【フランス語】条件法について知らなかったこと

 


 

 『あらわす文法』、読み終わりました。


 

 全体の感想としては、「なぜこうなるんだろう?」という文法上の素朴な疑問にもガンガン突っ込んでくれて個人的には満足。かなり長くフランス語を勉強した人でもここまで的確な説明はできまい。

 

 私のように何でもかんでも疑問を抱くタチの人間に向いているかと思います。


 

 最後の方は条件法・接続法について書かれています。初級フランス語の段階では一番理解に苦しむところですね・・・


 

 今回はその中で、あまり意識したことのなかった条件法の使い方について。


 

 条件法の使い方は基本的に次のように習います。(こちらのサイトも参考にしました)


 

・過去における未来

・非現実の過程(もし~だったら、…だったのに)

・語調緩和、丁寧

・遠まわしの非難


 

 しかし


 

・他人の説の引用、伝聞


 

 というニュアンスを見逃していました。


 

 例えば

 

 la plume est plus forte que l’épée.(ペンは剣より強し) (p178)

 

 という例文が『あらわす文法』にあります。

 

 これを使い、「ペンは剣より強いと言われる」という言い方を考えた時、次の二通りが考えられます。

 

On dit que la plume est plus forte que l’épée.

 

On dit que la plume serait plus forte que l’épée.

 

 どちらの言い方も間違いではありませんが、書き手のスタンスが全然違う。


 

 前者(直説法)で引用した場合は、書き手が「ペンは剣より強い」という言葉に賛同しているものとみなされます。

 

 これが使われるシチュエーションとしては、例えば知り合いのジャーナリストが落ち込んでる時に「ペンは剣より強いと言われるじゃないか」と励ます場合などが考えられます。


 

 これが後者(条件法)になると、「ペンは剣より強い」という言葉に懐疑的なニュアンスが含まれます。

 

 「ペンは剣より強いと言われるが、果たしてそうだろうか」というニュアンス。落ちこんでるジャーナリストにこの言葉をかけると、遠まわしに「転職しろ」と言っているような感じにも聴こえます。かわいそうに。


 

 『あらわす文法』では「責任逃れの条件法」と表現されています。

 

 懐疑的とまではいかなくても「私の意見ではなく、あくまで他人の意見」という指標であり、新聞など厳密さを要する文章において他人の文章を引用する時に使われます。


 

 直説法とはある意味真逆のニュアンスになる「責任逃れの条件法」。使用の際はご注意を。