素 (H )を含むガス雰囲気中でァニール処理する水素ァニールェ
2
程が備えられた方法として 、る。
[0017] 図 1は、本発明で得られる発光素子の一例を、断面図で模式的に示した図である。
図 1に示す発光素子 1は、基板 11上に、 n型 GaN層 12、発光層 13、及び p型 GaN 層 (P型半導体層) 14が、この順で積層された窒化ガリウム系化合物半導体素子の前 記 p型 GaN層 14上に、透光性導電酸ィ匕膜が成膜されてなる正極 15が積層され、概 略構成されている。また、正極 15上には正極ボンディングパッド 16が形成されており 、n型 GaN層 12上の負極形成領域には負極 17が形成されている。
本発明では、 p型 GaN層上に成膜された正極力 前記水素ァニール工程において 、透光性導電酸ィ匕膜に水素ァニール処理が施されてなるものとされて 、る。
[0018] 本発明で用いられる、透光性導電酸化膜に水素ァニール処理が施されてなる正極 は、基板上に、必要に応じバッファ層を介して窒化ガリウム系化合物半導体を積層し 、 n型半導体層、発光層および p型半導体層を形成した従来公知の窒化ガリウム系 化合物半導体発光素子に対し、何ら制限無く用いることができる。
[0019] [窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の構成]
以下に、本発明の製造方法で得られる窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の各 構成について詳述する。
[0020] 「基板」
基板 11としては、サファイア単結晶(Al O; A面、 C面、 M面、 R面)、スピネル単結
晶(MgAl O;)、 ZnO単結晶、 LiAlO単結晶、 LiGaO単結晶、 MgO単結晶等の
2 4 2 2
酸化物単結晶、 Si単結晶、 SiC単結晶、 GaAs単結晶、 A1N単結晶、 GaN単結晶及 び ZrB等のホウ化物単結晶、等の基板材料が周知である。本発明においても、これ
2
ら周知の基板材料を含めて、如何なる基板材料を何ら制限なく用いることができる。 なお、基板の面方位は特に限定されない。また、ジャスト基板でも良いしオフ角を付 与した基板であっても良 、。
[0021] 「窒化ガリウム系化合物半導体」
n型 GaN層(n型半導体層) 12、発光層 13、及び p型 GaN層(p型半導体層) 14とし ては、各種構造のものが周知であり、これら周知のものを何ら制限なく用いることがで きる。特に、 p型半導体層はキャリア濃度が一般的な濃度のものを用いれば良ぐ比 較的キャリア濃度の低い、例えば 1 X 1017cm_3程度の p型 GaN層に対しても、本発 明で用いる透光性の正極 15を適用することができる。
[0022] また、窒化ガリウム系化合物半導体としては、例えば、一般式 Al In Ga N (0 ≤χ< 1, 0≤y< l, 0≤x+y< l)で表わされる各種組成の半導体が周知であり、本 発明における n型 GaN層、発光層および p型 GaN層を構成する窒化ガリウム系化合 物半導体としても、一般式 Al In Ga Ν (0≤χ< 1, 0≤y< l, 0≤x+yく 1)で 表わされる各種組成の半導体を何ら制限なく用いることができる。
[0023] 窒化ガリウム系化合物半導体の成長方法は特に限定されず、 MOCVD (有機金属 化学気相成長法)、 HVPE (ハイドライド気相成長法)、 MBE (分子線エピタキシー法 )等、 III族窒化物半導体を成長させることが知られている全ての方法を適用できる。 好ましい成長方法としては、膜厚制御性、量産性の観点力も MOCVD法である。
MOCVD法では、キャリアガスとして水素(H )または窒素(N )、 III族原料である
2 2
Ga源としてトリメチルガリウム (TMG)またはトリェチルガリウム (TEG)、 A1源としてトリ メチルアルミニウム (TMA)またはトリェチルアルミニウム (TEA)、 In源としてトリメチ ルインジウム (TMI)またはトリェチルインジウム (TEI)、 V族原料である N源としてァ ンモユア(NH )、ヒドラジン (N H )等が用いられる。また、ドーパントとしては、 n型に
3 2 4
