第1世代に対する不満から改良点が見えてきた

図1 Android搭載タブレット端末の内部構成
吹き出しの中に小さく表示したのが現在主流の仕様で,赤字で大きく表示したのが次世代機で主流になると予想される仕様。
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 2010年4月に米Apple Inc.が米国で発売したタブレット端末「iPad」に触発され,多くの「iPadモドキ」とも言える製品が登場している。その多くは,組み込み向けOS 「Android」を採用する。これらの製品がどの程度の完成度を持つのかを調べるため,第1世代に相当する3機種を分解した。中国 EKEN(HK)Electronics Co.ltd(愛鍵(香港)電子)の「M003」,中国Moonse社(上海満石電子科技)の「iRobot E7001(APad)」,フランスArchos S.A.の「ARCHOS 7 home tablet」である。いずれも2010年5月ごろに発売された製品で,中国・深センで製造されていると推定される。

 この種のタブレット端末は,ほぼ共通した内部構成を持つ(図1)。搭載するマイクロプロセサは,台湾VIA Technologies, Inc.の子会社である台湾WonderMedia Technologies, Inc.の「WM8505」もしくは中国Fuzhou Rockchip Electronics Co., Ltd(瑞芯微電子)の「RK2808」が定番だ(表1)。動作周波数は533MHz~600MHz。DRAMの容量は128Mバイト,タッチ・パネルは 抵抗膜式であり,Bluetoothには対応しない。また,搭載するAndroidのバージョンは1.5もしくは1.6であり,最新の2.1もしくは 2.2を搭載した製品はまだ少ない。

表1 iPad,今回分解した3機種,次世代機の主な仕様
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 こうした仕様が災いし,使い勝手はiPadに及ばない。抵抗膜式のタッチ・パネルは静電容量式よりも感度が劣るため,思ったように操作できない場面が多い。さらに,プロセサの性能やDRAMの容量が不足しているため,全体的に動作がもっさりしている。

 もっとも,悪い点ばかりではない。iPadは9.7型液晶を搭載しているため,大きく重い。これに対し,これらの端末は7~8型液晶を搭載しており,iPadよりも小型軽量である(図2)。

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図2 iPadと,今回分解した3機種の大きさの比較
左からiPad,M003,iRobot E7001(APad),ARCHOS 7 home tabletである。
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図3 Pioneer Computers社が2010年7月に発表した「DreamBook ePad N7」
マルチタッチに対応した静電容量式タッチ・パネル,1.2GHz動作のSoC「Tegra 2」,512MバイトのDRAM,Bluetoothを搭載し,OSとしてAndroid 2.1を採用するなど,優れた特徴を持つ。

 前述したような仕様上の欠点も,次世代製品では着実に改善が図られる見通しだ。例えば,オーストラリアPioneer Computers Australia Pty Ltd.が,分解した3機種の発売より後の2010年7月に発表したタブレット端末「DreamBook ePad N7」は,マルチタッチに対応した静電容量式タッチ・パネルと1.2GHz動作のSoC「Tegra 2」,512MバイトのDRAM,Bluetoothを搭載し,OSとしてAndroid 2.1を採用する(図3)。今後はこうした製品が増えていくだろう。