は、 Si原料としてモノシラン(SiH )、又はジシラン(Si H )を、 Ge原料としてゲルマン
4 2 6
ガス(GeH )を用い、 p型には、 Mg原料として例えばビスシクロペンタジェ二ルマグ
ネシゥム(Cp Mg)、又はビスェチルシクロペンタジェ-ルマグネシウム(EtCp Mg)
2 2 を用いる。
[0024] このような窒化ガリウム系化合物半導体の一例として、図 3に示すような積層体構造 を有した窒化ガリウム系化合物半導体 20のように、サファイア力もなる基板 21上に、 A1Nからなる図示略のバッファ層を積層して、順次、 GaN下地層 22、 n型 GaNコンタ タト層 23、 n型 AlGaNクラッド層 24、 InGaNからなる発光層 25、 p型 AlGaNクラッド 層 26、 p型 GaNコンタクト層 27を積層したものを用いることができる。
[0025] 「正極 (透光性導電酸化膜)」
p型 GaN層 14上には、透光性導電酸ィ匕膜からなる正極 15が成膜される。透光性 導電酸ィ匕膜の成膜方法には、薄膜の成膜に使用される周知の方法を何ら制限なく 用いることができる。例えば、スパッタ法ゃ真空蒸着法などの方法を用いて成膜する ことができるが、真空蒸着法に比べて、成膜時に発生するパーティクルやダストなど が少な!/、スパッタ法を用いるとさらに良!、。
本発明の正極は、 p型 GaN層上に透光性導電酸化膜が成膜された後、水素を含 む雰囲気中で水素ァニール処理が施されてなるものであり、比抵抗が低められて 、 る。
[0026] 透光性導電酸ィ匕膜として使用する材料には、周知のものを何ら制限なく用いること ができる。例えば、 ITO (ln O— SnO )、 AZO (ZnO— Al O )、 IZO (In O— Zn
2 3 2 2 3 2 3
O)、 IWO (In O -WO )、 GZO (ZnO-Ga O )、 TiTaO、 TiNbO等、透光性と
2 3 2 2 3 2 2
低比抵抗に優れた材料を使用することが好ま ヽ。
特に、発光素子の駆動電圧 (Vf)を低減したい場合には、低比抵抗を得ることがで きる ITOを使用すれば良い。また、 IZOや IWOはエッチング性に優れるため、正極の パター-ングが容易である。 AZOや GZOを使用した場合、これらの材料の比抵抗は ITOの比抵抗よりも高いため、 Vfは ITOの Vはりも高くなる力 GaN上に成膜した場 合、 AZOや GZO中に存在する ZnOは粒界をもつもののェピタキシャル成長をする ため、 ITOに比べて結晶性が良い。従って、 ITOよりも剥離等が少なぐ強度特性に 優れた透光性導電酸化膜を形成することが可能である。 TiTaO、 TiNbOを使用し
2 2 た場合、 TiOの屈折率 2. 6は GaNの屈折率とほぼ等しいため、 GaN上での光取り
出しに優れた透光性導電膜として利用することが可能である。
[0027] 透光性導電酸化膜は、その比抵抗が最も低くなる組成を使用することが好ま 、。
例えば、 ITOを透光性導電酸ィ匕膜として使用する場合、 ITO中の Sn濃度は 5〜20 質量%の範囲であることが好ましい。さらに低い比抵抗を得るためには、 Sn濃度が 7 . 5〜12. 5質量%の範囲の ITOを使用すれば良い。
また、透光性導電酸化膜の膜厚は、低比抵抗、高透過率を得ることができる 35nm 〜10000nm (10 m)の範囲であることが好ましい。さらに、生産コストの観点から、 透光性導電酸化膜の膜厚は 1000nm (l μ m)以下であることが好ましい。
[0028] 「正極ボンディングパッド及び負極」
正極ボンディングパッド 16は、透光性導電酸化膜層からなる正極 15上に形成され 、 Au、 Al、 Niおよび Cu等の材料を用いた各種構造が周知であり、これら周知の材 料、構造のものを何ら制限無く用いることができる。
正極ボンディングパッド 16の厚さは、 100〜1000nmの範囲内であることが好まし い。また、ボンディングパッドの特性上、厚さが大きい方が、ボンダピリティーが高くな るため、正極ボンディングパッド 16の厚さは 300nm以上とすることがより好ましい。さ らに、製造コストの観点から 500nm以下とすることが好ましい。
[0029] 負極 17は、図 1に示す例のように、 n型 GaN層 12に接するように形成される。
このため、負極 17を形成する際は、発光層 13および p型 GaN層 14の一部を、エツ チングによって除去して n型 GaN層 12の nコンタクト層を露出させ、この上に負極 17 を形成する。
負極 17の材料としては、各種組成および構造の負極が周知であり、これら周知の 負極を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設 けることができる。
[0030] 「保護層」
本発明では、水素ァニール処理が施された透光性導電酸化膜の酸化を防止する ため、例えば、図 4に示す発光素子 2のように、透光性導電酸化膜上に保護層が成 膜されて 、ることがより好ま U、。
図示例では、保護層 18が、透光性導電酸ィ匕膜からなる正極 15を覆うとともに、正
極ボンディングパッド 16の外周部を覆うように形成されている力 これには限定されな い。例えば、保護層が、さらに n型 GaN層、発光層および p型 GaN層の各側面を覆う ように形成された構成としても良 、。
[0031] 保護層の材質としては、透光性導電酸ィ匕膜の全領域を覆うため、透光性に優れた 材料を用いることが好ましい。また、保護層を、 n型 GaN層、発光層および p型 GaN 層の各側面を覆うように形成した場合には、 p型 GaN層と n型 GaN層との間でのリー クを防ぐため、絶縁性の材質であることが好ましぐ例えば、 SiOや Al O等を用いる
2 2 3 ことが好ましい。
また、保護層の膜厚は、透光性導電酸ィ匕膜の酸ィ匕を防ぐことができ、かつ透光性に 優れるような膜厚であれば良ぐ例えば、 20ηπ!〜 500nmの膜厚とすることが好まし い。
[0032] [窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法]
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法は、上述したように、 窒化ガリウム系化合物半導体素子の P型半導体層上に透光性導電酸化膜を積層す る窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法であって、透光性導電酸ィ匕膜 を P型半導体層上に成膜した後、水素 (H )
2を含むガス雰囲気中でァニール処理す る水素ァニール工程が備えられた方法として 、る。
[0033] また、本発明の製造方法は、下記 (a)〜 (c)の各工程が、この順で備えられた構成 とすることができる。
(a)前記 p型半導体層表面の全領域に透光性導電酸化膜を成膜する成膜工程。
(b)水素を含むガス雰囲気中で、前記透光性導電酸化膜をァニール処理する水素 ァニール工程。
(c)前記透光性導電酸ィ匕膜をエッチングによりパターユングするエッチング工程。
[0034] また、本発明の製造方法は、下記 (d)〜 (f)の各工程が、この順で備えられた構成 とすることができる。
(d)前記 p型半導体層表面の全領域に透光性導電酸化膜を成膜する成膜工程。
(e)前記透光性導電酸ィ匕膜をエッチングによりパターユングするエッチング工程。
(f)水素を含むガス雰囲気中で、前記透光性導電酸ィヒ膜をァニール処理する水素ァ
ニール工程。
[0035] 上記工程 (a)〜(c)、及び工程 (d)〜 (f)の各々に示すように、本発明の製造方法 では、成膜工程 (工程 (a)及び (d) )で成膜された透光性導電酸ィ匕膜に対し、水素ァ ニール処理を行う水素ァニール工程(工程 (b)、 (f) )と、エッチング処理を行うエッチ ング工程(工程 (c)、 (e) )との工程順を並べ替えた構成とすることができる。
以下、上記各工程について詳述する。
[0036] 「成膜工程」
成膜工程にぉ ヽては、 p型 GaN層表面の全領域を覆うようにして透光性導電酸ィ匕 膜を成膜する。
水素ァニール処理を、 p型 GaN層の上面が大きく露出した状態で行った場合、 p型 GaN層に水素が侵入し、 p型 GaN層の比抵抗が上昇してしまうが、透光性導電酸ィ匕 膜を、 p型 GaN層の全面を覆うように成膜することにより、 p型 GaN層に水素が侵入す ることが無ぐ比抵抗が低下するのを防止できる。
なお、図 1及び図 2に示す例では、水素ァニール処理後の透光性導電酸化膜 (正 極 15)がエッチング処理されることにより、 p型 GaN層 14表面において、該 p型 GaN 層 14表面の周縁部のみが露出するように形成されて!、る。
[0037] 「水素ァニール工程」
p型 GaN層上に透光性導電酸ィ匕膜を成膜した後、水素ァニール工程において水 素ァニール処理を行う。
この際の、水素ァニール処理の温度は、 300〜900°Cの範囲とすることが好ましい 。し力しながら、水素ァニール処理の処理時間は、ァニール処理温度に依存する。 水素ァニール処理時間が長すぎると、透光性導電酸化膜の透過率が下がってしまう 場合があるので注意する必要がある。例えば、 600°Cの温度で水素ァニール処理を 行う場合には、 1〜2分間の処理時間とすることが好ましい。
[0038] 水素ァニール処理を行うガス雰囲気中の水素濃度は、体積%で 0. 1〜5%の範囲 であることが好ましい。ガス雰囲気中に含まれる水素の濃度は、上記範囲のような低 い濃度で良ぐ例えば、体積%で、 H: N = 1 (%) : 99 (%)としたガス雰囲気中で水
2 2
素ァニール処理を行っても良い。上述の範囲の水素濃度としたガス雰囲気中で水素
ァニール処理を行うことにより、比抵抗が充分に低減された透光性導電酸ィ匕膜が得 られる。
[0039] 本発明では、下記表 1に示すように、透光性導電酸化膜への水素ァニール処理を 行うことにより、水素 (H )を含まない窒素 (N )雰囲気中でァニール処理を行った場
2 2
合と比べ、比抵抗の低い透光性導電酸化膜が得られる。透光性導電酸化膜を、水素 を含んだガス雰囲気中でァニール処理を行った場合には、 p型 GaN層中に水素が 吸着し、 p型 GaN層中の Mgや Zn等のァクセプタと水素とが結合してしまうため、 p型 GaN層の比抵抗の上昇が生じる虞がある。
そこで、本発明では、透光性導電酸化膜を p型 GaN層表面の全領域に成膜した後 、水素を含むガス雰囲気中への p型 GaN層表面の露出が無い状態において水素ァ ニール処理を行うことで、 p型 GaN層への水素の侵入を防ぎ、 Mgや Zn等のァクセプ タと水素原子とが結合するのを防止することにより、比抵抗の上昇を防ぐことができる 。これにより、発光素子の駆動電圧 (Vf)を低減することが可能となる。
[0040] [表 1]
[0041] 「エッチング工程」
以下、エッチング工程について説明する。
水素ァニール処理後、透光性導電酸化膜をエッチング処理することにより、図 2中 の電極 15に示す領域にパターユング処理する。この際、水素ァニール処理した透光 性導電酸ィ匕膜は結晶性が良くなつていることが多いため、周知のウエットエッチング ではエッチングが難しい場合がある。そのような場合には、ドライエッチング装置を用 V、て透光性導電酸ィ匕膜をエッチングすれば良!、。
[0042] なお、本発明では、透光性導電酸化膜の成膜工程後に、エッチング処理を行って
力 水素ァニール処理する構成としても良 、。
水素ァニール処理後は、透光性導電酸ィ匕膜の結晶性が高くなり、エッチングし難く いため、エッチング処理時間が長くなる。そこで、水素ァニール処理前の、結晶性が 低 、状態の透光性導電酸ィ匕膜に対してエッチングを行なうことで、エッチング処理時 間を短くすることができる。この場合には、エッチングによって透光性導電酸化膜の 膜厚が薄くなるとともに、透光性導電酸化膜の一部が除去され、 p型 GaN層の一部 が露出するため、 P型 GaN層に水素が侵入しやすくなる。
本発明では、エッチング工程の後に水素ァニール工程を設ける場合には、了ニー ル処理温度を 600〜900°Cの範囲とすることが好まし!/、。ァニール処理温度が 600 °C以上であれば、水素が p型 GaN層に侵入し難くなることから、 p型 GaN層の比抵抗 が上昇するのを防止することができる。
[0043] 「酸素ァニール工程」
なお、本発明では、透光性導電酸ィ匕膜の透過率をさらに高くしたい場合、水素ァ- ール処理の前工程として、 200°C〜300°Cの温度で酸素(O )を含むガス雰囲気中(
2
例えば、大気中等)にて酸素ァニール処理を行うことが好ましい。
酸素ァニール工程は、透光性導電酸ィ匕膜の成膜工程と水素ァニール工程とのェ 程間であれば何れに設けても良いが、水素ァニール処理と同様、酸素ァニール処理 後はウエットエッチングによるパター-ングが難しくなるため、ドライエッチングによるパ ターニングを行うことが好まし 、。
[0044] 上述のようにして、 p型 GaN層上に透光性導電酸化膜からなる正極を形成した後、 図 1に示すように、 p型 GaN層 14、発光層 13、および n型 GaN層 12の一部をエッチ ングにより除去して n型 GaN層 12を露出させ、該 n型 GaN層 12上に負極 17を設ける 。また、正極 15である透光性導電酸ィ匕膜層上の一部には、正極ボンディングパッド 1 6を設けることにより、図 1に示すような発光素子 1が得られる。
[0045] 「保護層の形成」
本発明では、上述したように、透光性導電酸化膜に水素ァニール処理を行い、正 極ボンディングパッド及び負極を形成した後、透光性導電酸化膜の酸化を防止する ため、図 4に示す発光素子 2のように、正極 15上に保護層を成膜することがより好まし
い。
図 4に示す発光素子 2では、保護層 18を、正極 15上を覆うとともに、正極ボンディ ングパッド 16の外周部を覆うようにして形成しているが、これには限定されず、例えば 、 n型 GaN層、発光層および p型 GaN層の各側面を覆うようにして形成しても良い。
[0046] 以上、説明したように、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子は、上記構 成の製造方法で製造することにより、低い比抵抗の透光性導電酸化膜が得られると ともに、 p型 GaN層の比抵抗の上昇が抑制される。これにより、駆動電圧 (Vf)の低い 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を得ることができる。
[0047] [ランプの構成]
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子は、例えば、当業界周知の手段に より、透明カバーを設けてランプを構成することができる。また、本発明の窒化ガリウ ム系化合物半導体発光素子と蛍光体を有するカバーを組み合わせて白色のランプ を作製することちできる。
[0048] また、例えば、図 5に示すように、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子 は、従来公知の方法を用いてなんら制限無く LEDランプとして構成することができる 。ランプとしては、一般用途の砲弾型、携帯のバックライト用途のサイドビュー型、表 示器に用いられるトップビュー型等、何れの用途にも用いることができる。
例えば、フェイスアップ型の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を砲弾型に実 装する場合、図示例のように、 2本のフレーム 31、 32の一方に窒化ガリウム系化合物 半導体発光素子 1を榭脂などで接着し、正極ボンディングパッド及び負極ボンディン グパッドを、金等の材質力もなるワイヤー 33、 34を用いて、それぞれフレーム 31、 32 に接合する。その後、透明樹脂で素子周辺をモールドすることにより(図 5のモールド 35参照)、砲弾型のランプ 30を作製することができる。
本発明のランプは、上記窒化ガリウム系化合物半導体発光素子が用いられている ことにより、優れた発光特性を有したものとなる。
実施例
[0049] 次に、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法、窒化ガリウム 系化合物半導体発光素子並びにランプを、実施例によりさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
[0050] [実施例 1]
図 3に、本実施例の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に用いるために作製し た、ェピタキシャル構造体の断面模式図を示す。また、図 1に本発明の窒化ガリウム 系化合物半導体発光素子の断面模式図を、図 2にその平面模式図を示し、以下、適 宜参照しながら説明する。
[0051] 「窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の作製」
図 3に示すような窒化ガリウム系化合物半導体 20の積層構造体として、サファイア の c面((0001)結晶面)力もなる基板 21上に、 A1N力もなるバッファ層(図示せず)を 介して、順次、アンドープ GaN下地層(層厚 = 2 m) 22、 Siドープ n型 GaNコンタク ト層(層厚= 2 111、キャリァ濃度= 1 1019。111_3) 23、3 ープ11型八1 Ga N
0. 07 0. 93 クラッド層(層厚 = 12. 5nm、キャリア濃度 = 1 X 1018cm"3) 24、 6層の Siドープ Ga N障壁層(層厚 = 14. Onm、キャリア濃度 = 1 X 1018cm"3)と 5層のアンドープ In
0. 20
Ga Nの井戸層(層厚 = 2. 5nm)とからなる多重量子構造の発光層 25、 Mgドー
0. 80
プ p型 Al Ga Nクラッド層(層厚 lOnm) 26、及び Mgドープ p型 GaNコンタクト
0. 07 0. 93
層(層厚 = lOOnm) 27を積層して構成した。上記窒化ガリウム系化合物半導体 20の 積層構造体の各構成層 22〜27は、一般的な減圧 MOCVD手段で成長させた。
[0052] 上記窒化ガリウム系化合物半導体 20のェピタキシャル構造体を用いて、窒化ガリウ ム系化合物半導体発光素子(図 1を参照)を作製した。まず、 HF及び HC1を用いて、 p型 GaNコンタクト層 27表面を洗浄した後、該 p型 GaNコンタクト層 27上に、 ITOから なる透光性導電酸ィ匕膜層をスパッタリング法にて形成した。 ITOは DCマグネトロンス ノ ッタによりおよそ 250nmの膜厚で成膜した。スパッタには、 SnO濃度が 10質量0 /0
2
の ITOターゲットを使用し、 ITO成膜時の圧力は約 0. 3Paとした。
[0053] ITO力 なる透光性導電酸ィ匕膜の成膜後、 RTAァニール炉を用いて、 200°C〜9 00°Cの水素(H )ァニール処理を行った。この際の水素ァニール処理は、 Hを体積
2 2
%で 1%含む N雰囲気中にて行った。その後、周知のフォトリソグラフィ一とウエットェ
2
ツチングにより、 p型 GaNコンタクト層 27上の正極を形成する領域にのみ ITOが成膜 された状態とした。このようにして、 p型 GaNコンタクト層 27上に、本発明の正極(図 1
及び図 2の符号 15を参照)を形成した。
[0054] 上述の方法で形成した正極は高い透光性を示し、 460nmの波長領域で 90%以上 の透過率を有していた。なお、光透過率は、上記と同じ厚さの透光性導電酸化膜層 をガラス板上に積層した透過率測定用のサンプルを用い、分光光度計によって測定 した。なお、光透過率の値はガラス板のみで測定した光透過ブランク値を考慮のうえ 算出した。
[0055] 「正極ボンディングパッド及び負極の形成」
次に、 n型電極 (負極)を形成する領域に一般的なドライエッチングを施し、その領 域に限り、 Siドープ n型 GaNコンタクト層の表面を露出(図 1参照)させた。そして、真 空蒸着法により、透光性導電酸化膜層(正極) 15上の一部、及び Siドープ n型 GaN コンタクト層 23上に、 Crからなる第 1の層(層厚 =40nm)、 T もなる第 2の層(層厚 = lOOnm)、 Auからなる第 3の層(層厚 =400nm)を順に積層し、それぞれ正極ボ ンデイングパッド 16及び負極 17を形成した。
[0056] 「発光素子の分割」
正極ボンディングパッド 16及び負極 17を形成した後、サファイアカゝらなる基板 11の 裏面をダイヤモンド微粒などの砥粒を使用して研磨し、最終的に鏡面に仕上げた。 その後、積層構造体を裁断して 350 m角の正方形の個別のチップへと分離し、リ ードフレーム状に載置した後、金 (Au)線でリードフレームと結線した。
[0057] 「駆動電圧 (Vf)および発光出力(Po)の測定」
これらのチップを、プローブ針による通電により、電流印加値 20mAにおける順方 向電圧 (駆動電圧: Vf)を測定した。また、一般的な積分球で発光出力 (Po)を測定 した。発光面の発光分布は、正極 15の全面で発光していることが確認できた。
上述のようにして測定した発光素子の駆動電圧 (Vf)を、水素ァニール温度を横軸 として図 6のグラフに示す。
なお、 Poは、水素ァニール温度に関わらず、すべて 10mWであった。 実施例 1の素子特性の一覧を下記表 2に示す。
[0058] 図 6のグラフに示すように、 300°C以上の温度で水素ァニール処理を行った場合に は、発光素子の Vfが低い結果となっている。一方、 300°C以下の温度では、 Vfが高
い結果となっている。
200°Cの温度で水素ァニール処理を行った ITOは、比抵抗が 4 X 10_4 Q cmと高 いことから、図 6に示すように、水素ァニール処理を 300°C以下の温度で行った場合 に Vfが高くなるのは、 ITOの比抵抗が完全に下がりきつていないことが原因である。
[0059] [実施例 2]
ITOをウエットエッチングした後に水素ァニール処理を行った点を除き、実施例 1と 同様にして窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を作製した。
実施例 2の発光素子の駆動電圧 (Vf)を図 6のグラフに示す。
なお、実施例 2の発光素子の発光出力(Po)は 10mWであった。
[0060] ITOをウエットエッチングした後に水素ァニール処理を行った実施例 2では、温度の 上昇とともに Vfが下がっている力 実施例 1のような 300°C付近の温度での急激な Vf の低減はみられない。これは、 H雰囲気中に p型 GaN層が露出していることで、 p型
2
GaN層への H原子の吸着が生じていることが原因であると考えられる。しかしながら
2
、 600°C以上の温度領域では、 Vfが実施例 1と同程度まで低減していることから、 60 0°C以上の温度では、 p型 GaN層への H原子の吸着が抑えられていると考えられる
2
[0061] [実施例 3]
600°Cの温度で水素ァニール処理を行う前に、酸素を含むガス雰囲気中において 、 250°C、 1分間の酸素ァニール処理を行った点を除き、実施例 1と同様にして窒化 ガリウム系化合物半導体発光素子を作製した。
このような酸素ァニール処理を行った ITO膜は、 460nmの波長領域において、酸 素ァニール処理を行わない ITO膜に比べ、 3〜5%程度高い光透過率を示した。ま た、酸素ァニール処理を行った場合の発光出力(Po)は l lmWであり、酸素ァニー ル処理を行わな!/、場合 (実施例 1)と比べて lmW高 、結果となった。
実施例 3のァニール条件、及び素子特性の一覧を、実施例 1のデータとともに表 2 に示す。
[0062] [表 2]
02ァニール H2ァニール Vf/V Po/m
実施例 1 魁 600°C 3. 3 1 0
実施例 3 250°C 600°C 3 3 1 1
[0063] [実施例 4]
正極ボンディングパッドと負極を除く領域に lOOnmの SiO保護層を形成した点を
2
除き、実施例 3と同様にして窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を作製した。
[0064] 実施例 4の発光素子が発光した状態での、 100時間後の出力劣化を測定したとこ ろ、保護層を形成していない場合と比べ、出力の劣化が小さくなつた。保護層を形成 することにより、空気中の O原子による ITOの比抵抗の増加を抑えることができたた
2
めであると考えられる。
[0065] 以上の結果により、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子が、駆動電圧 ( Vf)が低ぐ高い素子特性を有していることが明ら力となった。
産業上の利用可能性
[0066] 本発明は窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法に適用でき、特に、駆 動電圧 (vf)が低い窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法、窒化ガリウム 系化合物半導体発光素子及びそれを用いたランプに適用できる。